循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:299

CLEAN試験:血管内カテーテル挿入時の皮膚消毒はクロルヘキシジン・アルコール(解説:小金丸 博 氏)-440

カテーテル関連血流感染症(CRBSI)はありふれた医療関連感染であり、死亡率も高いことが知られている。カテーテル挿入時の皮膚消毒は感染予防に重要であり、今までも適切な皮膚消毒薬について議論されてきた。米国疾病予防管理センター(CDC)は、カテーテル挿入時の皮膚消毒に、0.5%を超えるクロルヘキシジンを含むクロルヘキシジン・アルコールを推奨しているが、クロルヘキシジン・アルコールとポビドンヨード・アルコールをhead-to-headで比較した大規模試験は存在しなかった。

糖尿病でのパクリタキセルDES vs.エベロリムスDES/NEJM

 糖尿病患者への経皮的冠動脈インターベンション(PCI)で、パクリタキセル溶出ステント(PDES)はエベロリムス溶出ステント(EDES)に対し、非劣性を示すことができなかったことを、インド・Fortis Escorts Heart InstituteのUpendra Kaul氏らが、1,830例の糖尿病患者を対象に行った試験の結果、報告した。1年後の標的血管不全発症率は、パクリタキセル群が5.6%に対し、エベロリムス群が2.9%と低率だったという。NEJM誌オンライン版2015年10月14日号掲載の報告より。

生体吸収性マグネシウムスキャフォールドの有用性をヒトで確認/Lancet

 第2世代の薬剤溶出生体吸収性金属スキャフォールド(DREAMS 2G)は、冠動脈デノボ病変の治療デバイスとして施行可能であり、良好な安全性と性能を有することが、ドイツLukaskrankenhaus GmbHのMichael Haude氏らが実施したBIOSOLVE-II試験で示された。生体吸収性スキャフォールドは、従来の非吸収性の金属ベース薬剤溶出ステントの限界の克服を目的にデザインされ、現時点で市販されているのはポリマースキャフォールドのみである。これに代わるデバイスとして、金属スキャフォールドの開発が進められており、第1世代のマグネシウムスキャフォールドは、安全性は良好であるものの、性能が従来の薬剤溶出ステントに及ばないことが報告されている。Lancet誌オンライン版2015年10月12日号掲載の報告。

心筋を凍死させる 心房細動治療の新たな選択肢

 日本メドトロニック株式会社は2015年10月23日、薬剤抵抗性を有する再発性症候性の発作性心房細動治療を目的とした「Arctic Front Advance冷凍アブレーションカテーテル(以下、Arctic Front Advance)」の発売開始を記念し、プレスセミナー「心房細動におけるアブレーション技術の最前線」を開催した。そのセミナーの中で、日本不整脈心電学会理事長、奥村 謙氏は「心房細動治療最前線と冷凍アブレーションへの期待」と題する講演を行った。

生体吸収性スキャフォールド、ABSORB IIIの結果/NEJM

 エベロリムス溶出生体吸収性スキャフォールド(BVS)の有用性を検討した大規模な多施設共同無作為化試験の結果が報告された。非複雑性閉塞性冠動脈疾患(CAD)患者2,008例を対象に、エベロリムス溶出コバルトクロム合金ステントと比較した試験ABSORB IIIの結果、1年時点の標的病変不全の発生に関する非劣性が確認された。米国・クリーブランドクリニックのStephen G. Ellis氏らが報告した。金属製の薬剤溶出ステント埋設したCAD患者においては、有害事象として遅発性の標的病変不全が報告されている。金属製のステントフレームが血管壁に存在し続けることが関連している可能性があり、長期転帰を改善するためBVSが開発された。NEJM誌オンライン版2015年10月12日号掲載の報告。

TG値1,000mg/dL以上を示す患者の臨床的特徴

 金沢大学附属病院で過去10年間に1,000mg/dL以上の高トリグリセリド(TG)値を示した215例の調査によると、全体の7.9%に冠動脈疾患の既往、5.6%に膵炎の既往があり、55.3%に脂肪肝が認められたことがわかった。また、多くが何らかの2次的要因によるTG上昇であることがわかった。深刻な高TG血症は、さまざまな状況により引き起こされる可能性があるため、潜在的な2次的要因を探ることの重要性が示唆された。Journal of clinical lipidology誌7・8月号掲載、金沢大学附属病院 多田 隼人氏らの報告。

高出血リスク患者へのPCI、薬剤被膜ステントが優れる/NEJM

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた出血リスクが高い患者について、ポリマーフリーumirolimus(バイオリムスA9)被覆ステントの有効性および安全性をベアメタルステントと比較した結果、前者の優越性が認められたことを、スイス・ラ・トゥール病院のPhilip Urban氏らLEADERS FREE試験グループが報告した。高出血リスク患者のPCIではベアメタルステントを用い、術後1ヵ月間の抗血小板薬2剤併用療法を行う頻度が高い。この場合、出血リスクは最小化されるが、再ステント術や再介入を要するリスクも高く、研究グループは、ポリマーフリーかつ抗体フリー薬剤被膜ステントでumirolimusを血管壁へ1ヵ月間送達させることについて検討を行った。NEJM誌オンライン版2015年10月14日号掲載の報告。

青年期の運動能力と筋力は血管疾患や不整脈イベントと関連するか(解説:三浦 伸一郎 氏)-439

Dr. Anderson氏らは、青年期の運動能力と筋力が高い群では、共に低い群に比較して、将来の血管疾患イベントが有意に減少していたという興味深い結果を報告した。従来、中高年者の中で運動能力が高い人では、心血管疾患の罹患率や死亡率がそうでない人と比べて有意に低下していることはよく知られていた。しかし、今回の報告のように、青年期の運動能力と筋力が予後に関与するかについての報告はなかったため、このことがBMJ誌に掲載された1つの理由であろう。しかし、今回の結果は、いくつかの点を熟慮しなければならない。

急性冠症候群疑い、受診時トロポニン値5ng/L未満は入院不要/Lancet

 急性冠症候群(ASC)疑いで受診するも退院可能であった心臓イベント低リスク患者のうち、約3分の2の患者の高感度心臓トロポニン値Iが低値(血漿中濃度5ng/L未満)であったことが確認された。英国・エディンバラ大学のAnoop S V Shah氏らが、6,304例について行った前向きコホート研究の結果、報告した。ASC疑いは緊急入院の理由として最も多く、医療の大きな負担となっている。そのため即時退院が適切な低リスク患者を特定する戦略が、大きな有益性をもたらすとして検討されている。今回の結果を踏まえて著者は、「高感度トロポニン値Iを評価するというアプローチは、入院を大きく減らし、患者と医療従事者双方に大きなベネフィットをもたらすと思われる」とまとめている。Lancet誌オンライン版2015年10月7日号掲載の報告。

EMPA-REG OUTCOME試験:糖尿病治療薬久々の朗報~治療学的位置付けは今後の課題~(解説:景山 茂 氏)-438

慢性疾患の治療において、短期間の薬効を示す指標(surrogate endpoint)と長期間の治療による予後を示す指標(true endpoint)が乖離することが最初に示されたのは、1970年のUGDP研究である。この研究では、スルホニル尿素類のトルブタミド(商品名:ラスチノン)はプラセボおよびインスリンに比較して死亡率、とくに心血管死が有意に高いことが示された。その後、同研究により、現在は用いられていないビグアナイド類のフェンホルミンについてもトルブタミドと類似の結果が示された。その後も、チアゾリジンジオン類のロシグリタゾンについて、心筋梗塞を増やす可能性が示唆されている。