糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:120

発症時年齢は1型糖尿病患者の心血管疾患リスクに関連する(解説:住谷哲氏)-917

1型糖尿病患者の動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)リスクが2型糖尿病と同様に増加することは、本論文の著者らによってスウェーデンの1型糖尿病レジストリを用いて詳細に検討されて報告された。今回、著者らは1型糖尿病の発症時年齢とASCVDとの関連を同じレジストリを用いて解析した。その結果、発症時の年齢は糖尿病罹病期間を調整した後も、ASCVDリスクと有意に関連することが明らかにされた。

やはり優れたアスピリン!(解説:後藤信哉氏)-915

心筋梗塞後などの2次予防におけるアスピリンの有効性、安全性は確立されている。血栓イベントリスクの低い1次予防の症例群一般では、アスピリンのメリットはデメリットに勝るとはいえない。しかし、1次予防の症例群でもアスピリンの服用による心血管イベントリスクの低減効果は確立されている。多忙な医師は心血管イベントリスクも高いので、アスピリン服薬による心血管死亡率の低減効果が注目された時代もあった。

アスピリンは、糖尿病患者にとって有益か有害か/NEJM

 アスピリンは、糖尿病患者において重篤な血管イベントを予防するが、大出血イベントの原因にもなることが、英国・オックスフォード大学のLouise Bowman氏らが行ったASCEND試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年8月26日号に掲載された。糖尿病により、心血管イベントのリスクが増加する。アスピリンは、閉塞性血管イベントのリスクを抑制するが、糖尿病患者の初回心血管イベントの予防におけるその有益性と有害性のバランスは不明とされる。

ω-3脂肪酸、糖尿病患者の重篤な血管イベント抑制に効果?/NEJM

 糖尿病患者にω-3脂肪酸の栄養補助を行っても、重篤な血管イベントのリスクは、プラセボに比べ改善しないことが、英国・オックスフォード大学のLouise Bowman氏らが実施したASCEND試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2018年8月26日号に掲載された。観察研究では、ω-3脂肪酸の摂取量の増加にともない、心血管疾患のリスクが低減することが報告されているが、これまでに、この知見を確証した無作為化試験はなかった。また、ω-3脂肪酸の栄養補助が、糖尿病患者の心血管リスクに便益をもたらすかは不明とされる。

インスリンが血糖に関係なくがんリスクに関連か~JPHC研究

 わが国の大規模前向きコホート研究(JPHC研究)より、数種類のがんにおいて、インスリン高値が高血糖とは関係なく、糖尿病関連のがん発症に関連する可能性が示唆された。著者らは「血漿インスリン値の検査は、糖尿病を発症していない人においても、がんリスクを評価するうえで妥当なオプションである」としている。International Journal of Cancer誌オンライン版2018年9月5日号に掲載。

先発配合剤の承認は医療費削減に逆行しているのではないか(解説:折笠秀樹氏)-909

本邦の医療用医薬品の中で、後発医薬品の数量ベースのシェアは70%と言われている。ちなみに、米国での同シェアは90%を超えている。売上ベースのシェアで見ると、30%より少し高い程度のようである。数量的には70%を占めていても、単価が先発医薬品に比べて安いのでこのようになるのだろう。

セマグルチド 、非糖尿病肥満の減量に有効/Lancet

 非糖尿病の肥満者(BMI 30以上)に対し、食事および運動療法に加えたセマグルチドの投与は、体重減少に有効かつ安全であることが示された。米国・サウスカロライナ医科大学のPatrick M. O’Neil氏らによる、リラグルチドおよびプラセボと比較した52週間にわたる第II相の無作為化二重盲検用量範囲探索試験の結果で、Lancet誌2018年8月25日号で発表された。肥満は、重大な公衆衛生上の問題となっており、体重管理のための新たな医薬品が求められていた。研究グループは、減量推奨時にGLP-1アナログ製剤セマグルチドを投与する有効性と安全性について、リラグルチドおよびプラセボと比較する検討を行った。

7つの生活習慣、心血管にも認知機能にも好影響/JAMA

 フランス・ボルドー大学のCecilia Samieri氏らは、米国心臓協会(AHA)が推奨する7つの生活習慣(ライフ シンプル7)を用いて定義した心血管の健康レベルと、高齢者の認知症および認知機能低下のリスクとの関連性を検証する65歳以上の地域住民を対象としたコホート研究(The Three-City[3C] Study:3C研究)において、ライフ シンプル7の実行項目数の多さと心血管健康スコア高値は、認知症リスクおよび認知機能低下率の低さと関連していることを明らかにした。著者は、「認知機能低下や認知症と関連するリスク因子を予防するため、心血管の健康増進が望まれる」とまとめている。これまで、心血管の健康レベルと認知症リスクとの関連に関するエビデンスは限られていた。JAMA誌2018年8月21日号掲載の報告。

配合錠、後発品への変更で可能となる節約額/JAMA

 2016年において、米国で販売される先発品の配合錠29種のメディケア支出額は、同用量の後発品と比べて9億2,500万ドル高かったことが、米国・ハーバード・メディカル・スクールのChana A. Sacks氏らにより明らかにされた。結果を踏まえて著者は、「処方者への教育を通じた後発品使用や変更を推進すること、および合理的な変更の指針が、メディケアにおける医薬品支出を抑えるために重要である」と述べている。JAMA誌2018年8月21日号掲載の報告。