糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:118

エンパグリフロジン、心血管疾患を有する2型糖尿病患者の生存期間延長の可能性

 ドイツ・ベーリンガーインゲルハイムと米国・イーライリリー・アンド・カンパニーは、EMPA-REG OUTCOME試験のデータから、心血管疾患を有する成人2型糖尿病患者に対するエンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス)による治療が、平均生存期間の延長に寄与する可能性が示されたことを発表した。この結果はCirculation誌2018年10月9日号に掲載された。  EMPA-REG OUTCOME試験は、心血管疾患を有する成人2型糖尿病患者を対象としたエンパグリフロジン群とプラセボ群を比較した試験。本試験で明らかとなった有益な影響が、エンパグリフロジンをさらに長期間使用した場合にも継続すると仮定し、生命保険数理法を用いて解析したところ、エンパグリフロジン投与群はプラセボ投与群よりも平均推定生存期間が1~4.5年(年齢により異なる)長くなることが示された。この解析から、エンパグリフロジン投与により生存期間延長の可能性が示唆された。

あの道端アンジェリカも、乾癬は自分だけと思い込む

 10月29日の世界乾癬デーは、乾癬に対する意識向上や症状で悩んでいる患者の治療アクセス改善、周囲の理解などを目指し、2004年の制定後から毎年世界中でイベントが開催されている。これに先駆け10月24日に、日本乾癬患者連合会、日本乾癬学会と製薬会社9社が共催でメディア・イベントを開催。第一部では乾癬患者への支援について、江藤 隆史氏(日本乾癬学会評議員/東京逓信病院皮膚科部長)と患者会の代表らがトークセッションを繰り広げた。第ニ部では乾癬患者の1人であるモデルの道端 アンジェリカさんが、乾癬患者さんにお薦めのファッションとメイクを紹介した。

重度肥満2型DM、肥満手術で大血管イベントリスク低下/JAMA

 肥満外科手術を受けた重度肥満の2型糖尿病患者は、肥満外科手術を受けなかった場合と比較し、大血管イベント(冠動脈疾患、脳血管疾患)のリスクが低下したことが、米国・カイザーパーマネンテ北カリフォルニアのDavid P. Fisher氏らによる後ろ向きマッチングコホート研究の結果、明らかとなった。大血管イベントは、2型糖尿病患者の障害および死亡の主たる原因であり、生活習慣の改善を含む内科的治療ではリスクを低下させることができない場合がある。いくつかの観察研究では、肥満外科手術が2型糖尿病患者の合併症を低下させる可能性が示唆されていたが、症例数が少なくBMI値が試験に利用できないこと(非手術群では入手不可のため)が課題であった。JAMA誌2018年10月16日号掲載の報告。

AIが3年後の糖尿病発症リスクを予測

 わが国では、糖尿病が強く疑われる人が約1,000万人、糖尿病の可能性を否定できない人が約1,000万人と推計されている。糖尿病は、網膜症、腎症、神経障害の3大合併症に加えて、心血管疾患、がん、認知症などのさまざまな疾患のリスクを高めることが知られており、健康寿命を延伸するため、糖尿病の予防対策は国民的な課題となっている。

肥満手術後の体重増、アウトカムと関連する尺度は/JAMA

 腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス(RYGB)術を受けた後の、体重再増加と臨床アウトカムとの関連は、体重再増加を最大体重減少量の%値でみた場合に最も強く認められることが示された。米国・ピッツバーグ大学のWendy C. King氏らによる、RYGB術を受けた約1,400例を5年以上追跡した前向きコホート試験の結果で、JAMA誌2018年10月16日号で発表された。RYGB術後の体重再増加には、大きなばらつきがある。研究グループは、RYGB術後の体重減少が最大に達した後に増加に転じる様子を描出し、体重再増加とアウトカムとの関連を調べた。

GIP/GLP-1受容体アゴニスト「LY3298176」、有望な効果/Lancet

 2型糖尿病治療薬として開発中のGIP/GLP-1受容体デュアルアゴニスト「LY3298176」の有効性と安全性を検討した、米国・National Research InstituteのJuan Pablo Frias氏らによる第II相の無作為化プラセボ・実薬対照試験の結果が発表された。LY3298176は、デュラグルチドと比べて血糖コントロールが良好で体重を減少し、有効性および、安全性に関する許容範囲と忍容性プロファイルも有意に良好であった。著者は、「GIPとGLP-1受容体の組み合わせ製剤は、2型糖尿病の治療において新たな治療選択肢を提供するだろう」とまとめている。Lancet誌オンライン版2018年10月4日号掲載の報告。

尿酸値上昇、食事の影響はわずか/BMJ

 一般集団において血清尿酸値の変化は、遺伝的寄与とは対照的に食事の寄与はわずかであることが明らかにされた。ニュージーランド・オタゴ大学のTanya J. Major氏らによる住民ベースコホート研究のメタ解析の結果で、BMJ誌2018年10月10日号で発表された。血清尿酸値は、遺伝的暴露と特定の食品などを含む環境的曝露による影響を受けることが知られている。

高CVリスク肥満者の糖尿病発症をlorcaserinが抑制/Lancet

 選択的セロトニン2C受容体作動薬lorcaserinは、過体重・肥満の前糖尿病患者において糖尿病の予防効果を発揮するとともに、糖尿病患者では細小血管合併症を抑制することが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のErin A. Bohula氏らが行った「CAMELLIA-TIMI 61試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年10月4日号に掲載された。lorcaserinは、プロオピオメラノコルチンの産生を、視床下部で活性化することで食欲を制御する。米国では、長期的な体重管理において、食事療法や運動療法の補助療法として承認されている。

1型DM、ハイブリッド人工膵臓vs.SAP療法/Lancet

 食事時のインスリンボーラス注入の必要性を除けば昼夜にわたり自動でインスリンを注入するハイブリッド・クローズドループ型インスリン注入システム(以下、ハイブリッド人工膵臓)は、既存のセンサー増強型インスリンポンプ(SAP)療法と比較して、6歳以上の幅広い年齢層にわたる1型糖尿病患者の血糖コントロールを改善し、低血糖リスクを低減することが明らかにされた。英国・ケンブリッジ大学代謝科学研究所のMartin Tauschmann氏らによる、国際多施設共同の非盲検無作為化試験の結果で、Lancet誌オンライン版2018年10月1日号で発表された。

新診断基準による妊娠糖尿病(GDM)の診断は出産後の母親の糖代謝異常と関連する(解説:住谷哲氏)-932

HAPO研究の結果を受けてIADPSG は妊娠糖尿病診断基準を2010年に発表した。わが国においてもその発表を受けて、ただちに日本糖尿病学会、日本産科婦人科学会および日本糖尿病・妊娠学会がそれに基づいた診断基準を発表した。診断基準そのものは3学会で同一であったが微妙な文言の差異があったために現場に少なからぬ混乱を生じたが、2015年に統一見解が発表された。GDMの診断基準は「75gOGTTにおいて、(1)空腹時血糖値92mg/dL以上、(2)1時間値180mg/dL以上、(3)2時間値153mg/dL以上のいずれか1点を満たした場合」とされている(ただし妊娠中の明らかな糖尿病[overt diabetes in pregnancy]は除く)。