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医学生に労働法の知識を!医師や弁護士がモデル講義/厚生労働省

 医師の過重労働の問題が指摘されて久しいが、2024年4月から医師に対する時間外労働の上限規制をはじめとした「医師の働き方改革」がスタートする。これを踏まえ、厚生労働省では、今後医師となる医学生に対し、労使関係の基本となる労働法や医師の働き方改革の基本を知ってもらうべく、医師や弁護士を講師としたモデル授業をスタートした。 2022年度からスタートしたこのモデル講義について、大学関係者に対して紹介する「医学部等における労働法教育を考えるシンポジウム」が開催され、モデル授業を担当した医師や弁護士が講義内容やその意義を報告した。 関西医科大学などで講義を行った大阪医科薬科大学 消化器外科の河野 恵美子氏は次のように振り返る。 「講義は、医師の働き方改革のあゆみや今後のスケジュールの共有からスタートしました。私は外科医なので日本外科学会が2012年に行ったアンケート結果から、20~30代の外科医の75%近くが週80時間以上の労働時間となっている、という厳しい実態を紹介しました。そして海外と比較した日本の病床数や医師の業務実態などのデータを提供し、働き方の改善策を考えてもらいました。次に私自身のキャリアや育児期の働き方を紹介し、女性外科医のリアルな働き方を知ってもらいました。講義後のアンケートでは約9割の学生から『有意義だった』という感想が寄せられ、自由回答でも『外科は厳しい印象があったが、やり方次第では出産・育児と両立できそうだと感じた』といった声が寄せられました。講義のポイントは、働き方改革の趣旨・目的を伝え、多様な働き方を提示することで学生の内発的モチベーションを向上させることだと感じました」 続いて日本医師会で常任理事を務める神村 裕子氏が自分の講義を振り返った。 「講義の冒頭で1998年の研修医過労死、1999年の小児科医過労自死と、今の働き方改革につながった重大な事件を紹介し、合わせて働き過ぎで肉体、精神がいかに蝕まれるかについての具体的なデータを示しました。私は精神科医なので、精神疾患による労災認定が増えているデータや、ワークライフバランスが崩れている意識がある人は超過労働がうつ病の発症に結びつきやすいというデータも示しました。過重労働が心身に与える影響を理解してもらい、研修医・医師も労働法に守られかつ守る立場であること、自分だけではなく他職種の労働上の権利も尊重すべきであること、という要点を伝えました」 日本赤十字社医療センター産婦人科の木戸 道子氏は「医学生は先輩などから医師になった後の働き方の情報を入手しているが、部分的なものであることが多く、法的根拠を含めた全体的な知識を持つことが重要だ。学生も参加するワークショップ形式にすることで、まだ臨床実習の始まっていない年次の学生でも自分ごととして捉えてもらえる。モデル講義を重ねてブラッシュアップし、今後の医学教育のカリキュラムとして組み込んでいくことが求められる」と話した。 厚生労働省ではモデル講義の導入を検討する医学部関係者に対し、取り組みやモデル授業の概要、実施のステップをまとめた冊子1)を作成して配布、PDFでも公開している。

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統合失調症における抗精神病薬使用と心臓突然死リスク

 抗精神病薬で治療される統合失調症患者は、心臓突然死のリスクが高いといわれている。獨協医科大学の岡安 寛明氏らは、統合失調症患者における抗精神病薬の使用と心臓突然死リスクとの関連を明らかにするため、deceleration capacity(DC)(心臓突然死の予測因子として用いられる心拍変動の指標)の低下を調査し、抗精神病薬の使用による心臓突然死リスクを、DCの評価と補正QT間隔(QTc)との関連で評価した。DCが抗精神病薬を使用する統合失調症患者の心臓突然死リスク増加の特定に役立つ可能性 その結果、抗精神病薬を使用している統合失調症患者においてDCを評価することは、心臓突然死リスク増加のモニタリングおよび特定に役立つ可能性が示唆された。また、DCとQTcの両方の評価で、心臓突然死の予測精度が向上する可能性があることも報告された。General Hospital Psychiatry誌オンライン版2023年1月14日号の報告。 統合失調症患者138例のDCとQTcを測定し、年齢、性別をマッチさせた健康対照者86例と統合失調症患者86例のDCを比較した。統合失調症患者138例のDCと使用する抗精神病薬の用量の相関関係を調査するため、線形回帰分析を用いた。QT延長の有無による統合失調症患者のDCを比較した。 統合失調症患者における抗精神病薬の使用と心臓突然死リスクとの関連を評価した主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬を使用している統合失調症患者と健康対照者で、DCが有意に異なることが確認された。・DCは抗精神病薬の使用(とくにクロルプロマジン、ゾテピン、オランザピン、クロザピン)と用量依存的な負の相関が認められた。・DCとQTcとの間に有意な関連は認められなかった。

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3月3日 耳の日【今日は何の日?】

【3月3日 耳の日】〔由来〕 「3(み)月3(み)日」との語呂合わせ、数字の「3」が耳の形にみえること、電話の発明家で音声学と聾唖教育で活躍したグラハム・ベルの誕生日であることから、日本耳鼻咽喉科学会の提案により1956(昭和31)年に制定。同会では、都道府県ごとに難聴で悩んでいる方々の相談のほか、一般の方にも耳の病気や健康な耳の大切さの啓発活動を行っている。関連コンテンツ難聴と認知症【外来で役立つ!認知症Topics】耳鳴りがするときの症状チェック【患者説明用スライド】コロナにやられて耳が聞こえない!【Dr. 中島の 新・徒然草】医療マンガ大賞2021 言葉にしないと伝わらないこと(言語聴覚士視点)フクラアカリガエル氏高齢者における難聴とうつ病との関係~メタ解析

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双極性障害、うつ病、自殺企図へのT. gondiiの影響

 双極性障害、うつ病、自殺企図における寄生性原生生物トキソプラズマ(T. gondii)の潜伏感染の影響については長期間にわたり議論されているが、T. gondiiが脳や行動を操作する方法に関してエビデンスは不足しており、この推測は不明のままである。トルコ・イスタンブール大学のOmer Faruk Demirel氏らは、自殺企図を有する/有さない双極性障害およびうつ病患者へのT. gondii感染の影響を検討するため本研究を実施した。その結果、T. gondii潜伏感染は、双極性障害および自殺企図の原因と関連している可能性が示唆された。Postgraduate Medicine誌オンライン版2023年2月6日号の報告。 自殺企図の有無にかかわらず双極性障害およびうつ病患者に対するT. gondii感染の影響を検討するため、血清学的および分子ベースの評価を行い、年齢、性別、居住地域(県)がマッチした健康対照者と比較した。双極性障害患者147例、うつ病患者161例、健康対照者310例をプロスペクティブに評価した。 主な結果は以下のとおり。・T. gondiiの血清陽性率は、双極性障害患者で57.1%、うつ病患者で29.2%、自殺企図を有する患者で64.8%、健康対照者で21.3%であった。・二項ロジスティック回帰分析では、T. gondii陽性の免疫グロブリンG(IgG)の状態は、双極性障害および自殺企図の顕著な傾向因子である可能性が示唆されたが、うつ病では示唆されなかった。 ●双極性障害(OR:3.52、95%信頼区間[CI]:2.19~5.80、p<0.001) ●自殺企図(OR:17.17、95%CI:8.12~36.28、p<0.001) ●うつ病OR:1.21、95%CI:0.74~1.99、p=0.45)・PCRによるT. gondiiのDNA比率では、双極性障害およびうつ病との関連が認められた。

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日本人統合失調症患者に対する長時間作用型抗精神病薬注射剤の有効性比較

 明治薬科大学のYusuke Okada氏らは、日本人統合失調症患者に対する各種長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬(アリピプラゾール、パリペリドン、リスペリドン、フルフェナジン/ハロペリドール)の有効性の比較を行った。その結果、アリピプラゾールとパリペリドンのLAIは、フルフェナジン/ハロペリドールと比較し、精神科入院およびLAI中止のリスクが低かった。また、アリピプラゾールLAIは、リスペリドンよりもLAI中止リスクが低いことも報告した。Schizophrenia Research誌2023年2月号の報告。 2つのレセプトデータベースを用い、レトロスペクティブコホート研究を実施した。対象は、2015年5月~2019年11月の間にLAI抗精神病薬による治療を開始した統合失調症外来患者。精神科入院リスクとLAI中止リスクをLAI間で比較するため、Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比(HR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・薬剤ごとの適格基準を満たした使用開始患者数は、アリピプラゾール303例、パリペリドン124例、リスペリドン73例、フルフェナジン/ハロペリドール123例であった。・精神科入院リスクについて、アリピプラゾール(HR:0.47、95%信頼区間[CI]:0.28~0.78)とパリペリドン(HR:0.50、95%CI:0.28~0.89)は、フルフェナジン/ハロペリドールと比較し、リスクが有意に低かった。また、リスペリドンは、アリピプラゾールおよびパリペリドンと同様の傾向が認められた。・LAI中止リスクについて、アリピプラゾール(HR:0.53、95%CI:0.35~0.80)とパリペリドン(HR:0.57、95%CI:0.35~0.92)は、フルフェナジン/ハロペリドールと比較し、リスクが有意に低かった。・アリピプラゾールは、リスペリドンと比較し、LAI中止リスクが有意に低かった(HR:0.56、95%CI:0.32~0.98)。

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うつ病や高レベルの不安症状を有する患者に対するボルチオキセチンの最新分析

 うつ病患者の多くは、不安症状を合併している。デンマーク・H. Lundbeck A/SのMichael Adair氏らは、うつ病患者の不安症状の治療に有効であるといわれているボルチオキセチンが、承認されている用量の範囲で有効性および忍容性が認められるかを検討した。その結果、ボルチオキセチンは、前治療で効果不十分であった患者を含むうつ病および高レベルの不安症状を有する患者に対し、有効かつ良好な忍容性を示し、最大の効果が20mg/日で認められたことを報告した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2023年1月25日号の報告。 うつ病および高レベルの不安症状(ハミルトン不安評価尺度[HAM-A]総スコア20以上)を有する患者を対象に、ボルチオキセチン5~20mg/日の有効性および忍容性を検討するため、4つのランダム化固定用量プラセボ対照試験(842例)からプールされたデータを用いた。前治療で効果不十分であった患者299例において、ボルチオキセチン10~20mg/日とagomelatine 25~50mg/日を比較したランダム化二重盲検試験のデータを個別に分析した。Montgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)、HAM-A、シーハン障害尺度(SDS)の総スコアのベースラインからの平均変化量を、ボルチオキセチンの投与量別に分析した。 主な結果は以下のとおり。・固定用量試験からプールされた分析では、MADRS、HAM-A、SDSの総スコアの改善に関して、ボルチオキセチン5~20mg/日における用量反応関係が認められた。・ボルチオキセチン20mg/日は、プラセボと比較し、4週目以降の有意な効果が確認された。・前治療で反応が不十分であった患者を対象とした事後分析では、ボルチオキセチン10~20mg/日はagomelatineと比較し、4週目以降のすべてのアウトカムにおいて優れた効果が確認された。・ボルチオキセチンを20mg/日まで増量した場合でも、有害事象の増加は認められなかった。・いずれの研究も短期試験であり、長期的な影響は確認できなかった。

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初発統合失調症患者が抗精神病薬を服薬中断した理由

 統合失調症患者の多くは、初回治療で使用した抗精神病薬の服薬を中止する。初発統合失調症患者における服薬中断の理由については、明らかになっていないことも多い。デンマーク・コペンハーゲン大学病院のAnne Emilie Sturup氏らは、初発統合失調症患者における抗精神病薬治療の服薬中断または継続の理由、それらの個人差、予測因子を特定するため、事後デザインによるプロスペクティブコホート研究を行った。その結果、抗精神病薬の服薬中断の主な理由は副作用であり、継続の主な理由は効果であった。著者らは、抗精神病薬治療の服薬中断および継続の理由を認識することは、統合失調症治療における意思決定の共有、服薬中断する可能性が高い患者の特定、アドヒアランスの向上、安全な治療中止に有用であるとしている。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2023年1月24日号の報告。初発統合失調症患者215例で服薬中断の理由を報告した患者は76例 対象は、2009~12年にデンマークの精神疾患早期介入チーム(early intervention teams:EIT)が治療を行った初発統合失調症患者。社会人口統計学的および臨床的変数はベースライン時に収集し、抗精神病薬の服薬中断および継続の理由は3.5年間フォローアップし評価した。 初発統合失調症患者における抗精神病薬治療の服薬中断または継続の理由を研究した主な結果は以下のとおり。・初発統合失調症患者215例中、抗精神病薬の服薬中断の理由を報告した患者は76例、継続の理由を報告した患者は139例であった。・主な服薬中断の理由は、「副作用」「以前よりも改善したので、服薬の必要がないと思った」であった。・主な継続の理由は、「陽性症状に対してメリットがあると感じている」「他者から継続するよう言われた」であった。・抗精神病薬を服薬中断した患者は、継続した患者と比較し、次の特徴が認められた。●ベースライン時の年齢が若い●未治療期間が長い●陰性症状が少ない●社会機能が良好●コンプライアンスが低い●対処法に自信がある●使用する抗精神病薬が少ない

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アリピプラゾール長時間作用型注射剤切り替えの有効性

 急性期および慢性期の統合失調症患者を対象に、パリペリドンパルミチン酸エステルの長時間作用型注射剤(LAI)を含む第2世代抗精神病薬から月1回のアリピプラゾールLAIへ切り替えた場合の有効性について、韓国・全南大学校のSung-Wan Kim氏らが検討を行った。その結果、他の抗精神病薬からアリピプラゾールLAIへの切り替え成功率は高く、アリピプラゾールLAIの優れた忍容性と有効性が示唆された。また、精神病理や社会的機能の改善は、罹病期間が短い統合失調症患者においてより顕著に認められ、代謝異常の改善は、慢性期患者でより顕著に認められた。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2023年2月28日号の報告。 統合失調症患者82例を対象に、24週のプロスペクティブ・オープンラベル・フレキシブルドーズ切り替え試験を実施した。陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、個人的・社会的機能遂行度尺度(PSP)、臨床全般印象度(CGI)、主観的ウェルビーイング評価尺度短縮版(SWN-K)、コンピュータ化されたemotional recognition test(ERT)を用いて評価した。対象患者は、5年間の罹病期間に基づいて急性期群と慢性期群に分類した。 主な結果は以下のとおり。・82例中67例(81.7%)が24週間の試験を完了した。・アリピプラゾールLAIに切り替えた後の中止率において、切り替え前の抗精神病薬の種類を含む臨床的特徴による差は認められなかった。・アリピプラゾールLAIに切り替え後、PANSS、PSP、CGI、SWN-K、ERTスコアの有意な改善が認められた。また、代謝パラメータや体重の増加は認められなかった。・急性期群は慢性期群よりも、PANSS、PSP、CGIスコアの改善が有意に高く、慢性期群は急性期群よりも、代謝パラメータの有意な改善が認められた。

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食物繊維の摂取とうつ病・不安との関係~メタ解析

 食物繊維の摂取とうつ病との関連について、これまでの研究結果には一貫性が認められていない。イラン・テヘラン医科大学のFaezeh Saghafian氏らは、食物繊維の摂取とうつ病および不安症との関連を明らかにするため、メタ解析を実施した。その結果、食物繊維の摂取が増加するほど、成人のうつ病リスクに対し保護的に作用することが示唆された。Nutritional Neuroscience誌2023年2月号の報告。 2021年5月までに公表された研究を、電子データベースよりシステマティックに検索した。食物繊維の摂取とうつ病および不安症との関連を調査した18件の研究(横断研究:12件、コホート研究:5件、ケースコントロール研究:1件)をメタ解析に含めた。うつ病に関する研究は、15件が成人を対象に、3件が青少年を対象に実施されていた。不安症に関する研究は、適格研究が不十分なため、分析には含めなかった。 主な結果は以下のとおり。・食物繊維の総摂取量は、成人のうつ病オッズ比(OR)の10%低下(OR:0.90、95%信頼区間[CI]:0.86~0.95)および青少年のうつ病ORの57%低下(OR:0.43、95%CI:0.32~0.59)と関連していた。・用量反応メタ解析では、成人において食物繊維の総摂取量とうつ病ORとの間に逆線形関係が認められ、食物繊維の総摂取量が5g増加するごとに、うつ病リスクが5%減少することが示唆された(OR:0.95、95%CI:0.94~0.97)。・野菜からの食物線維の摂取(OR:0.73、95%CI:0.66~0.82)、水溶性食物繊維の摂取(OR:0.80、95%CI:0.71~0.91)とうつ病ORとの間に、有意な逆相関の関連が認められた。・穀物および果物からの食物繊維、不溶性食物繊維とうつ病リスク低下との関連は、わずかであった。

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統合失調症に対する抗精神病薬の治療反応の性差~メタ解析

 オランダ・アムステルダム大学のBram W. C. Storosum氏らは、統合失調症に対する抗精神病薬の治療反応が、性別や閉経状態により影響を受けるかについて、調査を行った。その結果、統合失調症治療において女性のほうが男性よりも抗精神病薬に対する治療反応が得られやすく、この影響は閉経状態やベースライン時の症状重症度(陰性症状)による影響を受けていなかった。Psychiatry Research誌2023年2月号の報告。 統合失調症患者5,231例を対象とした抗精神病薬の短期プラセボ対照登録研究22件のデータを分析した。個々の患者データについて2段階のメタ回帰分析を行い、症状重症度の平均差と治療反応の差(30%超の症状改善)に対する性別および閉経状態の影響を調査した。ベースライン時の症状重症度(陰性症状)で補正した場合としない場合の両方で、分析を行った。 主な結果は以下のとおり。・抗精神病薬による統合失調症治療は、女性において男性よりも、平均的な症状改善効果が高かった。・性別ごとのNNTは、女性で6.9、男性で9.4であった。・治療効果による性差は、閉経前の状態およびベースライン時の症状重症度(陰性症状)の影響を受けなかった。・急性期抗精神病薬治療のエフェクトサイズに対する性別および年齢の影響があるものの、すべてのサブグループにおいて臨床的有効性が認められた。

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子育て世代の日本人女性のうつ症状スクリーニング尺度MDPS-M

 産後うつ病は、出産後の女性にとって重要な問題の1つである。産後うつ病の早期発見と適切な治療には、うつ病リスクの高い女性を迅速かつ簡便に特定することが必要である。大阪大学の竹内 麻里子氏らは、子育て世代の女性の身体症状からうつ症状をスクリーニングする尺度を開発し、検証の結果を報告した。今回、著者らが開発した子育て世代の女性のうつ症状スクリーニング尺度「MDPS-M」は、プライマリケアにおいてうつ病リスクが高い母親の早期の特定に有用かつ簡便な臨床尺度である可能性が示唆されたという。Frontiers in Psychiatry誌2022年12月1日号の報告。 漢方医学の概念に基づいた身体症状に関する17項目の質問(0、1、2点の3段階スコア)からなる、軽症以上のうつ症状をスクリーニングする簡便な自己記入式の尺度Multidimensional Physical Scale(MDPS)を開発した。子育て世代(産後0~6年)の女性1,135人のうち、学習用データとして偏りなくランダムに抽出した785人、検証用データとして350人を対象に解析を行った。うつ病の判定には、ベック抑うつ質問票(BDI-II)を用いた。学習用データの多変量ロジスティック回帰分析を行い、最終モデルを作成した。 主な結果は以下のとおり。・MDPS合計スコア(0~34点)に月経再開の有無(-3、0点)を加えたMDPS for mothers(MDPS-M)を作成した。・うつ病リスク特定のためのROC分析では、MDPS-M(-3~34点)の良好な鑑別が示唆された(AUC:0.74、95%信頼区間[CI]:0.70~0.78)。・MDPS-Mのカットオフ値(9/10)における軽症以上のうつ病検出精度は、感度84.9%、特異度45.7%、陽性的中率36.7%、陰性的中率89.2%であった。・MDPS-Mの外部検証では、開発コホートと同様の分析において良好な鑑別が確認された(AUC:0.74、95%CI:0.68~0.79)。

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統合失調症はどの季節に生まれた子に多いかメタ解析

 冬季出生の子供は、統合失調症リスクが増加するといわれ、100年近く経過している。統合失調症リスクと冬季出生との関連性を示す観察研究に基づき、ビタミンD欠乏症や子宮内でのウイルス曝露などの統合失調症の潜在的な病因リスク因子に関する仮説が考えられている。米国・イェール大学のSamantha M. Coury氏らは、出生の季節と統合失調症リスクとの関連を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、誕生月のデータを使用した分析では、北半球で冬季出生の子供は統合失調症リスクが高く、夏~秋に出生した子供は統合失調症リスクが低いという季節的傾向が認められた。Schizophrenia Research誌オンライン版2023年1月20日号の報告。統合失調症リスクと季節性~冬季出生で有意に上昇 誕生月と統合失調症リスクとの関連を調査するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。南北半球で層別化し、これらの関連をさらに調査した。 出生の季節と統合失調症リスクとの関連を調査した主な結果は以下のとおり。・メタ解析には、43件の研究(30の国と地域、統合失調症患者44万39例)を含めた。・冬季出生は、統合失調症リスクが、小さいながらも統計学的に有意な上昇と関連していた(オッズ比[OR]:1.05、95%信頼区間[CI]:1.03~1.07、p<0.0001)。また、夏季出生は、統合失調症リスクが、小さいながらも有意な低下と関連していた(OR:0.96、95%CI:0.94~0.98、p=0.0001)。・層別サブグループ解析では、出生の季節と統合失調症リスクとの有意な関係は、北半球と南半球で差は認められなかった。・誕生月のデータを使用した分析では、南半球ではなく北半球において統合失調症リスクの増加が冬季出生に関連し、夏~秋の出生では統合失調症リスクが減少するという明確な季節的傾向が示された。・誕生月と統合失調症リスクとの関連に対する潜在的な病因を明らかにするためには、さらなる研究が求められる。

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がんと共に生きる人々を支えるために、医師ができること/武田

 がん治療の進歩は目覚ましく、新たな治療法が続々と登場している。しかし、がん患者の精神・心理的苦痛に対する支援はどうだろうか。がん患者が抱える課題と、それに対する取り組みについての理解を深めることを目的に、武田薬品工業は「がんになっても“誰一人取り残されない社会”を作るために」をテーマとして、2023年1月27日にメディアセミナーを開催した。 セミナーの前半では、大西 秀樹氏(埼玉医科大学国際医療センター 精神腫瘍科 診療部長・教授)が「がん患者さん・ご家族の心理社会的支援の必要性」をテーマに、心理支援の重要性を語った。後半では、坂本 はと恵氏(国立がん研究センター東病院 サポーティブケアセンター 副サポーティブケアセンター長)が「がん相談支援センターの役割と現状」をテーマに、がん相談支援センターの具体的な業務内容を紹介し、医療者・患者への周知の重要性を述べた。セミナーの座長は、悪性リンパ腫の罹患経験を有する天野 慎介氏(一般社団法人全国がん患者団体連合会 理事長)が務めた。がん患者の約半数は精神科診断がつく 病気には固有のイメージがある。がんであれば「死」だという。大西氏は「がんの診断は患者の大きなストレスとなり、約5割に精神科診断がつく。このことを確実に知っておいていただきたい。それは、精神科疾患のうち、うつ病は薬物治療により改善することが多く、適応障害であれば、医療者が関わることで改善することが多いからである」と話した。精神症状は、治療にも影響を及ぼす。乳がん患者では、抑うつがない患者の92.2%が術後化学療法を受けたのに対し、抑うつがあるとその割合は51.3%にとどまったと報告されている1)。また、自殺も懸念される。本邦の調査では、がんと診断後1年以内の自殺のリスクが23.9倍と報告されているのである2)。 それでは、がん患者のうつ病はどのように見つけたらよいのだろうか。大西氏は「たとえば、がん患者が倦怠感や食欲不振を訴えたとき、副作用やがんの進行を疑うだろう。しかし、もう少し質問してみると、『眠れない』『気分が滅入る』『意欲が低下する』と訴えることがあり、うつ病が判明する場合もある」と具体例を示した。加えて、「うつ病が判明した患者にうつ病治療を行うと、副作用やがんの進行が原因と考えていた倦怠感や食欲不振などの身体症状も改善することがある」と述べた。 がん患者の家族のケアも忘れてはいけない。がん患者の家族にも抑うつが多くみられ、身体面(不眠、せん妄、心疾患など)や社会面(失業、貯蓄減少など)にも影響が出るという。したがって「腫瘍精神科やがん相談支援センターは、がん患者の家族も利用できることを周知してほしい」と述べた。がん相談支援センターの積極的な活用を がん相談支援センターは、全国453施設に設置され、がんの疑いから旅立ちまで、具体的には「治療場所の選択」「治療選択の迷い」「住居、食べ物、日常生活や移動手段などのニーズ」「子供の世話」「雇用や学校の問題」「医療費負担」「残される家族の生活の再設計」など、さまざまな相談に応じている。坂本氏は「がん相談支援センターは、一人ひとりの『希望』に橋をかけることのお手伝いをしたいという思いで支援を行っている」と話した。 しかし、がん相談支援センターの認知には課題があるという。平成30年度の患者体験調査3)では、がん相談支援センター自体の認知率は66.4%にのぼったものの、「がん相談支援センターを知っている」と回答した人のうち、「利用したことがある」と回答した割合は14.4%にとどまった。また、利用しなかった人のうち、15.9%が「何を相談する場所かわからなかった」「プライバシーの観点から利用しにくかった」という理由で利用しなかったという。したがって、「がん相談支援センターはどのような機能を持っている場所なのか、医療者に理解いただき、患者へ伝えていただくことが重要である」と強調した。 坂本氏は、“ひとりもとりこぼすことなく”の実現のためには、「がん患者がどのような困難に直面しているのかを聞いたうえで、日々の臨床に生かすことが重要」とまとめ、「オンラインも活用しながら、多施設連携、社会協働で“知らなかったが故の不利益”を減らしたい」と語った。

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第134回 全世代型社会保障制度関連法案を閣議決定、75歳以上の健康保険料引き上げへ/内閣府

<先週の動き>1.全世代型社会保障制度関連法案を閣議決定、75歳以上の健康保険料引き上げへ/内閣府2.かかりつけ医機能を制度化へ、かかりつけ医機能報告制度創設/厚労省3.新型コロナワクチン、無料接種は4月以降も継続、次回は今年の秋から/厚労省4.健康保険証廃止で「マイナ保険証」ない人には資格確認書を提供/政府5.臓器移植を無許可あっせんでNPO法人理事を逮捕、法外な料金も問題に/警視庁6.未承認薬の緊急避妊薬やイベルメクチンのアフィリエイト広告で逮捕/兵庫県警1.全世代型社会保障制度関連法案を閣議決定、75歳以上の健康保険料引き上げへ/内閣府政府は、2月10日に一定の収入(年収153万円以上)を超えるの75歳以上の高齢者の健康保険料の引き上げを含む、「全世代社会保障法案」(全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案)を閣議決定した。少子高齢化で財政が厳しい中、子ども・子育て支援の拡充、高齢者医療を全世代で公平に支えあうための高齢者医療制度の見直し、医療保険制度の基盤強化、医療・介護の連携機能および提供体制などの基盤強化を柱としている。具体的には「出産育児一時金」が今年の4月から50万円に引き上げられる財源について、75歳以上の高齢者にも財源の一部を負担してもらうほか、一定の年収を超える75歳以上の高齢者の保険料を現在の66万円を2024年度に73万円、2025年度に80万円と段階的に引き上げる。さらに74歳までの前期高齢者の医療費を現役世代が支援する仕組みでも、大企業の健康保険組合の負担を増やす一方で、中小企業の従業員が加入する「協会けんぽ」の負担を軽くする。この他、都道府県に対して、医療費適正化計画の立案の段階から、保険者と協議を行うことで、医療費適正化に向けた都道府県の役割、責務を明確化する。現在開会中の通常国会に提出し、成立を目指す。施行期日は、一部を除いて2024年4月1日となる。(参考)全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案(厚労省)75歳以上医療保険料引き上げ、法案閣議決定 年収153万円超から(毎日新聞)75歳以上の医療保険料、引き上げへ 政府 全世代型法案を閣議決定(JOINT)2.「かかりつけ医機能報告」を創設、かかりつけ医機能が制度化へ/厚労省政府は2月10日、かかりつけ医機能の制度整備などを盛り込んだ「全世代社会保障法案」(全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案)を閣議決定した。現行の医療機能情報提供制度を変更して、新たに「かかりつけ医機能報告制度」が創設される。厚生労働省によれば、慢性疾患を有する高齢者や継続的に医療を必要とする患者を地域で支えるために定められた機能([1]日常的な診療の総合的、継続的実施、[2]時間外診療、[3]急変時や入院時に患者を支援、[4]在宅医療の提供、[5]介護サービスなどとの連携など)について、医療機関から都道府県に報告を求める。都道府県知事はそのデータを確認し、地域の関係者との協議の場に報告するとともに公表する。厚生労働省は、かかりつけ医機能の報告が医療機関を縛るものではないとしており、必ずしもかかりつけ医制度を義務化するものではないとの立場。厚生労働省は医療法を改正して、2025年4月1日の施行を目指す。(参考)かかりつけ医機能が発揮される制度整備について(厚労省)「かかりつけ医機能」発揮へ制度整備、法案閣議決定 厚労相「地域で機能提供できる体制構築」(CB news)自民党厚労部会 全世代社会保障法案を部会長一任で了承 かかりつけ医機能の「確認」は行政行為にあらず(ミクスオンライン)「かかりつけ医」制度化、何が論点? 武藤正樹医師に聞く(上) 政府は患者登録制は見送り(東京新聞)「かかりつけ医」制度化、何が論点? 武藤正樹医師に聞く(下) 総合診療医の育成支援を(同)3. 新型コロナワクチン、無料接種は4月以降も継続、追加接種は今年の秋に実施/厚労省厚生労働省は2月8日に厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会を開催し、今年3月末に無料接種の期限を迎える新型コロナウイルスワクチン接種について、4月以降もすべての接種対象者の無料接種を継続する方針を固め、さらに2023年度の追加接種の方針について、以下の通りとりまとめた。追加接種の対象者は高齢者などの重症化リスクがある人を優先するが、重症化リスクが高くない人であっても重症化が発生するため、引き続き無料接種を継続する。接種時期は、前回から1年が経過する今年秋から冬に実施予定だが、重症化リスクのある人については秋を前に接種を行う。また、子ども(5~11歳)や乳幼児(6ヵ月~4歳)は、接種開始から時間が短いため、接種期間を延長する。(参考)2023年度以降の新型コロナワクチンの接種の方針についての議論のとりまとめについて(厚労省)2023年度以降の新型コロナワクチンの接種の方針について(同)新型コロナワクチン、4月以降も無料接種継続へ 次回は今秋冬に(毎日新聞)新型コロナワクチン 秋から冬に次の接種 基本方針まとまる(NHK)コロナワクチン接種スケジュール「毎年秋冬が妥当」厚労省が厚科審部会に方針案提示(CB news)4.健康保険証廃止で「マイナ保険証」ない人には資格確認書を提供/政府政府は、2024年秋に行う健康保険証の廃止と、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」への切り替えを前に、「マイナ保険証」の普及に向けて、取得を呼びかける広報を行っているが、2月5日時点マイナンバーカードの保有率は68.1%だが、健康保険証としての利用登録率は59.3%とまだ低い(2023年2月5日時点)。このため政府は、2024年の健康保険証の廃止後もマイナンバーカードを紛失した人や未取得の人が保険診療を受けられるように、保険証の情報を記載した「資格確認書」を提供する方向で検討を開始した。また、新生児についても、出生届の提出時に申請を受け付け、1歳未満の乳児には顔写真がないカードを交付する方針。政府は、具体化に向けてさらに検討を行い、法案を今国会に提出する見込み。(参考)“マイナ保険証”ない人には「資格確認書」提供で調整 政府(NHK)健康保険証廃止後の保険診療で具体案取りまとめ 政府(同)マイナ保険証未取得者に資格確認書 24年保険証廃止で政府調整(毎日新聞)マイナンバーカード交付状況について(総務省)政策データダッシュボード(ベータ版)(デジタル庁)5.臓器移植を無許可あっせんでNPO法人理事を逮捕、法外な料金も問題に/警視庁ベラルーシの病院での臓器移植を無許可であっせんしたとして、警視庁生活環境課は2月9日までに、NPO法人「難病患者支援の会」(横浜市)の理事を臓器移植法違反の疑いで逮捕した。同法人も同じ容疑で書類送検となる見込み。報道によると逮捕された菊池仁達容疑者らは、厚生労働省の許可を得ずに、臓器移植を希望する患者に対して海外渡航での臓器移植を斡旋し、手術後に合併症などで死亡するなど被害が出ているほか、費用を払い込んだにもかかわらず移植が行われず、死亡した患者の遺族へ返金がなされていないなど被害が発生していた。加藤厚労大臣は、記者会見でこの事件について「事実だとすれば大変遺憾」だとして、国内でも他に同様の事案が無いか、調査していく考えを示した。さらに「同様の事案が生じないよう、臓器提供に関する正確な情報を発信していく」と強調した。日本臓器移植ネットワークによれば、日本国内のドナー数は100万人当たり0.62とアメリカの41.88やドイツの11.22など世界各国に比べて、提供件数が低いままであり、今回のように待機患者が海外を目指すケースが後を絶たない。2008年の国際移植学会で「移植が必要な患者の命は自国で救う努力をすること」という主旨のイスタンブール宣言が出されたことで、わが国でも2009年に改正臓器移植法が成立し、2010年7月に全面施行となっている。(参考)臓器あっせん、患者は徹底捜査求める「移植費用の行方解明して」(読売新聞)臓器あっせん、別の日本人患者も死亡…ベラルーシで肝臓・腎臓を同時移植(同)相場の2倍要求か 臓器移植、無許可あっせん容疑の理事(日経新聞)「不透明」な海外移植あっせん 増えぬドナー、減らぬ希望者が背景に(朝日新聞)6.未承認薬の緊急避妊薬やイベルメクチンのアフィリエイト広告で逮捕/兵庫県警兵庫県警生活経済課は2月9日、緊急避妊薬やうつ病の治療薬など未承認の医薬品のアフィリエイト広告をインターネット上に掲載したとして、医薬品医療機器法(未承認医薬品の広告禁止)違反の疑いで、群馬県高崎市の男性(39)を逮捕した。調べによると、男性は副業でアフィリエイト(ネット広告)用のウェブサイトを複数開設し、アフィリエイト仲介業者を通して、毎月10万円前後の報酬を得ていた。Webサイトには、未承認の緊急避妊薬、抗うつ薬に加え、新型コロナウイルス感染症治療薬として未承認の「イベルメクチン」も掲載されていた。厚生労働省は2021年8月に医薬品医療機器等法を改正しており、医薬品等の誇大広告の規制の強化を打ち出している。第66条の条文には「何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない」とされている。規制対象は、広告主だけではなく、広告代理店・アフィリエイターなどの個人も対象となる。また、健康食品・サプリメント、健康・美容器具であっても、医療品のような効果を訴求して、薬機法に抵触する表現をすると医薬品であるとみなされ、課徴金の対象となる可能性があり、課徴金として「売上額」の4.5%を支払う必要がある。(参考)未承認の緊急避妊薬などをネット広告に 県警が群馬の男逮捕「本当に悪いのは輸入代行者」(神戸新聞)医薬品等の広告規制について(厚労省)アフィリエイト広告のしくみと法規制(国民生活センター)薬機法改正のポイントを分かりやすく解説!企業は何を対策すべき?(Letro)

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昼寝とうつ病になるリスク~メタ解析

 いまだ議論の余地が残る昼寝とうつ病リスクとの関連について、中国・江西科技師範大学のLiqing Li氏らはメタ解析を実施し、これらの関連性を明らかにしようと試みた。その結果、昼寝はうつ病の予測因子であることが示唆された。Frontiers in Psychology誌2022年12月15日号の報告。昼寝をしている人は抑うつ症状のリスクが高かった 2022年2月までに公表された研究を、PubMed、Embase、Web of Science、China National Knowledge Infrastructure databasesより検索し、解析に含めた研究のリファレンスリストの情報も併せて収集した。ランダム効果モデルを用いて、複合エフェクトサイズを推定した。 昼寝とうつ病リスクとの関連を解析した主な結果は以下のとおり。・9件の研究、64万9,111人をメタ解析に含めた。・昼寝をしている人は、抑うつ症状のリスクが高かった(プールされたオッズ比:1.15、95%信頼区間:1.01~1.31、I2=91.3%、p for heterogeneity<0.001)。・ファンネルプロット、Egger's test、Begg's testでは、明確な出版バイアスは確認されなかった。・昼寝がうつ病リスクに及ぼす影響には、個人の特性、昼寝のパターン、個別の睡眠体験により違いがみられる。

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統合失調症患者の睡眠構造に対するブレクスピプラゾールの影響

 ブレクスピプラゾールは、日本において統合失調症治療に広く用いられている非定型抗精神病薬の1つである。これまでの研究では、睡眠変数に対するいくつかの抗精神病薬による治療効果が報告されているが、統合失調症患者の睡眠構造に対するブレクスピプラゾールの影響については、十分に検討されていない。長野・栗田病院の荒井 勇輔氏らは、統合失調症患者を対象に、睡眠構造に対するブレクスピプラゾールの影響を検討した。その結果、ブレクスピプラゾールの併用は、統合失調症患者の睡眠構造に変化を及ぼす可能性が示唆されたが、多重比較補正後では有意な差は認められなかった。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2023年1月6日号の報告。 対象は、ハロペリドール単剤で治療を行っていた統合失調症患者10例。睡眠変数は、睡眠ポリグラフを用いて測定した。研究の適格基準を満たした7例(男性:5例、女性:2例、平均年齢:59.0±10.0歳)について分析を行った。適格患者に対し、ハロペリドールにブレクスピプラゾールを併用し、4週間後に睡眠ポリグラフを繰り返し実施した。ブレクスピプラゾール併用前後の睡眠構造を比較した。 ブレクスピプラゾール併用後の睡眠構造の変化は以下のとおりであった。・REM潜時の延長・ステージN2およびN3の睡眠持続時間と割合の増加・REM睡眠ステージの持続時間と割合の減少

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SNRI使用と口渇リスク

 口腔乾燥症や口渇は唾液量の減少および欠如を起因とする状態であり、特定の薬剤の使用に続発してみられる。Joseph Katz氏らは、口腔乾燥症患者とセロトニンノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)使用との関連を分析した。その結果、SNRIを使用している患者は、使用していない患者と比較し、口渇リスクが約5倍であることが明らかとなった。結果を踏まえて著者らは、SNRIを処方する専門医、唾液の産生やQOLへのSNRIによる影響を認識していない医師、口腔乾燥症の治療に携わっている歯科医師にとって、本結果は有益な情報であろうと報告している。Quintessence International誌オンライン版2023年1月10日号の報告。 2015年6月~2022年9月の期間に、米国・フロリダ大学の統合データであるi2b2を用いて、口渇の診断(ICD-10)およびSNRI使用に関するデータを抽出した。オッズ比の算出には、MedCalc Softwareを用いた。 主な結果は以下のとおり。・SNRI使用の口渇リスクのオッズ比は、5.95(95%CI:5.47~6.48、p<0.0001)であった。・性別または年代別のSNRI使用による口渇リスクのオッズ比は、以下のとおりであった。 ●女性:5.48(95%CI:4.97~6.02、p<0.0001) ●男性:5.48(同:4.56~6.95、p<0.0001) ●小児:2.87(同:1.19~6.96、p=0.0192) ●成人:4.46(同:4.09~4.86、p<0.0001)・使用するSNRIごとの口渇リスクのオッズ比は、以下のとおりであった。 ●ベンラファキシン:5.83(同:5.12~6.60、p<0.0001) ●デュロキセチン:6.97(同:6.33~7.67、p<0.0001) ●desvenlafaxine:5.24(同:3.65~7.52、p<0.0001) ●ミルナシプラン:9.61(同:5.66~16.31、p<0.0001)

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統合失調症発症と昼寝の頻度との関係

 統合失調症と昼寝の頻度との関連について、中国・温州医科大学のJun Ma氏らが調査を行った。その結果、昼寝の頻度の増加と統合失調症発症との間に双方向の関連が認められ、統合失調症の進行や治療に対する潜在的な介入として昼寝の頻度をコントロールする意義が示唆された。BMC Psychiatry誌2022年12月13日号の報告。統合失調症発症と昼寝の頻度の増加との間に双方向の関連が認められた 昼寝の頻度と統合失調症に関連する上位の遺伝的バリアントのゲノムワイド関連解析(GWAS)によって得られる要約統計量(summary statistics)を用いて、双方向2サンプルメンデルランダム化解析を実施した。昼寝に関するGWASの一塩基多型(SNP)のデータは、英国バイオバンク(45万2,633例)および23andMeコホート研究(54万1,333例)より抽出し、統合失調症に関連するGWASは、Psychiatric Genomics Consortium(PGC:3万6,989件、症例:11万3,075例)より抽出した。逆分散加重(IVW)分析を主要な方法として用い、加重中央値、MR-Robust、Adjusted Profile Score(RAPS)、Radial MR、MR-Pleiotropy Residual Sum Outlier(PRESSO)を感度分析として用いた。 統合失調症と昼寝の頻度との関連について調査した主な結果は以下のとおり。・MR分析では、昼寝の頻度の増加と統合失調症発症との間に双方向の関連が認められた。昼寝の頻度(まったくない、時々、日常的)が1単位増加した際の統合失調症発症のオッズ比(OR)は3.38(95%信頼区間[CI]:2.02~5.65、p=3.58×10-6)であり、昼寝の頻度における統合失調症発症のβ値は0.0112(95%CI:0.0060~0.0163、p=2.04×10-5)であった。・感度分析においても、同様の結果が得られた。

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統合失調症治療における抗精神病薬処方の臨床的決定因子~コホート研究

 統合失調症の治療では主に抗精神病薬が用いられるが、近年、長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬の使用頻度が高まっている。米国・ニューヨーク医科大学のEmily Groenendaal氏らは、抗精神病薬の使用(LAI vs.経口)、薬剤クラス(第1世代抗精神病薬[FGA]vs.第2世代抗精神病薬[SGA])、臨床アウトカムの観点から、抗精神病薬選択の予測因子を特定しようと試みた。その結果、LAIか経口、FGAかSGAといった抗精神病薬の選択には、疾患重症度と罹病期間が影響を及ぼす可能性が示唆された。LAI抗精神病薬は、より重症な患者に使用される場合が多かったが、再入院率は経口抗精神病薬と同様であり、重症患者に対するLAI抗精神病薬使用が支持される結果となった。また、若年患者にはLAI抗精神病薬、高齢患者にはFGAが使用されていることが明らかとなった。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2022年12月28日号の報告。 対象は、LAI抗精神病薬による治療を受けた統合失調症患者123例およびマッチした経口抗精神病薬治療患者。疾患の重症度を含む社会人口統計学的および臨床的因子を医療記録より抽出した。カイ二乗検定およびt検定で群間比較を行い、抗精神病薬選択の独立した予測因子の特定にはロジスティック回帰モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・LAI抗精神病薬による治療を受けた患者は、入院期間が長く、退院が簡単ではなく、より重症であったが、再入院率に経口抗精神病薬との差は認められなかった。・LAI抗精神病薬使用の独立した予測因子は、若年、独身、入院期間の長さであった。・FGA LAI治療を受けた患者は、SGA LAI治療の場合と比較し、物質使用障害および定住していない可能性が高く、唯一の予測因子は高齢であった。・経口FGA治療を受けた患者は、経口SGAよりも、高齢、女性であることが多く、物質使用障害の併存、退院が簡単ではない、入院期間が長いなどの特徴が認められた。

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治療抵抗性双極性障害治療の現在と今後の方向性

 双極性障害は世界人口の1~2%に影響を及ぼすとされる慢性的な精神疾患であり、うつ病エピソードが頻繁に認められ、約3分の1の患者では適切な用量による薬物治療に反応が得られないといわれている。治療抵抗性双極性障害(TRBD)の明確な基準は存在しないが、2つの治療薬による適切な治療を行ったにもかかわらず効果不十分である場合の対処は、TRBD治療の重要な課題である。米国・ルイビル大学のOmar H. Elsayed氏らは、TRBDに対する治療介入、課題、潜在的な今後の方向性について、エビデンスベースでの確認を行った。その結果、TRBDの現在の治療法に関するエビデンスは限られており、その有効性は低かった。TRBDの効果的な治療法や革新的なアプローチは研究中であり、今後の研究結果が待ち望まれる。Neuropsychiatric Disease and Treatment誌2022年12月16日号の報告。 PubMedよりTRBD治療に関連するランダム化対照試験、ClinicalTrials.govよりTRBD/双極性うつ病治療に関連する進行中の試験を検索した。 主な結果は以下のとおり。・プラミペキソールおよびモダフィニルによる補助療法の短期的な有効性を裏付けるデータ、ラセミ体ケタミンの静脈内投与の限定されたデータが報告されている。・インスリン抵抗性患者におけるエスシタロプラムのセレコキシブ増強療法とメトホルミン治療は、有望な結果が示されている。・右片側電気けいれん療法は、有意なレスポンス率と改善を示したが、薬物療法と比較し有意な寛解は認められていない。・経頭蓋磁気刺激(TMS)療法は、TRBDの偽治療と比較し、有意な差は認められていない。・新規作用機序を有するブレクスピプラゾールやボルチオキセチンによる薬理学的治療は、単極性うつ病に対する有効性に続いて試験が行われている。・短期集中TMS療法(aTMS)などのTMSプロトコールの調査も行われている。・革新的なアプローチとして、サイケデリック支援療法、インターロイキン2、糞便移植療法、多能性間質細胞などによる治療の研究が行われている。

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