循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:234

中高生時代の部活が心血管死リスクに影響か~日本人7万人調査

 日本人の中高生時代における運動部への参加と成人期の運動習慣が心血管疾患(CVD)死亡率にどのように関連するのかを、米国・Harvard T.H. Chan School of Public Healthのゲロ クリスティーナ氏らが調査した。その結果、成人期に運動している男性において、中高生時に運動部に参加していた人の冠動脈疾患(CHD)死亡リスクはより低いことが示唆された。Preventive Medicine誌オンライン版2018年5月10日号に掲載。

僧帽弁閉鎖不全症は予後は必ずしも良好ではなく過小治療の傾向がある(解説:今井靖氏)-857

心臓弁膜症は心臓疾患の中では古くからその病態生理が検討され、心臓外科手術、とくに人工弁置換術の術式が確立することに加えて、心臓超音波検査法の進歩と相まって今日の診療の枠組みが構築された。2014年に国内で6万6,453件の心臓外科手術が行われているが、そのうち2万1,939件が弁膜症であり、大動脈弁狭窄に対する弁置換と僧帽弁閉鎖不全に対する形成術の比率が増えており、それら疾患の増加が読み取れる。最近は大動脈弁狭窄症にTAVIというカテーテル治療が登場し、僧帽弁閉鎖不全にもカテーテルを用いてクリップを僧帽弁にかけるMitraClipという治療法が日本でも始まろうとしている。このような時期において一般集団における僧帽弁閉鎖不全の頻度と外科治療の実施状況、予後などについて必ずしも明らかではなかった。本邦の検討ではないが、米国からのこの論文は示唆に富むものと考えられる。

心房細動、サイナスになっても 脳梗塞リスク 高いまま/BMJ

 正常洞調律を取り戻し回復した状態(resolved)であると診断された心房細動(AF)患者について、非AF患者と比べると、脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)のリスクは有意に高いままであることが、英国・バーミンガム大学のNicola J. Adderley氏らによる、同国の一般診療所(GP)で集められたデータを用いた後ろ向きコホート研究の結果、明らかにされた。リスクの増大は、再発の記録がなかった患者でも認められたという。AFは明らかな回復後も再発の可能性があるが、そのような患者で脳卒中/TIAリスクの増大が認められるのかは明らかになっておらず、ガイドラインでも、同患者に関する治療は明示されていない。BMJ誌2018年5月9日号掲載の報告。

握力が5kg低いと全死亡リスクが2割高い/BMJ

 握力と健康アウトカムの関連が指摘されている。英国・グラスゴー大学のCarlos A. Celis-Morales氏らは、UK Biobankのデータを解析し、握力は全死因死亡のほか、心血管疾患、呼吸器疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、がんの発生やこれらの疾患による死亡と関連し、従来の診察室ベースのリスク因子に加えると、死亡や心血管疾患の予測能を改善することを明らかにした。研究の成果は、BMJ誌2018年5月8日号に掲載された。筋機能が低下するほど、死亡率や罹患率が増加することが多くの研究で示されている。また、低い握力は不良な健康アウトカムの範囲の拡大と関連し、年齢や性別に握力測定を加えると、死亡の予測能が強化されることが報告されている。

心房細動の発症、リスク1つでも明らかに上昇/BMJ

 心房細動の生涯リスクは、指標年齢(55歳、65歳および75歳)にかかわらず、リスク因子を有していない場合で約5分の1、1つ以上のリスク因子があると約3分の1強に上昇することが、米国・ボストン大学のLaila Staerk氏らによるフラミンガム心臓研究を基にした解析の結果、明らかにされた。これまで、心房細動の生涯リスクは40歳以上で約4分の1と推定されてきた。心房細動の短期的なリスク因子は確立されているが、リスク因子の負荷が心房細動の生涯リスクにどれほど影響するかは不明であった。結果を踏まえて著者は、「心房細動の疾病負担を減らす予防的な取り組みは、修正可能な境界域および明らかなリスク因子を目標とし、複数の併存疾患を考慮すべきであろう」と述べている。BMJ誌2018年4月26日号掲載の報告。

CABGのグラフト、橈骨動脈が伏在静脈に優る/NEJM

 5年間のフォローアップにおいて、橈骨動脈グラフトを用いた冠動脈バイパス術(CABG)は伏在静脈グラフトを用いたCABGに比べ、主要有害心血管イベントのリスクが有意に低く、周術期のグラフト開存性が有意に良好であることが示された。米国・コーネル大学医学部循環器手術部門のMario Gaudino氏らが、6つの無作為化比較試験を対象に行ったメタ解析で明らかにした。これまで、橈骨動脈グラフト使用のCABGが伏在静脈グラフト使用のCABGに比べ、術後アウトカムが良好である可能性を示唆する試験結果はあったが、個々の試験では臨床アウトカムの差を示すには統計学的に検出力が不足していたという。NEJM誌オンライン版2018年4月30日号掲載の報告。

心房細動の男性の死亡リスク、独身は既婚の1.25倍

 心房細動患者において、社会経済的因子と死亡率や心血管系合併症リスクとの関連はあまりわかっていない。今回、スウェーデン・カロリンスカ研究所のPer Wandell氏らによる心房細動患者のコホート研究で、低学歴者および独身(未婚・離婚)男性では死亡や心血管系合併症のリスクが高いことが報告された。European Journal of Public Health誌オンライン版2018年5月9日号に掲載。