循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:172

心肺停止後の生存率は日本が10%前後、欧米は60~70%

 2018年9月18日、フィリップス・ジャパンは、都内において同社が推進する「Heart safe city構想」に関する記者発表会を行った。この構想は、心肺停止からの社会復帰率「世界一」を目指すもので、発表会では今後の計画と心肺蘇生に関するわが国の現状が解説された。  はじめに同社代表取締役社長の堤 浩幸氏が、わが国の心停止の救命の現状と今回の「Heart safe city構想」について説明した。

中等症~重症の二次性MRに経皮的僧帽弁修復術は有効か/NEJM

 ガイドラインに基づく最大用量の薬物療法を受けているにもかかわらず症状が持続している中等症~重症の二次性僧帽弁閉鎖不全症(MR)の心不全患者において、薬物療法単独と比較し薬物療法+経皮的僧帽弁修復術を行った患者では、24ヵ月以内の心不全による入院率と全死因死亡率が低下し、デバイス関連合併症の発生率も低いことが認められた。米国・コロンビア大学のGregg W. Stone氏らが、MitraClip(Abbott Vascular)を用いた経皮的僧帽弁修復術の安全性と有効性を検証した多施設共同無作為化非盲検比較試験「COAPT」の結果を報告した。左室機能不全に起因するMRを伴う心不全患者の予後は不良であり、経皮的僧帽弁修復術はこうした心不全患者の臨床転帰を改善する可能性があった。NEJM誌オンライン版2018年9月23日号掲載の報告。

健康高齢者への低用量アスピリン、無障害生存期間を延長せず/NEJM

 健康な高齢者に対する低用量アスピリン投与は、プラセボ投与と比較して、無障害生存期間を延長することはなく、大出血の頻度を増加することが示された。オーストラリア・モナシュ大学のJohn J. McNeil氏らが、米国およびオーストラリアの計50施設にて約2万例を対象に実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「ASPREE試験」の結果を報告した。本試験は、主要評価項目に関してアスピリンの使用継続が有益ではないことが認められたため、追跡期間中央値4.7年で早期終了となっている。アスピリンの医学的適応がない高齢者において、低用量アスピリンの使用が増加しているが、健康な高齢者の健康寿命を延ばすためのアスピリン使用に関する情報は限定的であった。NEJM誌オンライン版2018年9月16日号掲載の報告。

健康な高齢者へのアスピリンのCVD1次予防効果は?/NEJM

 健康な高齢者への1次予防戦略としての低用量アスピリンの使用は、プラセボと比較して、大出血リスクを有意に増大し、心血管疾患リスクを有意に減少しないことが示された。オーストラリア・モナシュ大学のJohn J. McNeil氏らASPREE試験の研究グループによる、米国とオーストラリアに住む高齢者1万9,114例を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌オンライン版2018年9月16日号で発表された。アスピリン治療では、心血管疾患の2次予防効果は確立されている。しかし、その1次予防効果は明確になっておらず、とくに同疾患リスクが高い高齢者において不明であった。

アスピリンは、健康な高齢者の死亡を抑制しない?/NEJM

 毎日アスピリンの投与を受けた健康な高齢者の死亡率は、プラセボと比較してむしろ高く、しかも主な死因はがん関連死であるとする予想外の研究結果が示された。オーストラリア・モナシュ大学のJohn J. McNeil氏らASPREE試験の研究グループが、NEJM誌オンライン版2018年9月16日号で報告した。本研究の初回解析では、アスピリンの毎日使用は、主要エンドポイントである無障害生存(disability-free survival)に関して便益をもたらさなかった。また、アスピリン使用者は、副次エンドポイントである全死因死亡率も高かったという。

脂肪が減ると死亡が増える!?:“imaging biomarker”としての新しいCTCAの使い方(解説:中野 明彦 氏)-924

質問です。皆さんはどんな目的でCTCAをオーダーされますか?「その胸痛から虚血を否定したい」「冠動脈狭窄を確かめたい」「冠動脈疾患のリスク;冠動脈カルシウムスコア(CCS)が知りたい」「プラークの不安定化を知りたい」「薬剤の効果;プラーク安定化を知りたい」。あるいはもっと高度に「FFR-CTや心筋灌流CTで冠動脈病変の機能性評価をしたい」でしょうか?

病院職員に"ハーバード流"マネジメント講義 健康長寿医療センターの試み

 病院経営にも一般企業と同様な組織マネジメントが必要と言われて久しいが、まだそうした体制が十分に普及しているとはいえないのが現状だ。そんな中、東京都健康長寿医療センターでは、職種横断的にミドルマネジャーを対象とした"ハーバード流"の「医療マネジメントスクール」を開催、着実に成果を上げている。

高齢者でもスタチンは投与すべきなのか?(解説:平山篤志氏)-923

今後多くの先進国は、高齢化社会を迎える。とくにわが国は高齢化率が著しく、諸外国に先駆けて数多くの未知なる諸問題に対処してゆかねばならない。その1つにEvidence Based Medicineがある。医学の世界では、EBMに基づいてガイドラインが作成され、治療に対応している。EBMとして最もエビデンスレベルが高いとされるのは、Randomized Control Trial(RCT)で得られた結果である。だが、多くの場合RCTでは高齢者が除外されているか、また含まれていても数が少ないため十分なEBMを得ることができていない。RCTでは少数であっても実臨床では数多い高齢者についての情報を得るために、近年はReal World Evidenceということが注目されるようになり、電子カルテベースのデータや保険会社のデータ、あるいはレジストリー研究からの結果が出されるようになっている。

「スタチン不耐に関する診療指針2018」で治療中断を食い止める

 スタチンは心筋梗塞をはじめ、動脈硬化によって生ずる心血管イベントを予防するためには必要不可欠であると、日本人を含むさまざまなデータにおいて報告がある。しかし、その服用継続が困難な「不耐」については日本人のデータが確立していないどころか、適切なLDLコレステロール低下療法が実践されているのかさえ不明瞭である。2018年9月26日、日本動脈硬化学会主催のプレスセミナー「スタチン不耐について」が開催され、梶波 康二氏(金沢医科大学循環器内科学主任教授/スタチン不耐ワーキンググループ委員長)が登壇し、スタチン不耐に関する診療指針2018作成の経緯について語った。

MitraClipはfunctional MRのイベント抑制しない? する?→する!(解説:絹川弘一郎氏)-921

最近、カテーテルによる心不全治療デバイスがImpella、MitraClipと立て続けに認可された。Impellaは少なくともわが国の適応である心原性ショックにおいてIABPに対する優越性をランダム化比較試験で立証できていないのであるが、わが国における治験なしで承認された。MitraClipも開心術にハイリスクのdegenerative MRについては明らかな有効性があり、米国でもすでに承認済みであるが、わが国の適応は米国で未承認であるfunctional MRを含んでいる。デバイスラグを糾弾されまいとするPMDAのご意向でもないとは思うが、どちらのデバイスの審査にも携わった1人としてわが国のデバイス承認の流れが以前とは若干変化してきていることは事実である。ことの良しあしは今後の市販後調査の結果に委ねられている。