高出血リスク患者へのPCI、薬剤被膜ステントが優れる/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2015/10/26

 

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた出血リスクが高い患者について、ポリマーフリーumirolimus(バイオリムスA9)被覆ステントの有効性および安全性をベアメタルステントと比較した結果、前者の優越性が認められたことを、スイス・ラ・トゥール病院のPhilip Urban氏らLEADERS FREE試験グループが報告した。高出血リスク患者のPCIではベアメタルステントを用い、術後1ヵ月間の抗血小板薬2剤併用療法を行う頻度が高い。この場合、出血リスクは最小化されるが、再ステント術や再介入を要するリスクも高く、研究グループは、ポリマーフリーかつ抗体フリー薬剤被膜ステントでumirolimusを血管壁へ1ヵ月間送達させることについて検討を行った。NEJM誌オンライン版2015年10月14日号掲載の報告。

2,466例を登録し無作為化二重盲検臨床試験
 LEADERS FREE試験は、4大陸20ヵ国68地点で現在も進行中の無作為化二重盲検臨床試験。高出血リスクPCI患者について、薬剤被膜ステント使用と類似のベアメタルステント使用を比較した。被験者全員に、1ヵ月間の抗血小板薬2剤併用療法が行われた。

 主要安全性エンドポイントは、心臓死、心筋梗塞、ステント血栓症の複合で、非劣性および優越性両者について検討した。主要有効性エンドポイントは、臨床的に必要であった標的病変の血行再建であった。

 2012年12月~14年5月に2,466例が無作為化を受けた(薬剤被膜ステント[DCS]群1,239例、ベアメタルステント[BMS]群1,227例)。2,432例がPCIを実施し、2,385例(98.1%)が死亡までまたは390日間の追跡を受けた。

安全性、有効性について薬剤被膜ステントの優越性確認
 390日時点の主要安全性エンドポイントの発生は、DCS群112例(9.4%)、BMS群154例(12.9%)であった。リスク差は-3.6ポイント(95%信頼区間[CI]:-6.1~-1.0)、ハザード比(HR)は0.71(95%CI:0.56~0.91)であった(非劣性p<0.001、優越性p=0.005)。

 一方、同一期間中の主要有効性エンドポイント(標的病変血行再建必要例)の発生は、DCS群59例(5.1%)、BMS群113例(9.8%)であった。リスク差は-4.8(95%CI:-6.9~-2.6)、HRは0.50(95%CI:0.37~0.69)であった(p<0.001)。