循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:214

虚血性心筋症の患者へのCRT+ICDの有効性を検討

 非虚血性拡張型心筋症(DCM)の患者は、虚血性心筋症の患者と比較すると心室性不整脈のリスクが少ないかもしれない。さらに、DCMは心臓再同期療法(CRT)が奏効する指標の1つとして知られている。そこで英国のSérgio Barra氏ら研究グループが、心不全患者の1次予防として、CRTに植込み型除細動器(ICD)を追加することの有効性について、大規模研究で検討した。Journal of the American College of Cardiology誌2017年4月号に掲載。

中等度リスクASへのTAVR、自己拡張型デバイスも有用/NEJM

 中等度リスクの重度大動脈弁狭窄症(AS)患者を対象に、外科的大動脈弁置換術(SAVR)と経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)の有効性と安全性を比較したSURTAVI試験の結果、TAVRはSAVRに対し非劣性であることが認められた。また、有害事象は両手技で異なるものの、TAVRは中等度リスクの重度AS患者においてもSAVRの代替治療となり得ることが示唆された。米国・メソジスト・ドゥベーキー心臓血管センターのMichael J Reardon氏らが報告した。これまで、外科手術による死亡リスクが高い重度AS患者においては、TAVRがSAVRの代替治療となっていたが、中等度リスク患者での転帰はよく知られていなかった。NEJM誌オンライン版2017年3月17日号掲載の報告。

レボシメンダン、心臓手術後の循環動態補助の上乗せ効果なし/NEJM

 心臓外科手術で循環動態の補助を必要とする患者において、標準治療に低用量のlevosimendanを追加しても、30日死亡率はプラセボと同等であることを、イタリア・ビタ・サルート・サンラファエル大学のGiovanni Landoni氏らが、周術期左室機能不全患者を対象に、標準治療へのlevosimendan追加により死亡率が低下するかどうかを検証したCHEETAH試験の結果、報告した。急性左室機能不全は心臓外科手術の重大な合併症であり、死亡率上昇と関連している。これまで、小規模試験のメタ解析では、levosimendanは他の強心薬と比較して心臓外科手術を実施した患者の生存率を上昇させる可能性が示唆されていた。NEJM誌オンライン版2017年3月21日号掲載の報告。

知ってますか?「derivation」と「validation」の意義と違い(解説:中川 義久 氏)-661

PCI術後には、ステント血栓症などの血栓性イベント予防のために抗血小板薬としてアスピリンとチエノピリジン系薬剤に代表される、ADP受容体P2Y12阻害薬の併用投与(Dual Anti-platelet Therapy:DAPT)が主流となっている。DAPTを継続することは出血性合併症を増す危険性がある。血栓性イベントリスクと出血リスクの両者のトレードオフで比較すべき問題である。DAPTを継続すべき期間については明確な指針はないが、全患者に画一的な期間を設定するよりも、リスク評価に基づいて患者層別化することにより個々の患者に至適DAPT期間を設定することが医療の質を高める。このような個別化医療は時代の潮流であり、患者層別化のための方法論も進化している。

スタチンで大腸がん死亡率が低下、では再発率は?

 大腸がんの予後に対するスタチンの影響について、がん特異的死亡率の低下が報告されているが、再発についての研究はほとんどない。今回、米国・エモリー大学のTimothy L. Lash氏らがデンマークの約2万人のコホートで検討したところ、スタチン使用は大腸がんの再発率の低下とは関連していなかったが、がん特異的死亡率の低下と関連していた。このことから、がんそのものに対するベネフィットはないことが示唆され、著者らは「心血管症状のない大腸がん患者にスタチンを処方する根拠はない」としている。American journal of epidemiology誌オンライン版2017年3月1日号に掲載。

急性心不全に対するトルバプタンの効果:大阪府立総合医療センター

 急性非代償性心不全(ADHF)の治療の主流は、利尿薬治療によるうっ血改善であるが、しばしば腎機能の悪化(WRF)と関連する。大阪府立急性期・総合医療センターの玉置 俊介氏らは、左室駆出率(LVEF)が保持されたADHF患者のWRFに対する選択的V2受容体アンタゴニストであるトルバプタンの効果について検討を行った。Circulation journal誌オンライン版2017年2月16日号の報告。

TAVR・SAVR後の無症候性弁尖血栓症、TIAリスクを増大/Lancet

 経カテーテル大動脈生体弁置換術(TAVR)や外科的大動脈生体弁置換術(SAVR)施行後の無症候性弁尖血栓症の発生率は約12%で、SAVRでは約4%に対し、TAVRでは約13%と高率であることが明らかになった。無症候性弁尖血栓症の予防や治療には、抗凝固薬が有効であること、さらに同血栓症は一過性脳虚血発作(TIA)の発症リスクを増大することも確認された。米国・シダーズ・サイナイ心臓研究所のTarun Chakravarty氏らが、TAVRとSAVRを受けた患者登録をした2つのレジストリから890例について行った観察研究で明らかにしたもので、Lancet誌オンライン版2017年3月19日号で発表した。

心肺バイパス術前のレボシメンダン投与、術後アウトカム変わらず/NEJM

 左室駆出分画率(LVEF)が35%以下で、心肺バイパス術を実施予定の患者に対し、術前から変力作用薬levosimendanを予防的に投与しても、術後30日以内の死亡や腎代替療法の実施、周術期(5日以内)の心筋梗塞といった複合イベントリスクの低下にはつながらず、非投与の場合と術後アウトカムは同等であることが示された。米国・デューク臨床研究所のRajendra H Mehta氏らLEVO-CTS研究グループが、882例を対象に行った第III相の多施設共同無作為化比較試験の結果で、NEJM誌オンライン版2017年3月19日号で発表された。これまでにlevosimendanは小規模試験だが、心臓手術後の低心拍出量症候群に対する予防的もしくは治療的効果が示されていた。

アブレーション周術期の抗凝固、ダビガトランが有用/NEJM

 心房細動(AF)へのカテーテルアブレーション周術期の抗凝固療法において、ダビガトランの継続投与はワルファリンに比べ大出血イベントの発生が少ないことが、米国・ジョンズ・ホプキンス医学研究所のHugh Calkins氏らが行ったRE-CIRCUIT試験で示された。脳卒中や全身性塞栓症は発現しなかったという。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年3月19日号に掲載された。ダビガトランなどの非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOAC)は、ワルファリンよりも安全性が優れる可能性が示唆されているが、これを検証したデータはこれまでなかった。

やはりthe lower the betterだった(解説:興梠 貴英 氏)-659

これまでコレステロール低下療法のエビデンスにおいて、スタチンが数の上で圧倒的に多かった。しかもezetimibeは試験デザイン上の問題から、なかなかthe lower the betterを示すことができなかった。そのため、PCSK9の機能喪失変異に伴う心血管リスク低減という疫学的な知見や、PCSK9阻害薬の第II相試験の予備的な結果で心血管リスクが低減することが示唆されたということはあったものの、PCSK9阻害薬による実際の介入で心血管系エビデンスを減らすのかについては、きちんと実施された臨床試験の結果を待たなくてはならなかった。