循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:21

重症三尖弁逆流、T-TEER+薬物療法vs.薬物療法単独/JAMA

 重症三尖弁逆流症患者において、至適薬物療法(OMT)に加えた三尖弁経カテーテルedge-to-edge修復術(T-TEER)の施行はOMT単独と比較して、三尖弁逆流症の重症度、および患者報告に基づく複合アウトカム(NYHA心機能分類クラス、患者全般評価[PGA])の改善が認められたことが、フランス・レンヌ大学のErwan Donal氏らTri-Fr Investigatorsによる無作為化試験「Tri.Fr試験」で示された。JAMA誌オンライン版2024年11月27日号掲載の報告。  Tri.Fr試験は、重症の症候性三尖弁逆流症患者におけるT-TEER+OMTとOMT単独の有効性を評価した研究者主導の前向き無作為化試験で、2021年3月18日~2023年3月13日に、フランスおよびベルギーの24施設で行われた。最終フォローアップは2024年4月。

心不全に対するミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の効果に関するメタアナリシス(解説:石川讓治氏)

心不全の薬物治療におけるFantastic fourの1つとしてミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)の使用が推奨されている。現在、心不全に対して使用可能なMRAは、スピロノラクトンやエプレレノン(ステロイド系)とフィネレノン(非ステロイド系)がある。本研究は下記の4つの研究の患者個人データを統合して行ったメタ解析である。RALESでは、failure and preserved left ventricular ejection fraction(HFrEF)に対するスピロノラクトン、EMPHASIS-HFではHFrEFに対するエプレレノン、TOPCATではheart failure and preserved left ventricular ejection fraction(HFpEF)に対するスピロノラクトン、FINEARTS-HFではHFpEFに対するフィネレノンの効果が検証された。各研究結果において、RALES、EMPHASIS-HF、FINEARTS-HFでは有意差が示されたが、TOPCATでは心不全の再入院の抑制効果に有意差が認められたものの、心血管死亡の抑制効果には有意差が認められなかったことが報告されている。このメタ解析において、MRAは心血管死亡や心不全入院のリスクを22%減少させていた。ステロイド系MRAはHFrEFにおける心血管死亡や心不全の入院を減少させ、非ステロイド系MRAはheart failure and mildly reduced ejection fraction (HFmrEF)やHFpEFのリスクを減少させたとの結果であった。

心房細動発症、尿酸上昇と体重増加が相互に作用~日本人での研究

 尿酸と肥満が関与する心房細動の新規発症機序から、心房細動発症に尿酸増加と体重増加が相互に作用している可能性がある。今回、京都府立医科大学の宗像 潤氏らが、「20歳以降に体重10kg以上増加」という体重変化の尺度を用いて調査したところ、ベースラインで尿酸値が正常範囲内であっても、その後の尿酸値の増加と体重増加が心房細動の新規発症に相互作用を及ぼすことがわかった。BMJ Open誌2024年11月27日号に掲載。  本研究は後ろ向きコホート研究で、2013年4月2日~2022年4月30日に毎年健康診断を受けた従業員コホートのうち、心房細動を発症していない30歳以上の日本人1,644人を後ろ向きに解析した。血清尿酸と体重の経時的変化が心房細動新規発症に及ぼす影響について、ランドマーク生存解析を用いて評価した。体重増加は標準化自記式質問票における「20歳以降に体重10kg以上増加」と定義し、心房細動は心電図で心房細動が認められた場合または問診で心房細動が認められた場合とした。

心筋梗塞へのコルヒチンは予後を改善するか/NEJM

 急性心筋梗塞患者の治療において、発症後すぐに抗炎症薬コルヒチンの投与を開始し、3年間継続しても、プラセボと比較して心血管アウトカム(心血管系の原因による死亡、心筋梗塞の再発、脳卒中、虚血による冠動脈の予期せぬ血行再建術の複合)の発生率は減少せず、その一方で3ヵ月後には炎症マーカーが有意に低下することが、カナダ・マクマスター大学のSanjit S. Jolly氏らCLEAR Investigatorsが実施した「CLEAR試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2024年11月17日号で報告された。

新薬muvalaplin、心血管リスク患者のリポ蛋白(a)を大幅減少/JAMA

 心血管イベントのリスクが高く、リポ蛋白(a)濃度が上昇した患者において、プラセボと比較して経口低分子リポ蛋白(a)阻害薬muvalaplinは、12週間の投与でリポ蛋白(a)を大幅に減少させ、忍容性も良好であることが、オーストラリア・モナシュ大学のStephen J. Nicholls氏らが実施した「KRAKEN試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年11月18日号で報告された。  KRAKEN試験は、リポ蛋白(a)濃度が上昇した患者におけるmuvalaplinのリポ蛋白(a)抑制効果の評価を目的とする二重盲検無作為化プラセボ対照第II相試験であり、2022年12月~2023年11月に日本を含む8ヵ国43施設で患者の無作為化を行った(Eli Lilly and Companyの助成を受けた)。

持続性AF、線状アブレーション+肺静脈隔離術は有益か?/JAMA

 持続性心房細動(AF)患者の治療において、肺静脈隔離術(PVI)にマーシャル静脈内エタノール注入(EIVOM)を併用した線状アブレーションを追加することにより、PVI単独と比較して12ヵ月以内の心房性不整脈再発が有意に改善された。中国・Beijing Anzhen HospitalのCaihua Sang氏らPROMPT-AF investigatorsが、中国の3次医療機関12施設で実施した研究者主導の多施設共同無作為化非盲検試験「PROMPT-AF試験」の結果を報告した。これまでの無作為化試験では、PVI後に線状アブレーションを追加したときのPVI単独に対する優越性は検証されていなかった。EIVOMは僧帽弁輪峡部でのアブレーションを容易にし、線状アブレーション戦略の有効性を改善する可能性があるとされていた。JAMA誌オンライン版2024年11月18日号掲載の報告。

脳卒中の重症度を高める3つのリスク因子とは?

 喫煙、高血圧、心房細動の3つのリスク因子は、脳卒中リスクだけでなく、脳卒中の重症度を高める可能性のあることが、新たな研究により明らかになった。ゴールウェイ大学(アイルランド)老年医学分野のCatriona Reddin氏らによるこの研究の詳細は、「Neurology」に11月13日掲載された。  Reddin氏は、「脳卒中は、障害や死にさえつながる可能性があるが、生活習慣の是正や薬物療法により改善できるリスク因子は数多くある。われわれの研究結果は、障害を伴う重度の脳卒中を予防するためには、さまざまな脳卒中のリスク因子の中でも特に、高血圧、心房細動、喫煙の管理が重要であることを強調するものだ」と述べている。

運動習慣のある人でも座りすぎは心臓に良くない

 座っている時間が長いと、たとえ推奨される最低限の運動を行っていたとしても、心臓に悪い影響が生じることを示唆するデータが報告された。ただし、より高強度の運動を加えることで、そのリスクをある程度抑制できる可能性があるという。米コロラド大学ボルダー校のChandra Reynolds氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS ONE」に9月11日掲載された。同氏は、「仕事の後に少し歩く程度では、心臓の健康にとって十分ではないかもしれない」と述べている。  この研究は、米国コロラド州で行われている二つの疫学研究の参加者1,327人(平均年齢33.2±4.9歳〔範囲28~49〕、女性53%)を対象に行われた。研究参加者の年齢が比較的若いことに関連して、論文の筆頭著者である米カリフォルニア大学リバーサイド校のRyan Bruellman氏は、「若者は自分には加齢の影響が生じ始めていると全く考えていないことが多い。しかし後々の健康にとっては、人生のこの時期に何をするかが重要だ」と語っている。

猛暑は植え込み型除細動器装着者の心房細動リスクを高める

 心臓に問題を抱える数多くの米国人が、心拍を正常化して心イベントを予防する小型の植え込み型除細動器(ICD)を使用している。しかし、極端に暑い日には、より気温が低い日と比べて、ICD装着者が不整脈の一種である心房細動(AF)を起こすリスクが約3倍に上昇することが新たな研究で示された。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院環境保健学のBarrak Alahmad氏らによるこの研究は、米国心臓協会年次学術集会(AHA 2024、11月16~18日、米シカゴ)で発表された。  専門家らは、気候変動によって気温が摂氏38度に達する日が増えるにつれて、この脅威は高まる可能性があると指摘している。AHAに協力する専門家の一人で、今回の研究には関与していない米ケース・ウェスタン・リザーブ大学教授のSanjay Rajagopalan氏は、「著しい気温上昇のリスクがある地域に住んでいて、影響を受けやすい人は、この研究結果に留意し、必ず適切な予防策を取って涼しさを保ち、水分補給を行うよう心がけてほしい」と話している。

ビタミンDサプリで肥満高齢者の血圧低下

 高齢の肥満者がビタミンDサプリメントを摂取すると、血圧を下げられる可能性のあることが報告された。ただし、推奨される量よりも多く摂取したからといって、上乗せ効果は期待できないようだ。ベイルート・アメリカン大学医療センター(レバノン)のGhada El-Hajj Fuleihan氏らの研究の結果であり、詳細は「Journal of the Endocrine Society」に11月12日掲載された。  ビタミンDレベルが低いことが高血圧のリスクと関連のあることを示唆する研究報告があるが、その関連を否定する報告もあり、結論は得られていない。これを背景としてFuleihan氏らは、ビタミンDレベルが低下していて、血圧が高いことの多い肥満高齢者を対象とするランダム化比較試験を行った。