皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:41

小児のアトピー性皮膚炎、慢性化の関連因子が判明

 小児のアトピー性皮膚炎(AD)の慢性化に関する因子はよくわかっていない。デンマーク・コペンハーゲン大学のSunna Thorsteinsdottir氏らは、ADに関与する既知の遺伝子変異、父親の喘息およびADの既往、社会的地位の高さ、診断時のHanifin & Rajka診断基準の基本項目と小項目、ならびに発症時の重症度が、13歳まで持続したADに関連していることを明らかにした。著者は、「これらの所見は、個々の患者で疾患の経過を評価するための臨床診療に適用可能である」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年11月14日号掲載の報告。

ニッケル過敏症、過去20年で増加

 ニッケルは、頻度の高いアレルゲンとして知られている。米国・ミネソタ大学のErin M. Warshaw氏らが、北米接触皮膚炎共同研究班(NACDG)のデータを後ろ向きに解析した結果、ニッケル過敏症の発現頻度は、20年間で有意に増加していたことを報告した。著者は、「ニッケル過敏症は、北米における公衆衛生上重要な問題である」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年10月17日号掲載の報告。

乾癬のようにみえて違う難治性皮膚疾患の掌蹠膿疱症

 2018年11月2日、ヤンセンファーマ株式会社は、都内において難治性皮膚疾患である「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」に関するプレスセミナーを開催した。セミナーでは、国内に患者が13万人ともいわれる本症の概要、疫学、治療法について説明が行われた。なお、同社では、既存の乾癬治療薬グセルクマブ(商品名:トレムフィア)の掌蹠膿疱症への適応追加につき、厚生労働省薬事・食品衛生審議会に11月8日に報告を行っている。

中国地方都市における性感染症の最新疫学

 地域住民を対象としたクラミジア・トラコマチス(CT)感染症の研究は、特異的な感染対策プログラムを計画するうえで不可欠である。しかし、2000年以降、中国本土の一般住民におけるCT感染症の大規模調査は行われていなかった。そこで中国・山東大学のPengcheng Huai氏らは、山東省の18~49歳の住民を対象にCT感染症の有病率、リスク因子およびCT感染症に関連する医療費について調査した。その結果、女性では35歳未満、男性では25歳未満で有病率が高いことが明らかになった。著者は、「CT感染症対策プログラムは、リスク因子を有する人々と同じように、この年齢集団にも焦点を当てるべきである」とまとめている。BMC Infectious Diseases誌2018年10月26日号掲載の報告。

本庶 佑氏が語るがんと共生する未来

 ノーベル生理学・医学賞受賞が決まった、本庶 佑氏(京都大学高等研究院副院長/特別教授)が、2018年11月1日、都内の日本医師会館で、「驚異の免疫力」と題して特別講演を行った。本講演では、がん免疫療法の現状と課題、そして将来への展望が語られた。  本庶氏が発見した抗PD-1抗体とその応用による「免疫療法」は、ヒト個人の免疫力・体力によってがん細胞を殺す新たな治療法だ。ノーベル賞受賞のきっかけとなったPD-1阻害によるがん免疫治療は、1)すべての種類のがんに効く可能性が高い、2)投与を止めても数年以上有効なので再発が少ない、3)がん細胞を直接攻撃せず、免疫系を活性化するので副作用があっても軽い、という理由から画期的な治療法だと、本庶氏は自信を持って紹介した。

帯状疱疹ワクチン、弱毒生vs.組換え型/BMJ

 50歳以上における帯状疱疹ワクチンの有効性と安全性について、カナダ・St. Michael's HospitalのAndrea C. Tricco氏らは、弱毒生ワクチンとアジュバント組換え型サブユニットワクチンおよびプラセボを比較するシステマティックレビューとメタ解析を行った。これまで、弱毒生ワクチンとアジュバント組換え型サブユニットワクチンを直接比較する検討は行われていなかったが、今回の解析により、アジュバント組換え型サブユニットワクチンのほうが、より多くの帯状疱疹の発症を予防できる可能性が示された。ただし一方で同ワクチンは、注射部位での有害事象のリスクがより大きいことも示された。BMJ誌2018年10月25日号掲載の報告。

選択的JAK1阻害薬、乾癬性関節炎に有効/Lancet

 活動性の乾癬性関節炎の治療に、選択的JAK1阻害薬filgotinibは有効であることが、米国・ワシントン大学のPhilip Mease氏らによる第II相の無作為化プラセボ対照試験「EQUATOR試験」の結果、示された。16週時のACR20達成患者は80%に認められ、新たな安全性シグナルは認められなかった。JAK1経路は、乾癬性関節炎の病因への関わりが示唆されている。研究グループは、JAK1を選択的に阻害するfilgotinibの有効性と安全性を調べた。Lancet誌オンライン版2018年10月22日号掲載の報告。

コーヒーが酒さを予防する?

 カフェインには血管拡張抑制作用や免疫抑制作用があることが知られている。この作用は酒さのリスクを低下させるが、コーヒーの熱が酒さの紅潮を引き起こす可能性もある。しかし、酒さとコーヒーなどによるカフェイン摂取との関連性については、よくわかっていない。中国・青島大学のSuyun Li氏らは、看護師健康調査II(Nurses' Health Study II:NHS II)のデータを解析し、コーヒーからのカフェイン摂取量が酒さの発症リスクと逆相関していたことを明らかにした。著者は、「今回の結果は、酒さを予防する手段として、カフェインの摂取制限を支持するものではない。カフェインがもたらす作用機序を解明し、他の集団でも同じ結果が観察されるか、酒さのサブタイプでカフェインとの関係性が異なるのかについて、さらなる研究が必要である」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年10月17日号掲載の報告。

重症アトピー性皮膚炎、全身療法で有効な薬剤は?

 全身療法は、局所療法では手に負えないほどの重症アトピー性皮膚炎(AD)に対してたびたび行われる。近年、この領域では生物学的製剤の進歩に伴い、従来の全身療法と比較しても有益とされる。この治療に関し、デュピルマブおよびシクロスポリンによる重症度改善において最も強力なエビデンスの存在が、米国・Wake Forest School of MedicineのEdward W. Seger氏らによって報告された。ただし、十分に比較された研究が不足し、治療間の直接比較が難しいため、著者は「生物学的製剤の長期安全性および有効性に関するさらなる研究が必要である」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年10月5日号掲載の報告。

あの道端アンジェリカも、乾癬は自分だけと思い込む

 10月29日の世界乾癬デーは、乾癬に対する意識向上や症状で悩んでいる患者の治療アクセス改善、周囲の理解などを目指し、2004年の制定後から毎年世界中でイベントが開催されている。これに先駆け10月24日に、日本乾癬患者連合会、日本乾癬学会と製薬会社9社が共催でメディア・イベントを開催。第一部では乾癬患者への支援について、江藤 隆史氏(日本乾癬学会評議員/東京逓信病院皮膚科部長)と患者会の代表らがトークセッションを繰り広げた。第ニ部では乾癬患者の1人であるモデルの道端 アンジェリカさんが、乾癬患者さんにお薦めのファッションとメイクを紹介した。