循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:232

今のところ順調なapo(a)アンチセンス療法(解説:興梠 貴英 氏)-599

2015年に、心血管イベントおよび石灰化大動脈弁狭窄症のリスク因子であるLp(a)の血中濃度を低下させる、アンチセンス薬(IONIS-APO[a]Rx)の第I相試験の結果が報告された。本試験は、その続き(第II相試験)および元の薬剤にリガンドを結合させて特異的に肝細胞に取り込まれるように改変したもの(IONIS-APO[a]-LRx)の第I/IIa相試験の報告である。

TAVI vs.SAVR、アウトカムは留置経路で変化/BMJ

 重症大動脈弁狭窄症で周術期死亡リスクが低度~中程度の患者に対する弁置換術について、大半の患者、とくに余命が短い患者、あるいは長期的な弁変性のリスクに留意する必要のない患者では、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)が外科的大動脈弁置換術(SAVR)よりもネットベネフィットが認められるようだ。ただし、留置経路について経大動脈アプローチが候補とならない患者に関しては、SAVRのほうがアウトカムは良好になるという。カナダ・トロント大学のReed A Siemieniuk氏らがシステマティック・レビューとメタ解析の結果、報告した。BMJ誌2016年9月28日号掲載の報告。

スタチン療法 vs.非スタチン療法、心血管リスク低減は同等/JAMA

 LDL受容体の発現増加を介して低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)値を低下させるスタチン療法と非スタチン療法の比較において、LDL-C値低下当たりの主要血管イベントの相対リスクは同等であることが明らかとなった。LDL-C値の低下が、主要冠動脈イベント発生率の低下と関連することも確認された。これまで、非スタチン療法によるLDL-C低下の臨床的な有益性はよくわかっていなかったが、米国・ハーバード大学医学大学院のMichael G. Silverman氏らが、LDL-C低下と相対的心血管リスク減少との関連を、スタチン療法 vs.非スタチン療法で検討するシステマティックレビューとメタ解析を行い報告した。JAMA誌2016年9月27日号掲載の報告。

アンチセンスオリゴヌクレオチド、リポ蛋白(a)濃度低下を第II相で確認/Lancet

 低比重リポ蛋白(LDL)にアポリポ蛋白(a)(apo[a])が結合したリポ蛋白(a)(Lp[a])の増加は、心血管疾患および石灰化大動脈弁狭窄症の遺伝的リスク因子であることが知られている。現在、apo(a)を標的としたオリゴヌクレオチドのIONIS-APO(a)Rxと、肝細胞に高度かつ選択的に取り込まれるようデザインされたリガンド結合アンチセンスオリゴヌクレオチドのIONIS-APO(a)-LRxが開発中であるが、とくに後者がLp(a)濃度を低下させる有効かつ忍容性のある新しい治療薬として有望であることが明らかとなった。米国・Ionis PharmaceuticalsのNicholas J Viney氏らが、IONIS-APO(a)Rxの第II相試験とIONIS-APO(a)-LRxの第I/IIa相試験の2件の無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。IONIS-APO(a)Rxの健常成人を対象とした第I相試験では、用量依存的に血漿Lp(a)濃度が減少することが示唆されていた。Lancet誌オンライン版2016年9月21日号掲載の報告。

NSAIDs27種の心不全入院リスクとの関連を検証/BMJ

 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)服用の心不全による入院リスクについて調べた結果、現在(2週間以内)服用者は半年超(183日)前に服用していた人に比べ2割程度リスクが高いことが明らかにされた。また、ジクロフェナク、etoricoxib、インドメタシン、ピロキシカム、rofecoxibについて1日量の2倍以上を服用している場合、同リスクは2倍に増大していた。イタリア、ミラノ・ビコッカ大学のAndrea Arfe氏らが、オランダ、イタリアなどの欧州4ヵ国の医療データベースを基に行った、コホート内ケース・コントロール試験の結果、示された。BMJ誌2016年9月28日号掲載の報告。

心筋梗塞へのβ遮断薬、早期投与で死亡リスク半減/BMJ

 心不全や左心室機能不全を認めない急性心筋梗塞の患者に対し、入院後48時間以内にβ遮断薬の投与を始めることで、30日死亡リスクは半分以下に減少することが示された。一方で、退院時のβ遮断薬服用は1年死亡リスクの低減にはつながらず、1年後のβ遮断薬服用も5年死亡リスクの低減効果はないことも明らかになった。フランス・Georges Pompidou European HospitalのEtienne Puymirat氏らが、患者2,679例について行った前向きコホート試験の結果明らかにしたもので、BMJ誌2016年9月20日号で発表した。

日本初のDOAC特異的中和剤イダルシズマブ、承認取得

 日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:青野吉晃)は、2016年9月28日、直接トロンビン阻害剤ダビガトラン(商品名:プラザキサ)の特異的中和剤であるイダルシズマブ(遺伝子組換え)(商品名:プリズバインド)の製造販売承認を取得したことを発表した。直接トロンビン阻害剤やXa因子阻害剤などの直接作用型経口抗凝固薬(DOAC:Direct oral anticoagulant)に対する特異的中和剤の製造販売承認取得は日本初である。なお、米国と欧州では昨年、承認を取得している。

TAVR後の感染性心内膜炎、リスク因子と転帰は?/JAMA

 経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)において、若年、男性、糖尿病、中等度~重度大動脈弁逆流残存は、感染性心内膜炎(IE)のリスク増加と有意に関連しており、心内膜炎を発症した患者は院内死亡率および2年時死亡率が高いことが明らかとなった。カナダ・ラヴァル大学のAnder Reguerio氏らが、TAVR後にIEと確定診断された患者を対象とした後ろ向き観察研究の結果、報告した。外科的弁置換術はIE発症や死亡率の高さと関連が示唆されているが、TAVRについては症例数の少なさや追跡期間の短さなどにより、術後IE患者の臨床的特徴や転帰に関するデータは限られていた。JAMA誌2016年9月13日号掲載の報告。