皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:42

SAF方式の遠隔皮膚診断、対面診療よりコスト削減

 store and forward(SAF)方式の遠隔皮膚診断(TD)は、行政・医療サービスが十分ではない集団に対して、タイムリーで高品質なケアへのアクセスが増加できると見込まれている。しかし、そうした集団におけるTDの費用対効果については明らかにされていない。今回、米国・ペンシルベニア大学のXiaoshi Yang氏らは、TDが皮膚科治療のアクセスを高めつつも、コスト削減が可能であると報告した。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年10月1日号掲載の報告。

新種のカンジダ症、意外な感染経路/NEJM

 Candida aurisは、新興の多剤耐性病原体であり、2009年、日本で入院患者の外耳道から分離されたカンジダ属の新種である。2011年、韓国で院内の血流感染の原因として報告されて以降、多くの国や地域で相次いで集団発生が確認されており、集中治療室(ICU)でも頻繁に発生している。英国・オックスフォード大学病院のDavid W. Eyre氏らは、同大学関連病院のICUで発生したC. auris感染の集団発生の調査結果を、NEJM誌2018年10月4日号で報告した。

ICUにおけるCandida aurisの集団発生と制圧(解説:吉田敦氏)-930

英国・オックスフォード大学病院の神経ICUで、C. aurisの集団感染が発生し、アクティブサーベイランス、全ゲノム解析に基づく分子疫学、伝播要因の追究、制圧の過程が今回NEJM誌に報告された。多剤耐性を示す本菌の増加は世界中で報告されており、米国および英国は2016年6月にアラートを発したが、今回の事例はその前から始まっていたもので、最終的に皮膚体温計のリユースが最も疑われる結果となった。

マダニが媒介するライム病、最適な抗菌薬は?

 早期ライム病(LB)における遊走性紅斑の管理について、抗菌薬の種類や治療法の選択をめぐる論争がある。ドイツ・アルベルト・ルートヴィヒ大学フライブルクのGabriel Torbahn氏らは、早期LBへの各種抗菌薬と治療法に対するすべての無作為化試験について、ネットワークメタアナリシス(NMA)を行った。その結果、抗菌薬の種類や治療法は、有効性および薬剤関連有害事象に寄与しないことが明らかになった。著者は、「今回の結果は、LB患者を治療する医師ならびに患者の意思決定にとって重要なものである」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年10月3日号掲載の報告。

受刑者の皮膚病治療に遠隔診療が有用

 一般集団と比較して受刑者の皮膚疾患の有病率は高いという。その受刑者の皮膚病変の診断と治療にあたっては、皮膚に対する専門的なアドバイスが必要である。刑務所内の8つの医療施設と2つの皮膚科専門病院の皮膚科医が受刑者のために遠隔診療を行ったところ、治療計画を完了した患者割合が向上した。このシステムを用いて遠隔診療を行ったフランス・URC Eco Ile-de-FranceのKevin Zarca氏らによると「移動のコストや予約のキャンセルの割合を考慮すると、対面診療と比較し優れた介入であり、医師が受け入れ可能な診療である」ということが示された。PLOS ONE誌オンライン版2018年9月24日号掲載の報告。

ノーベル賞受賞、がん治療を劇変させたPD-1とCTLA-4

 2018年のノーベル医学・生理学賞を、京都大学高等研究院特別教授の本庶 佑氏とMDアンダーソンがんセンター教授のJames P. Allison氏が共同受賞することが決まった。両氏はともにがんに対する免疫応答の制御に関連するタンパク質を発見し、がん免疫療法の近年の急速な進歩に寄与したことが受賞理由となっている。本稿では、ノーベル財団のプレスリリースから、2人の研究の足跡を紹介する。

皮膚そう痒症、関連がん種の違いに人種が影響

 皮膚そう痒症とがんの関連は知られているが、皮膚そう痒症と関連があるがん種についてのデータは限られている。米国・ジョンズ・ホプキンス大学のValerie A. Larson氏らの研究の結果によると、皮膚そう痒症は肝臓、皮膚、造血器系の悪性腫瘍と最も強く関連していることが示された。ただし今回の研究は横断研究のため、皮膚そう痒症と悪性腫瘍における時間的制約があり、また単一施設で行われた研究であることに留意が必要だとしている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年9月11日号掲載の報告。

米国の皮膚科医は都市部に集中、地方との格差が拡大

 人口の増加と高齢化が進展している米国には、皮膚科医療に対するアンメットニーズが存在している。したがって、皮膚科医の労働人口の特徴やパターンを特定し理解することは重要である。米国・ニューヨーク大学医学部のHao Feng氏らは、皮膚科医の経時的分布および都市部と地方部の釣り合いについて、標準化された分類表を用いて分析した。その結果、皮膚科医の地理的分布はかなり不均衡であり、経時的な拡大が示唆されることが明らかとなった。著者は、「皮膚科医の労働人口の分布を是正することが、患者のケアにとって重要である」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年9月5日号掲載の報告。

臨床写真が語るみずみずしい臨床像

 2018年9月2日、第1回日本臨床写真学会学術集会(会長:忽那 賢志氏[国立国際医療研究センター 総合感染症科/国際感染症センター])が、国立国際医療研究センターにおいて開催された。集会では、臨床写真を診断に用いる有用性についての講演、珍しい写真を使用したクイズ、有名医学論文のClinical Pictureへの投稿掲載成功例などが発表された。