糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:115

新たなNASH治療薬、肝脂質比を有意に減少/Lancet

 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)患者に対する、開発中のpegbelfermin(BMS-986036)の16週間皮下投与は、概して忍容性は良好で、肝脂質比を有意に減少したことが、米国・バージニア・コモンウェルス大学のArun Sanyal氏らによる第IIa相試験の結果、示された。pegbelferminは、線維芽細胞増殖因子21(FGF21)のPEG化アナログで、これまでに2型糖尿病を有する肥満症患者において、代謝および肝線維化マーカーを改善したことが示されていた。Lancet誌オンライン版2018年12月13日号掲載の報告。

GIP/GLP-1受容体デュアルアゴニストLY3298176は第3のインクレチン関連薬となりうるか?(解説:住谷哲氏)-986

インクレチンは食事摂取に伴って消化管から分泌され,膵β細胞に作用してインスリン分泌を促進するホルモンの総称であり、GIPとGLP-1の2つがある。GIPおよびGLP-1は腸管に存在するK細胞、およびL細胞からそれぞれ分泌され、インスリン分泌促進以外の多様な生理活性を有している。しかしGIPは高血糖状態においてはインスリン分泌作用が弱いこと、脂肪細胞に作用して脂肪蓄積につながることから、現在はGLP-1のみがGLP-1受容体作動薬として臨床応用されている。しかし生理状態では両者は同時に分泌される、いわば双子の腸管ホルモンであり、この両ホルモンの受容体を同時に刺激する目的で開発されたのがGIP/GLP-1受容体デュアルアゴニストLY3298176である。

ダパグリフロジンと心疾患予防の関係は

 11月26日、アストラゼネカ株式会社と小野薬品工業株式会社は、アメリカ心臓協会(AHA)でDECLARE‐TIMI 58 試験(以下「本試験」と略す)の発表が行われたのを期し、都内でメディアセミナーを開催した。セミナーでは、糖尿病領域と循環器領域の2つの視点から試験結果に対し説明が行われた。  複数の心血管リスク因子、心血管疾患の既往歴を有する患者を含む、CVイベントリスクが高い成人2型糖尿病患者を対象に、ダパグリフロジン(商品名:フォシーガ)の治療が及ぼす影響をプラセボとの比較で評価した試験。患者登録では、日本を含む世界33ヵ国882施設から1万7千例超の患者が参加。無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同試験。実施はアストラゼネカ株式会社。

乾癬患者は甲状腺疾患のリスクが高い

 これまで、乾癬と甲状腺疾患との関連はよくわかっていなかった。乾癬患者では、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、甲状腺炎、バセドウ病および橋本病などの甲状腺疾患リスクの増加が認められると、台湾・輔仁大学のShu-Hui Wang氏らによるコホート研究で明らかになった。著者は、「乾癬患者が甲状腺疾患の症状を呈した場合は、内分泌科への紹介を考慮したほうがいいだろう」とまとめている。なお、研究の限界として乾癬患者の重症度のデータが不足していた点を挙げている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年12月5日号掲載の報告。

心代謝特性はBMIと関連するか

 BMIは脂肪を非脂肪と区別せず、脂肪分布を無視し、健康への影響を検出する能力が不明とのことで批判されている。今回、英国・ブリストル大学のJoshua A. Bell氏らは、心代謝特性との関連においてBMIと二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)による全身および局所の脂肪指数(fat index)を比較した。その結果から、腹部の肥満が心代謝障害の主因であり、その影響の検出にBMIが有用なツールであることが支持された。Journal of the American College of Cardiology誌2018年12月18日号に掲載。

食事療法の見直しへ日本糖尿病学会が動き出す

 食の欧米化や糖質制限の流行、高齢者の低栄養が問題となる昨今、日本人における食事療法の見直しが迫られている。2018年11月5日、日本糖尿病学会が主催する「食事療法に関するシンポジウム」が、5年ぶりに開催された。講演には、座長に羽田 勝計氏(「糖尿病診療ガイドライン2016」策定に関する委員会委員長)と荒木 栄一氏(「糖尿病診療ガイドライン2019」策定に関する委員会委員長)を迎え、5名の糖尿病専門医らが登壇した。  また、パネルディスカッションには、さまざまな観点からの意見を求めるべく、5つの団体(日本老年医学会、日本腎臓学会、日本動脈硬化学会、日本肥満学会、日本病態栄養学会、日本糖尿病協会)の代表が参加した。

クリスマスの体重増加は予防できるか/BMJ

 年々増える体重の大部分は、クリスマスなどの祝祭日の食べ過ぎに原因があるという。英国・バーミンガム大学のFrances Mason氏らWinter Weight Watch Studyの研究グループは、定期的な体重測定、体重管理に関する助言、お祝いの食事のカロリーの消費に要する身体活動量の情報から成る簡易行動介入により、クリスマス休暇中の体重増加を予防できることを示し、BMJ誌2018年12月10日号(クリスマス特集号)で報告した。英国など多くの国では、お祝いの季節が国民の休日と重なり、長期の過剰な摂食や座位行動の機会をもたらしており、クリスマス1日の摂取熱量は6,000カロリーと推奨の約3倍にも達するとの報告もある。これによる体重増加は、その後、完全には解消されず、わずかな体重の増加が毎年積み重なって10年で5~10kg増えることで、将来の肥満につながるとされる。

糖尿病患者の認知症リスク、活動的・社会的な生活で減らせるか

 糖尿病関連認知症に対する健康的な生活習慣の効果はまだわかっていない。今回、活動的な生活習慣と豊かな社会的ネットワークが糖尿病患者の認知症リスクの増加を防げるかどうか、スウェーデン・ストックホルム大学のAnna Marseglia氏らが検討した。その結果、活動的で社会的な生活習慣が、認知症リスクにおける糖尿病の有害作用を打ち消す可能性があることが示唆された。Diabetes Care誌オンライン版2018年12月6日号に掲載。

退職後も働く日本人、脳卒中・糖尿病の発症が遅い

 60歳以上の日本人男性の追跡調査の結果、現在の退職年齢を過ぎて働くことが健康にプラスの影響を与えることが示唆された。慶應義塾大学の岡本 翔平氏らが報告した。Bulletin of the World Health Organization誌2018年12月号に掲載。  著者らは、わが国の全国高齢者調査の公開されたデータから、60歳以上の男性1,288人を抽出し、死亡・認知機能低下・脳卒中・糖尿病の4つの健康アウトカムの発症について最大15年間追跡調査した。傾向スコア法を用いて、経済的、社会的および健康のデータを独立変数の形で組み込み、健康労働者効果を調整した。就業している人としていない人の健康アウトカムの時間差を計算し、退職年齢を過ぎて働くことによる健康について平均処置効果(ATE)を推定した。

DPP-4阻害薬・GLP-1受容体作動薬は胆管がんリスクを大幅増/BMJ

 インクレチンベースのDPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬は、それ以外の抗糖尿病薬の第2・第3選択薬と比べて、胆管がんリスクを大幅に増大する可能性があることが明らかにされた。カナダ・Jewish General HospitalのDevin Abrahami氏らが、糖尿病患者15万例超を対象とした集団ベースのコホート試験で明らかにし、BMJ誌2018年12月5日号で発表した。アンバランスな胆道系がんの発症が、インクレチンベースの抗糖尿病薬の大規模無作為化試験においてみられているが、リアルワールドでの観察試験では調査されていなかった。