皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:44

高齢者施設の疥癬、古典的記述が通じない

 英国の老人ホームや介護施設では疥癬の発生がよくみられるが、診断が遅れやすく、制御するのが困難である。老人ホームにおける疥癬の臨床症状は、臨床医になじみがある古典的記述とは異なることを、英国・ブライトン・サセックスメディカルスクールのJackie A. Cassell氏らが明らかにした。著者は、「この違いには、高齢者という脆弱な集団における、認識の遅れと最適状態には及ばない管理がおそらく関与している」と述べたうえで、「ダーモスコピーと顕微鏡検査はほとんど役に立たなかった。高齢者、とくに認知症を持つ人々は、疥癬の症状に対する訴え方が記述とは異なることを医療スタッフが認識し、徹底的な検査を行うべきである」とまとめている。Lancet Infectious Diseases誌2018年8月号掲載の報告。

地中海食は乾癬の重症化を遅らせる?

 乾癬は、慢性炎症性疾患である。地中海食(MEDI-LITE)は慢性炎症を軽減し、メタボリックシンドロームおよび心血管イベントのリスクに対し有益である。これに伴い、フランス・パリ・エスト・クレテイユ大学のCeline Phan氏らは、乾癬の発症や重症度にMEDI-LITEが強く影響することを仮説立てた。その検証の結果、重症乾癬患者では地中海食に対する順守度が低いことが明らかになった。著者は、「今回の結果は、地中海食が乾癬の進行を遅らせる可能性があるという仮説を支持するものである。この知見が確認されれば、中等症~重症乾癬の日常管理にMEDI-LITEの順守を組み込むべきである」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年7月25日号掲載の報告。

50歳以上の帯状疱疹はワクチンで予防

 2018年7月19日から3日間、都内で日本ペインクリニック学会 第52回大会「あなたの想いが未来のペインクリニックを創る-専門性と多様性への挑戦-」が開催された。本稿では、7月20日のシンポジウム「帯状疱疹関連痛の治療、予防の未来を考える」から、木村 嘉之氏(獨協医科大学 麻酔科学講座 准教授)が発表した「帯状疱疹関連痛の疫学と予防」について、概要を紹介する。

遺伝性血管性浮腫の発作予防、新規血漿カリクレイン阻害薬が有望/NEJM

 開発中の経口血漿カリクレイン阻害薬BCX7353は、プラセボに比べて遺伝性血管性浮腫の発作の発生率が低く、良好な予防効果を発揮することが、ドイツ・フランクフルト大学のEmel Aygoren-Pursun氏らが行ったAPeX-1試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2018年7月26日号に掲載された。遺伝性血管性浮腫は、生命を脅かす疾患であり、カリクレイン-ブラジキニンカスケードの過剰な活性化をもたらすC1インヒビター(C1エステラーゼインヒビターとも呼ばれる)をコードする遺伝子変異により発症する。BCX7353は、血漿カリクレインの強力な経口小分子阻害薬で、血管性浮腫の発作の予防に有効な可能性を示す薬物動態および薬力学プロファイルを有するという。

日本紅斑熱とツツガムシ病、知っておきたい臨床・疫学的特徴

 日本紅斑熱とツツガムシ病は、ともにダニが媒介する感染症で、日本を含むアジアの特定の地域でみられる。治療が遅れると重症化し、死亡することもあるため早期の診断が重要だが、両者の臨床的・疫学的特徴とその違いについて正確なことは明らかになっていなかった。長崎大学熱帯医学研究所/亀田総合病院の山藤 栄一郎氏らは、この2つのリケッチア症が同時に流行している、世界的にもまれな地域の1つである千葉県南房総で、2004~15年の間に3つの医療機関を受診した患者のデータを分析した。Emerging Infectious Diseases誌2018年9月号掲載の報告。

全身性エリテマトーデスに新たな経口薬登場か/Lancet

 標準治療ではコントロール不十分な全身性エリテマトーデス(SLE)の患者において、経口選択的JAK1/JAK2阻害薬であるバリシチニブ4mg投与は、徴候や症状を有意に改善したことが示された。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のDaniel J. Wallace氏らによる第II相プラセボ対照二重盲検無作為化試験の結果で、Lancet誌2018年7月21日号で報告している。安全性は、従来のバリシチニブ試験でみられたものと一致していた。現状ではSLE患者の医療的ニーズを十分に満たす治療法はない。著者は、「今回の結果は、SLEの経口治療薬として、JAK1/JAK2阻害薬バリシチニブの可能性について第III相試験の実施を支持するものであった」とまとめている。

メトトレキサート、重症円形脱毛症に有効

 メトトレキサートは、明確なエビデンスやガイドラインが不足する中、円形脱毛症に対する副腎皮質ステロイド治療開始後の低リスク維持療法の補助として、また、いくつかの研究では単独療法として用いられてきた。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のKevin Phan氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を行い、メトトレキサートは重症円形脱毛症の治療において、単独療法またはステロイドの補助療法として有効であることを報告した。ただし、著者は「評価した研究はさまざまな後ろ向きの観察研究であり、円形脱毛症の治療におけるメトトレキサートの用量やプロトコールは施設間で異なっていた。さらに、補助療法については1年を越えるデータが不足していたなどの限界があった」としている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年7月9日号掲載の報告。

見過ごされている毒ヘビ咬傷、世界的な実態は?/Lancet

 毒ヘビ咬傷は、見過ごされている頻度の高い罹患率と死亡率の原因である。しかし、ヘビの生態やヘビ咬傷治療に関するデータは乏しく、正確な負荷評価をしようにも限りがある。英国・オックスフォード大学のJoshua Longbottom氏らは、「世界的な関心の低さが、新たな治療法や十分な医療資源、ヘルスケアの入手を阻んでいる」として、世界の最新のヘビ咬傷対策のための“ホットスポット”の描出を試みた。Lancet誌2018年7月12日号掲載の報告。

NP、PAによる皮膚科手術、件数も範囲も拡大傾向

 ナースプラクティショナー(NP)やフィジシャンアシスタント(PA)といった高度実践医療従事者(Advanced Practice Professional:APP)は、数多くの多様な皮膚科的処置や手術を独立して行っているが、その件数や範囲が年々どのように変化しているかは、ほとんど知られていない。米国・Summa Akron City HospitalのMyron Zhang氏らは、メディケアのデータを解析し、APPが実施した皮膚科的処置や手術の件数が2012年から2015年にかけて経時的に増加しており、範囲も拡大していることを明らかにした。著者は、「年々増加傾向のAPPによる皮膚科的処置および手術の件数や範囲が、患者の予後とどのように関連しているか、またより正式な訓練が必要かどうかを明らかにするために、さらなる研究が望まれる」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年7月11日号掲載の報告。