循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:216

急性心筋梗塞後の心原性ショックに対するエピネフリン vs.ノルエピネフリン【Dr.河田pick up】

 心筋梗塞後の心原性ショックに対して、昇圧薬はある特異的な効果をもたらす可能性があり、それが予後に影響をあたえうる。ノルエピネフリンとエピネフリンは最もよく使われる薬剤ではあるが、無作為化試験でその効果が調べられたことはなく、十分なデータが得られていない。フランス・CHRU NancyのBruno Levy氏らは、心筋梗塞後の心原性ショックにおいて、エピネフリンとノルエピネフリンの効果を比較することを目的に、多施設共同の前向き二重盲検無作為化試験を実施した。Journal of American College of Cardiology誌7月10日号に掲載。

実臨床で安全性が高いDOACは?/BMJ

 英国・ノッティンガム大学のYana Vinogradova氏らは、プライマリケアにおいて、直接経口抗凝固薬(DOAC)と出血・虚血性脳卒中・静脈血栓塞栓症・全死因死亡リスクの関連を、ワルファリンと比較検証する前向きコホート研究を行い、概してアピキサバンが最も安全で大出血・頭蓋内出血・消化管出血のリスクが減少したのに対して、リバーロキサバンと低用量アピキサバンは全死因死亡リスクの上昇と関連していたことを明らかにした。これまで、無作為化比較試験でワルファリンに対するDOACの非劣性が示されていたが、実臨床での観察試験はほとんどが心房細動患者を対象としていた。BMJ誌2018年7月4日号掲載の報告。

CVリスク患者の術前運動耐容能評価にご用心/Lancet

 心臓以外の大手術前に行う運動耐容能の評価には、主観的評価は用いるべきではないことが、カナダ・Li Ka Shing Knowledge InstituteのDuminda N. Wijeysundera氏らによる国際共同前向きコホート試験の結果、示された。運動耐容能は大手術リスクアセスメントの重要な項目の1つであるが、それに対する医師の臨床上の主観的評価は必ずしも正確ではない。研究グループは、術前の主観的評価と、死亡や合併症を予測する代替フィットネスマーカー(心肺運動負荷試験[CPET:cardiopulmonary exercise testing]、DASI:Duke Activity Status Index、NT pro-BNP)を比較する検討を行った。Lancet誌オンライン版2018年6月30日号掲載の報告。

腎交感神経除神経降圧療法と降圧薬(解説:冨山博史氏)-885

研究対象は、カルシウム拮抗薬、利尿薬、レニン・アンジオテンシン系阻害薬、ベータ遮断薬のいずれか、または複数の降圧薬の最大容量の50%以上の服用でも血圧コントロールが十分でない症例80例である。高周波カテーテルによる腎交感神経除神経(RND)実施群(38例)および対照群(42例)の治療後6ヵ月の血圧変化を24時間血圧測定にて評価した。RND群では、対照群に比べて24時間収縮期血圧が7.4mmHg有意に低下し、RNDの有意な降圧効果を示した。

抗血小板療法を受けていない集団の大出血リスクは?/JAMA

 抗血小板療法を受けていない集団における、大出血および非致死的大出血の推定年間発生リスクを、ニュージーランド・オークランド大学のVanessa Selak氏らが算出した。同国のプライマリケア受診患者を対象とした前向きコホート研究の結果で、著者は「今回の結果を、心血管疾患(CVD)1次予防のための集団レベルのガイドラインに示すことができるだろう」と述べている。アスピリン治療開始の決定には、同治療によるベネフィットと有害性を考慮する必要がある。最も重大な有害性は大出血であるが、至適な地域集団における出血リスクのデータは不十分であった。JAMA誌2018年6月26日号掲載の報告。

ABPM要否を判定する新トリアージ法の有用性を検証/BMJ

 3回の診察室血圧値と患者背景(年齢、性別、BMI、高血圧の診断歴および治療歴、心血管疾患の有無)を組み合わせた新たなトリアージ法(Predicting Out-of-OFfice Blood Pressure[PROOF-BP]アルゴリズム)により、24時間自由行動下血圧測定(ABPM)の適用は通常の半分となり、高血圧か否かをほぼ正しく分類できることが示された。英国・オックスフォード大学のJames P. Sheppard氏らが、日常診療で高血圧が疑われる患者にABPMを適用するかをトリアージするためのPROOF-BPアルゴリズムの妥当性を検証した、前向き観察コホート試験の結果を報告した。著者は、「ABPMを考慮する場合、とくに資源が限られている場合には、この新しいトリアージ法は高血圧の診断や管理に推奨される」とまとめている。BMJ誌2018年6月28日号掲載の報告。

不撓不屈の(?)橈骨動脈(解説:今中和人氏)-882

橈骨動脈のCABGでの使用は長らく廃れていたが、1990年代になってオーストラリアのBuxton先生らを中心にリバイバルが起きた。その後、多くの外科医が著した雨後のたけのこのような論文の結論はひどく食い違い、内胸動脈に匹敵すると高く評価する論文もあれば、静脈と同等以下とする論文もある。グラフト開存への影響が大きい、冠動脈の狭窄度や灌流域の広さなどに関するバイアスを感じる論文も少なくないが、唱道者のBuxton先生らがRAは静脈と同等と結論した後もRA擁護論は根強く、RAが優れているのか大して違わないのか判断しかねる状態が続く中で発表されたメタ解析である。

ビタミンD値、妊娠高血圧や子癇前症に影響なし/BMJ

 妊娠高血圧や子癇前症に関して、ビタミンD値の影響を示唆する強力なエビデンスはないことが、英国・ブリストル大学のMaria C. Magnus氏らによるメンデル無作為化試験の結果、示された。これまでの観察研究において、25-ヒドロキシビタミンD値が低い女性で子癇前症のリスクが高いことが認められ、複数の試験で妊娠中のビタミンD補給は有益である可能性が示されていたが、有益性は小さく、投与のタイミングや用量は不均一でかなりのばらつきがあり、ビタミンDが子癇前症の起因となるのかは不明であった。BMJ誌2018年6月20日号掲載の報告。

腹部大動脈瘤スクリーニングは有益か/Lancet

 腹部大動脈瘤(AAA)スクリーニングは、AAA死亡の減少に寄与していないことが、スウェーデン・イエーテボリ大学のMinna Johansson氏らによる、スウェーデン人を対象としたレジストベースのコホート研究で明らかにされた。AAA発症およびAAA関連死亡にみられる大幅な減少を、スクリーニングに関する無作為化試験の結果で評価するのは時代遅れではないかとの指摘があったが、今回の検討で、減少した要因の大半は他の因子によるもので、おそらくは喫煙の減少によることが示唆されたという。著者は、「ベネフィットは小さく、有益性と有害性のバランスは非常に悪く、スクリーニングの正当性に対する疑念を深める結果であった」とまとめている。Lancet誌2018年6月16日号掲載の報告。