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小児アトピー性皮膚炎、精神障害との関連は?

 小児アトピー性皮膚炎(AD)と精神障害との関連について、デンマークで行われた大規模な調査結果が発表された。デンマーク・コペンハーゲン大学のI. Vittrup氏らによる検討で、病院でADと診断された児において、病院で精神障害を診断されるリスクは高くなかったが、治療リスクは高く、AD児における精神的問題は一過性で可逆的であり、軽度~中等度である可能性が示唆されたという。これまで、成人ADは不安症やうつ病との関連が示されているが、小児ADは注意欠陥多動性障害(ADHD)との関係が示唆されているものの、他の精神障害との関連性はほとんどわかっていなかった。British Journal of Dermatology誌オンライン版2021年1月16日号掲載の報告。 研究グループは、1995年1月1日~2012年12月31日にデンマークで誕生したすべての児を対象に、小児におけるADと小児精神障害の診断および治療との関連を調べた。病院でADと診断された児(1万4,283例)と、ADと診断されなかった児を1対10の割合で適合抽出して分析した。 評価項目は、向精神薬の使用、病院で診断されたうつ病、不安症、ADHD、または自傷行為、不慮の死/自殺、および精神科医または心理学者への受診(コンサルテーション)であった。 主な結果は以下のとおり。・病院でのAD診断と有意な関連が観察されたのは、抗うつ薬(補正後ハザード比[aHR]:1.19、95%信頼区間[CI]:1.04~1.36)、抗不安薬(1.72、1.57~1.90)、中枢神経系の交感神経作用薬(1.29、1.18~1.42)であった。・精神科医(aHR:1.33、95%CI:1.16~1.52)または心理学者の(1.25、1.11~1.41)受診も、ADとの関連性がみられた。・一方で、うつ病(aHR:0.58、95%CI:0.21~1.56)、不安症(1.47、0.98~2.22)、自傷行為(0.88、0.27~2.88)は関連性が認められなかった。・しかし、ADHDはADとの顕著な関連が認められた(aHR:1.91、95%CI:1.56~2.32)。・絶対リスクは概して低かった。

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統合失調症治療の有効性、安全性に対する抗精神病薬の用量依存作用

 統合失調症の薬理学的治療の中心は、抗精神病薬である。慶應義塾大学の吉田 和生氏らは、統合失調症の薬物療法を最適化するために、抗精神病薬の有効性、安全性、死亡率との関連を明らかにするため関連文献のレビューを行った。Behavioural Brain Research誌オンライン版2021年1月5日号の報告。 統合失調症患者における抗精神病薬の用量と有効性、有害事象、死亡率との関連を調査した文献をレビューした。 主な結果は以下のとおり。・急性期統合失調症患者に対する抗精神病薬の有効性は、用量依存性が高く、各抗精神病薬で、特定の用量反応曲線を有している。・用量依存性の有無とその程度は、副作用の種類によって異なる。・用量依存性の高い副作用は、パーキンソン症候群、高プロラクチン血症、体重増加、神経認知障害であると考えられる。・少なからず用量依存性との関連の可能性がある副作用は、アカシジア、遅発性ジスキネジア、骨粗鬆症、性機能障害、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中、血栓塞栓症、QT延長、抗コリン性副作用、傾眠、肺炎、大腿骨近位部骨折、悪性症候群であった。・用量依存性との関連の可能性が低い副作用は、脂質異常症、発作、唾液分泌過多症、好中球減少症、無顆粒球症であった。・抗精神病薬の用量と低血圧リスクとの関連は、データが不足しており、不明であった。・抗精神病薬の生涯累積用量が高いと、死亡率に影響を及ぼす可能性が考えられるが、用量依存関係を結論付けることは困難であった。 著者らは「本知見は、統合失調症患者に対する抗精神病薬治療を最適化するために、臨床医が診療におけるリスクとベネフィットのバランスを取るうえで、役立つであろう。今後は、各抗精神病薬に焦点を当てた大規模かつ頑健にデザインされた研究が求められる」としている。

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うつ病増強療法の中止が治療転帰にもたらす影響~メタ解析

 慶應義塾大学のHideo Kato氏らは、うつ病の治療において増強療法のために追加した薬剤を継続すべきか、また継続する場合の期間について明らかにするため、メタ解析を実施した。Pharmacopsychiatry誌オンライン版2020年12月23日号の報告。 うつ病患者を対象に増強療法で追加した薬剤を中止した場合の影響を調査した二重盲検ランダム化比較試験を特定し、メタ解析を実施した。すべての原因による試験中止率、再発率、増強療法継続群と中止群における有害事象を比較した。 主な結果は以下のとおり。・7件の研究(継続群:841例、中止群:831例)をメタ解析に含めた。・すべての原因による試験中止率は、両群間で有意な差が認められなかった(リスク比[RR]:0.86、95%CI:0.69~1.08、p=0.20)。・再発による試験中止率は、中止群よりも継続群のほうが低かった(RR:0.61、95%CI:0.40~0.92、p=0.02)。しかし、この有意差は、esketamineを用いた研究1件を除外すると消失した。・ランダム化前の安定化期間を含む5つの研究データの分析では、中止群よりも継続群において再発率が低かった(RR:0.47、95%CI:0.36~0.60、p<0.01)。 著者らは「研究数が少なく、確固たる結論には至らない」としながらも「うつ病に対する増強療法で使用されたesketamine以外の薬剤は、中止される可能性が高いことが示唆された。しかし、増強療法で維持されている寛解患者では、当てはまらない可能性がある」としている。

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COVID-19によるうつ症状や孤独感と社会的および性的つながりとの関係

 米国・インディアナ大学のMolly Rosenberg氏らは、COVID-19によるうつ症状や孤独感の有症率を推定し、社会的および性的つながりの頻度との関係について調査を行った。Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology誌オンライン版2021年1月2日号の報告。 18~94歳の米国成人の代表的なサンプル1,010例を対象に2020年4月10日~20日にオンライン横断調査を実施した。うつ症状(CES-D-10スケール)、孤独感(UCLA3項目孤独感尺度)、対面およびリモートでの社会的つながりの頻度(家族とのハグ、ビデオチャットなど4項目)、性的関係の頻度(パートナーとの性的関係、マッチングアプリの使用など4項目)について調査した。 主な結果は以下のとおり。・対象者の3分の1にうつ症状が認められ(32%)、孤独感が高かった(平均:4.4±1.7)。・うつ症状を有する人は、女性、20~29歳、未婚、低所得である可能性が高かった。・非常に頻繁な対面によるつながりは、うつ症状や孤独感の低下と関連が認められたが、頻繁なリモートによるつながりでは、この関連は認められなかった。 著者らは「米国におけるCOVID-19パンデミックの初期において、うつ症状や孤独感の上昇が認められた。リモートではなく、対面による社会的および性的つながりを維持した人では、メンタルヘルスのより良い結果が得られた。COVID-19に対する社会的な制限は依然として必要であるが、高リスクの人のためのメンタルヘルスサービスの拡充、リモートによる社会的および性的なつながりを維持する効果的な方法の特定が重要となる」としている。

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日本人双極性障害患者とうつ病患者の認知機能の比較

 国立精神・神経医療研究センターの松尾 淳子氏らは、双極性障害(BD)患者における病期別の認知機能を調査し、うつ病患者や健康対照者の認知機能との比較を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2020年12月27日号の報告。 BD患者139例(寛解期:55例、非寛解期:84例)、うつ病患者311例(寛解期:88例、非寛解期:223例)、健康対照者386例を対象に、ウェクスラー成人知能検査(Wechsler Adult Intelligence Scale-RevisedまたはWAIS-III)を実施した。対象は、日本人の非高齢者で通常推定病前知能指数(IQ)が90超であり、年齢、性別、病前IQは、グループ間で一致していた。 主な結果は以下のとおり。・非寛解期BD患者は、健康対照者と比較し、言語IQ、パフォーマンスIQ、フルスケールIQ、知覚の体制化、ワーキングメモリ、処理速度のスコアが有意に低かった(すべて、p<0.001)。・同様に、非寛解期うつ病患者と比較し、言語IQ、パフォーマンスIQ、フルスケールIQ、ワーキングメモリのスコアが有意に低かった。・非寛解期うつ病患者は、健康対照者と比較し、パフォーマンスIQ(p<0.001)、フルスケールIQ、処理速度(p<0.001)のスコアが有意に低かった。・寛解期BD患者は、健康対照者と比較し、パフォーマンスIQのスコアが有意に低かった(p=0.004)。・寛解期うつ病患者は、健康対照者と比較し、処理速度のスコアが有意に低かった(p=0.030)。 著者らは「うつ病患者では、処理速度のみが明らかな問題であると思われる点と比較し、BD患者では、非寛解状態で全体的かつより重度の認知機能障害が出現している。双極性障害、うつ病患者ともに、寛解期であっても認知機能低下が認められるようである」としている。

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「セルシン」の名称の由来は?【薬剤の意外な名称由来】第36回

第36回 「セルシン」の名称の由来は?販売名2mg セルシン®錠5mg セルシン®錠10mg セルシン®錠セルシン®散1%セルシン®シロップ0.1%※セルシン注射液はインタビューフォームが異なるため、今回は情報を割愛しています。ご了承ください一般名(和名[命名法])ジアゼパム(JAN)効能又は効果○神経症における不安・緊張・抑うつ○うつ病における不安・緊張○心身症(消化器疾患、循環器疾患、自律神経失調症、更年期障害、腰痛症、頸肩腕症候群)における身体症候並びに不安・緊張・抑うつ○下記疾患における筋緊張の軽減脳脊髄疾患に伴う筋痙攣・疼痛○麻酔前投薬用法及び用量通常、成人には1回ジアゼパムとして2〜5mgを1日2〜4回経口投与する。ただし、外来患者は原則として1日量ジアゼパムとして15mg以内とする。また、小児に用いる場合には、3歳以下は1日量ジアゼパムとして1〜5mgを、4〜12歳は1日量ジアゼパムとして2〜10mgを、それぞれ1〜3回に分割経口投与する。筋痙攣患者に用いる場合は、通常成人には1回ジアゼパムとして2〜10mgを1日3〜4回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。麻酔前投薬の場合は、通常成人には1回ジアゼパムとして5〜10mgを就寝前または手術前に経口投与する。なお、年齢、症状、疾患により適宜増減する。警告内容とその理由該当しない禁忌内容とその理由(1)急性狭隅角緑内障のある患者[本剤の弱い抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状が悪化するおそれがある。](2)重症筋無力症のある患者[本剤の筋弛緩作用により症状が悪化するおそれがある。](3)リトナビル(HIVプロテアーゼ阻害剤)を投与中の患者※本内容は2020年1月27日時点で公開されているインタビューフォームを基に作成しています。※副作用などの最新の情報については、インタビューフォームまたは添付文書をご確認ください。1)2017年3月改訂(第6版)医薬品インタビューフォーム「2mg セルシン®錠/5mg セルシン®錠/10mg セルシン®錠・セルシン®散1%・セルシン®シロップ0.1%」2)武田テバ DI-net:製品情報一覧

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退院1ヵ月後の統合失調症患者の健康状態に影響を及ぼす要因

 統合失調症を含む精神疾患患者の健康状態を良好に保つためには、退院から地域や家庭へなじむまでの期間が重要となる。タイ・マヒドン大学のAnantree Smithnaraseth氏らは、健康状態に影響を及ぼす患者および病院の要因を調査し、退院後30日間でどのような影響が認められるかを検討した。BMC Psychiatry誌2020年12月14日号の報告。 対象は、統合失調症患者1,255例およびタイの公立精神科病院13施設の主介護者。退院後30日間における患者および病院の要因が患者の健康状態に及ぼす影響を調査するため、ロジスティック回帰、マルチレベルロジスティック回帰を用いた。 主な結果は以下のとおり。・クラス内相関係数では、病院間の違いによる健康状態の変化は、14%で認められた。・退院後30日間で健康状態の悪化が認められた患者は、14.26%であった。・対象患者は、男性が69.8%、独身者が71.87%を占めており、平均年齢は38.09±9.74歳であった。・健康状態が悪化する可能性の低い患者の要因は、以下のとおりであった。 ●女性(調整OR:0.53、95%CI:0.31~0.92) ●中程度から高度の介護に対するポジティブな考え([中程度]調整OR:0.24、95%CI:0.14~0.42、[高度]調整OR:0.05、95%CI:0.02~0.09) ●退院の準備ができている認識(調整OR:0.21、95%CI:0.13~0.33) ●部分的および完全な治療アドヒアランス([部分的]調整OR:0.24、95%CI:0.14~0.42、[完全]調整OR:0.31、95%CI:0.20~0.47)・物質使用障害は、健康状態を悪化させる傾向が示唆された(調整OR:1.55、95%CI:0.98~2.44)。・退院後30日間で健康状態の悪化に影響を及ぼす可能性が高まる病院の要因は、退院計画プロセス(調整OR:1.64、95%CI:1.17~2.30)と看護比率(調整OR:1.16、95%CI:1.09~1.22)であった。 著者らは「患者と病院の両方の要因が、患者の健康状態に影響を及ぼすと考えられる。これらの結果は、メンタルヘルスポリシーのより適切なターゲティングにつながり、より正確な情報収集とリソース配分が可能となるであろう。今後の研究では、より焦点を絞り、退院後の健康状態に影響を及ぼす病院の要因の経路についての調査が必要とされる」としている。

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双極I型うつ病に対するルラシドンの長期治療

 日本人を含む多民族の双極性うつ病の短期治療に対する抗精神病薬ルラシドンの有効性が示唆されている。CNS薬理研究所の石郷岡 純氏らは、双極性うつ病患者に対するルラシドンの長期治療に対する有効性および安全性を評価するため、28週間のオープンラベル試験での検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年12月8日号の報告。 ルラシドン(20~60mg/日、80~120mg/日)およびプラセボの6週間二重盲検比較試験を終了した患者を28週間の延長試験の対象とした。延長試験では、ルラシドン20~120mg/日のフレキシブルドーズで投与した。安全性については、有害事象、バイタルサイン、体重、心電図、臨床検査、自殺傾向、錐体外路症状の延長試験時のベースラインからエンドポイントまでの変化を評価した。有効性については、Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)およびほかの指標で評価した。 主な結果は以下のとおり。・413例中303例(73.3%)が延長試験を完了した。・6週間の試験でプラセボを投与された患者の11.4%、ルラシドンを投与されていた患者の8.9%で治療に起因する有害事象による中止が認められた。・治療に起因する有害事象は、アカシジアが最も多かった。・体重および代謝パラメータの変化は、最小限であった。・延長試験時のベースラインから28週目(またはエンドポイント)までのMADRS合計スコアの変化は、6週間の試験でプラセボを投与された患者(-11.3)とルラシドンを投与されていた患者(-8.9)の両方で減少が認められた。 著者らは「双極性うつ病患者に対するルラシドン(20~120mg/日)の長期治療では、新たな安全性の懸念が認められることなく、忍容性の高さと、うつ症状の継続的な改善が認められた」としている。

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うつ症状が心血管疾患発症と関連/JAMA

 22コホート・参加者56万3,255例のデータを包含したプール解析において、ベースラインのうつ症状は心血管疾患(CVD)と関連していることを、英国・ケンブリッジ大学のEric L. Harshfield氏らEmerging Risk Factors Collaboration(ERFC)研究グループが明らかにした。ただし、症状レベルは大うつ病性障害を示す閾値よりも低く、関連の程度はわずかであった。これまで、うつ症状が独立してCVD発症と関連するかどうかは不明であった。JAMA誌2020年12月15日号掲載の報告。22コホート・56万3,255例のデータをプール解析 研究グループは、気分の落ち込みを含むうつ症状とCVD発生の関連を明らかにする目的で、Emerging Risk Factors Collaboration(21コホート・16万2,036例、ベースラインサーベイ期間:1960~2008年、最終フォローアップ:2020年3月)と、UK Biobank(40万1,219例、ベースラインサーベイ期間:2006~2010年、最終フォローアップ:2020年3月)の被験者データを基にプール解析を行った。適格被験者は、ベースラインでうつ症状を自己申告しており、CVD歴はなかった。 被験者のうつ症状は、検証済みの評価ツールを用いて記録。ERFC被験者のうつ病スコアは、Center for Epidemiological Studies Depression(CES-D)スケールをコホート全体に反映して調整したうえで評価が行われた(スコア範囲:0~60、16以上がうつ病性障害の可能性を示す)。UK Biobankでは、2-item Patient Health Questionnaire 2(PHQ-2、スコア範囲:0~6、3以上がうつ病性障害の可能性を示す)で記録された。 主要アウトカムは、致死的または非致死的の冠動脈疾患(CHD)、脳卒中、およびCVD(両者を併発)の発生であった。 年齢、性別、喫煙歴、糖尿病で補正後のCES-DまたはPHQ-2スコアの1-SD上昇当たりのハザード比(HR)を算出して評価した。うつスコア上昇に伴いCHD、脳卒中、CVDとも発生率増大 ERFC被験者16万2,036例(女性73%、ベースライン平均年齢:63歳[SD 9])では、CHD 5,078例、脳卒中3,932例の発生が記録された(追跡期間中央値:9.5年)。 CHD、脳卒中、およびCVDとの関連性は顕著な対数線形を示した。うつ病スコア1-SD上昇当たりのHRは、CHDが1.07(95%信頼区間[CI]:1.03~1.11)、脳卒中が1.05(1.01~1.10)、CVDが1.06(1.04~1.08)であった。CES-Dスコアの最高四分位(幾何平均スコア19)vs.最低四分位(同1)でみた1万人年当たりの発生率は、CHDイベントが36.3 vs.29.0、脳卒中イベントは28.0 vs.24.7、CVDイベントは62.8 vs.53.5であった。 UK Biobank被験者40万1,219例(女性55%、ベースライン平均年齢56歳[SD 8])では、CHD 4,607例、脳卒中3,253例の発生が記録された(追跡期間中央値:8.1年)。 うつ病スコア1-SD上昇当たりのHRは、CHDが1.11(95%CI:1.08~1.14)、脳卒中が1.10(1.06~1.14)、CVDが1.10(1.08~1.13)であった。PHQ-2スコアの4以上vs.0でみた1万人年当たりの発生率は、CHDイベントが20.9 vs.14.2、脳卒中イベントは15.3 vs.10.2、CVDイベントは36.2 vs.24.5であった。 HRの大きさと統計学的有意性は、追加リスク因子で補正後も実質的に変化はみられなかった。

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日本人男性における周産期うつ病有病率~メタ解析

 周産期うつ病は、女性のみならず男性においても発症する精神疾患である。父親の周産期うつ病の有病率に関するこれまでの国際的なメタ解析では、異文化または社会経済的環境が父親のうつ病に影響を及ぼす可能性があることを示唆している。しかし、これらのデータが、日本人男性においても当てはまるかどうかは明らかでなく、日本人男性を対象とした報告は少ない。獨協医科大学の徳満 敬大氏らは、日本人男性における周産期うつ病の有病率を推定するため、検討を行った。Annals of General Psychiatry誌2020年11月18日号の報告。 1994年1月~2018年6月に報告された日本人男性を対象とした出産前または産後うつ病の有病率に関する研究を、PubMed、医中誌より検索し、データを抽出した。日本人男性における父親の周産期うつ病の期間有病率を調査し、性差に関するサブグループ解析も実施した。 主な結果は以下のとおり。・基準を満たした研究は、最終的に15件であった。・男性における出産前または期間別の産後うつ病の有病率は、以下のとおりであった。 ●出産前:8.5%(95%CI:3.3~20.3) ●産後1ヵ月以内:9.7%(95%CI:7.4~12.8) ●産後1~3ヵ月:8.6%(95%CI:5.5~13.3) ●産後3~6ヵ月:13.2%(95%CI:11.6~15.0) ●産後6~12ヵ月:8.2%(95%CI:1.3~38.0)・出産前うつ病の有病率は、女性よりも男性のほうが有意に低かった。・産後うつ病の有病率は、男女間で有意な差が認められなかった。 著者らは「日本人男性における周産期うつ病の有病率は、全体として約10%であり、産後3~6ヵ月でピークに達していた。本結果は、国際的なメタ解析の結果と類似していた。とくに、産後うつ病の有病率は、女性だけでなく男性においても同様に高いことが明らかとなった。そのため、父親の周産期うつ病に対しては、出産前よりも産後により注意を払う必要がある」としている。

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統合失調症の自殺死亡率とその方法

 統合失調症患者の主な死因の1つは、自殺である。台湾・国立政治大学のChun-Hung Pan氏らは、統合失調症患者の自殺方法別の発生率を一般集団と比較するため、コホート研究を実施した。Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology誌オンライン版2020年11月27日号の報告。統合失調症の自殺方法は性別により異なることが示唆された 対象は、2001~16年の台湾健康保険研究データベースより抽出した統合失調症患者17万4,039例。フォローアップ期間中に死亡した患者数は2万6,926例、その内自殺により死亡した患者は3,033例であった。自殺に関連する人口統計学的変数を推定するため、単変量Cox回帰分析を用いた。統合失調症患者の自殺方法別の割合を、一般集団と比較し推定した。自殺方法別の発生率と標準化死亡比(SMR)を算出し、性別に基づいて層別化した。 統合失調症患者の自殺方法別の発生率を一般集団と比較した主な結果は以下のとおり。・自殺リスクが最も高い年齢層は、25~34歳であった。・統合失調症患者では、一般集団と比較し、飛び降り、溺死による自殺が多く、炭の使用、首吊りによる自殺が少なかった。・女性は、男性よりも溺死や飛び降りによる自殺の発生率が高かった。・物質使用障害の合併は、自殺によるSMRの高さと関連しており(26.9、95%CI:23.4~28.9)、とくに飛び降りによる自殺の場合に顕著であった(61.2、95%CI:48.3~76.3)。 著者らは「統合失調症患者は、一般集団と比較し、すべての方法による自殺率が高かった。統合失調症患者の自殺方法は、性別により異なることが示唆された。物質使用障害を合併した患者では、自殺方法別のSMRが高いため、とくに注意が必要である」としている。

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うつ病患者のBMIと治療結果との関連

 うつ病患者では、抗うつ薬の治療反応が悪いと、BMIが高まる可能性がある。しかし、治療反応に対する低体重の影響はよくわかっていない。また、治療反応を予測するためにBMI測定を実施すべきかについても研究されていなかった。中国・首都医科大学のLe Xiao氏らは、うつ病患者のBMIと治療結果との関連について検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年11月12日号の報告。 抗うつ薬(パロキセチン、ミルタザピン、パロキセチン+ミルタザピン)の治療結果を報告した臨床試験の成人うつ病患者202例のデータを事後分析した。ベースライン時のBMIおよび0、2、3、4、6、8週目のハミルトンうつ病評価尺度(HAMD-17)による症状重症度を測定した。肥満度の分類は、BMI18.5未満(低体重)、18.5~23.9(正常体重)、24以上(過体重)と定義した。エンドポイントにおけるHAMD-17スコアの減少、反応(HAMD-17スコア50%以上の減少)、寛解(HAMD-17スコア7以下)に対するベースライン時のBMIの影響を調査するため、単変量分析を用いた。継続的な体重やBMIの測定とHAMD-17スコアの減少との関連を調査するため、ピアソン相関係数を用いた。寛解の予測因子の検討には、ロジスティック回帰分析を用いた。BMIとHAMD-17の変化との関連を明らかにするため、多重線形回帰分析を用いた。主な結果は以下のとおり。・肥満度の分類では、正常体重111例(55.0%)、低体重20例(9.9%)、過体重71例(35.1%)であった。・低体重の患者では、抗うつ薬の治療反応が最も良好であった。・非寛解患者は、寛解患者と比較し、体重およびBMIが高値であった(p<0.05)。・HAMD-17スコアの減少は、ベースライン時の体重(r=-0.16、p=0.032)およびBMI(r=-0.19、p=0.012)と関連が認められた。・ロジスティック回帰では、正常体重および低体重の患者(BMI24未満)は、過体重の患者と比較し、寛解率が2倍高かった(OR:1.958、95%CI:1.015~3.774、p=0.045)。・多重線形回帰では、BMI増加とHAMD-17合計スコア変化の減少との関連が認められた(β=-0.32、p=0.016)。 著者らは「うつ病の治療結果は、BMIにより予測できることが確認された。また、抗うつ薬治療が最も奏効するのは、低体重の患者であることが初めて明らかとなった。本調査結果は、BMIによる抗うつ薬の選択に際し、意思決定に役立つ可能性がある」としている。

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初発精神疾患患者における抗精神病薬治療の中止率

 コンプライアンスの不良は、精神疾患患者にとって重要な問題である。精神疾患の再発を予防するうえで抗精神病薬治療は有用であるが、初回エピソード精神疾患後の治療期間に関する明確な推奨事項はなく、治療中止率やその原因については、よくわかっていない。スペイン・バスク大学のAna Catalan氏らは、初回エピソード精神疾患患者における抗精神病薬治療を中止するまでの期間と再発までの期間について調査を行った。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2020年12月7日号の報告。 初回エピソード精神疾患患者の大規模サンプルを用いて2年間評価し、すべての原因による抗精神病薬治療を中止するまでの期間と最初の再発までの期間を比較した。対象患者の社会人口統計学的および精神病理学的特徴、再発回数を収集した。 主な結果は以下のとおり。・初回エピソード精神疾患患者310例(平均年齢:30.2±11.2歳)を対象に、7つの早期介入チームが評価を行った。・診断では、特定不能の精神疾患(36.1%)が最も多く、使用された抗精神病薬は、リスペリドン(26.5%)、オランザピン(18.7%)が多かった。・最初の抗精神病薬治療の中止理由は、有効性の欠如であり、次いでコンプライアンス不良であった。・抗精神病薬の種類による再発率の差は認められなかった。・剤形では、長時間作用型注射剤(LAI)で治療された患者は、経口剤で治療された患者と比較し、治療から離脱することが少なかった。 著者らは「薬剤間での再発率の差は認められなかったが、剤形間では定着率の違いが認められた。精神医学では、コンプライアンスは依然として重要な問題であるため、LAI治療などさまざまな治療戦略を用いて、コンプライアンス向上を促進する必要がある」としている。

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抗うつ薬とベンゾジアゼピン併用療法に関連する死亡リスク

 抗うつ薬による治療開始後の数週間は、治療効果が十分でないため、不眠や不安による抑うつ症状の軽減に、ベンゾジアゼピン(BZD)が併用される。しかし、抗うつ薬とBZDの併用療法に関連する死亡リスクは調査されておらず、うつ病治療に対するベネフィットも明らかになっていない。この疑問について、韓国・成均館大学校のHan Eol Jeong氏らが、コホート研究による検討を行った。BMC Medicine誌2020年12月9日号の報告。 2002~17年の韓国医療データベースを用いて、人口ベースのコホート研究を実施した。うつ病患者260万人のうち、抗うつ薬またはBZDを新たに処方された患者61万2,729例を抽出した。診断後6ヵ月以内に実施されたうつ病治療に応じて、抗うつ薬単独療法群(AD群)または抗うつ薬とベンゾジアゼピン併用療法群(AD+BZD群)に分類した。群間比較を実施するため、ベースライン特性の調整に傾向スコアを用いた。主要アウトカムは、全死因死亡とした。フォローアップ期間は、アウトカム発現時または研究期間終了時とした。AD群とAD+BZD群の死亡リスクのハザード比(HR)、95%信頼区間(CI)を推定するため、多変量Cox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・傾向スコアが一致したAD群51万9,780例、AD+BZD群25万9,890例のベースライン特性はバランスがとれていた。・AD+BZD群は、AD群と比較し、全死因死亡リスクの増加と関連が認められた(調整HR:1.04、95%CI:1.02~1.06)。 著者らは「うつ病に対する抗うつ薬とBZDの併用療法は、死亡リスクの中程度の増加と関連が認められたため、BZDを併用する場合には注意が必要である」としている。

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日本人うつ病就労者における職場での主観的事例の性差

 日本におけるうつ病患者数は、増加を続けている。うつ病による経済的影響には、アブセンティズム(欠勤や遅刻、早退など)とプレゼンティズム(心身の問題によるパフォーマンスの低下)の両方を介した生産性の低下がある。また、うつ病の有病率、発症経緯、自覚症状には、男女間で差があるといわれている。大阪市立大学の仁木 晃大氏らは、日本人うつ病就労者が、職場における問題をどのように認識しているかを調査し、うつ病の初期段階における職場での主観的な機能レベルの性差について検討を行った。Occupational Medicine誌オンライン版2020年11月28日号の報告。 日本人うつ病就労者を対象に、横断的研究を実施した。対象者の職場における主観的な機能レベルの変化は、初回診断後に調査した。対象者が最初に感じた機能レベルの変化に対する性別の影響は、カイ二乗検定および残差分析を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・調査対象者は、147人であった。・男性では、女性と比較し、仕事の効率が低下したと報告する割合が有意に高かった。・女性では、男性と比較し、同僚や上司との人間関係の問題を報告する割合が有意に高かった。 著者らは「男性では仕事の効率低下、女性では社内での人間関係の問題に注意することが、メンタルヘルスのセルフケアにおいて重要な要素であることが示唆された。管理職に携わる人は、従業員の機能レベルに注意し、適切な社会的支援を提供する必要がある」としている。

899.

統合失調症の新たな治療標的としてのPPARαの可能性

 統合失調症の病態生理は、いまだによくわかっていない。理化学研究所の和田 唯奈氏らは、統合失調症患者における核内受容体の一つであるペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)/レチノイドX受容体(RXR)の役割について分析を行った。EBioMedicine誌2020年11月19日号の報告。 日本人統合失調症患者1,200例のDNAサンプルを用いて、分子反転プローブ(MIP)ベースのターゲット次世代シークエンシング(NGS)により、PPAR/RXR遺伝子のスクリーニングを行った。その結果について、日本のコホートデータ(ToMMo)やgnomADの全ゲノムシークエンスデータベースとの比較を行った。PPAR/RXR遺伝子の機能低下と統合失調症との関係を明らかにするため、Ppara KOマウスとフェノフィブラートを投与したマウスを用いて、行動学的、組織学的およびRNA-seq解析により評価を行った。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症のリスク変異体として、c.209-2delAの欠損およびHis117Gln、Arg141Cys、Arg226Trpのミスセンス変異が同定された。・c.209-2delA変異は、未成熟終止コドンを生成した。・3つのミスセンス変異は、in vitroでの転写因子としてのPPARα活性を有意に低下させた。・Ppara KOマウスは、行動障害や大脳皮質のシナプス形成障害など、統合失調症に関連する表現型を示した。・フェノフィブラート経口投与により、NMDA受容体拮抗薬であるフェンサイクリジンにより誘発される脊椎病変の軽減が認められた。・フェノフィブラートを事前に投与しておくと、ほかのNMDA受容体拮抗薬であるMK-801に対するマウスの感受性が抑制された。・RNA-seq解析により、PPARαがシナプス形成シグナル伝達経路関連遺伝子の発現を調整していることが明らかとなった。 著者らは「統合失調症発症の根底にあるメカニズムには、PPARαで調整される転写機構やシナプスの調整が関連していることが示唆された。PPARαが統合失調症の治療ターゲットになり得ることが発見されたことで、新規治療薬開発への道が拓ける可能性がある」としている。

900.

COVID-19パンデミックによるメンタルヘルスへの影響~メタ解析

 COVID-19に関連したうつ病、不安神経症、不眠症、PTSD、精神的苦痛(PD)の有病率を推定するため、カナダ・オタワ大学のJude Mary Cenat氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Psychiatry Research誌オンライン版2020年11月26日号の報告。 Medline、Embase、APA PsycInfo、CINAHL、Scopus、Web of Scienceより検索を行った。うつ病、不安神経症、不眠症、PTSD、PDの有病率について性別、医療従事者、調査対象地域におけるグループ間の違いを評価するため、ランダム効果メタ解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・2,189件の研究をスクリーニングし、136件について評価した。その内、メタ解析の選択基準を満たした研究は、55件(18万9,159例)であった。・うつ病の有病率は、15.97%(46件、95%CI:13.24~19.13)であった。・不安神経症の有病率は、15.15%(54件、95%CI:12.29~18.54)であった。・不眠症の有病率は、23.87%(14件、95%CI:15.74~34.48)であった。・PTSDの有病率は、21.94%(13件、95%CI:9.37~43.31)であった。・PDの有病率は、13.29%(19件、95%CI:8.80~19.57)であった。・グループ間の違いは、非医療従事者と比較し、医療従事者における不眠症有病率の高さのみで認められた(z=2.69、p<0.05)。 著者らは「COVID-19による短期的なメンタルヘルスへの影響は、影響を受けた地域および性別において同様に大きいことが示唆された。しかし、医療従事者においては、不眠症の有病率が、非医療従事者よりも有意に高い」としている。

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