外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:88

乳房温存術が切除術より生存率が高いのは独立した効果か

 術後放射線療法を伴う乳房温存術が、放射線療法を伴わない乳房切除術より生存率が高いことがコホート研究で示されているが、独立した効果なのか、選択バイアスの結果なのかは不明である。今回、スウェーデン・Capio St Goran's HospitalのJana de Boniface氏らは、重要な交絡因子である併存疾患および社会経済的状態の補正後も、乳房温存術の生存ベネフィットがみられるかどうか検討した。JAMA Surgery誌オンライン版2021年5月5日号に掲載。  本研究は、前向きに収集されたスウェーデンの全国的なデータ(National Breast Cancer Quality Registerからの全国的な臨床データ、National Board of Health and WelfareのPatient Registersからの併存疾患データ、Statistics Swedenからの個人レベルの教育と収入のデータ)を使用したコホート研究。スウェーデンで2008~17年にT1-2 N0-2の浸潤性乳がんと診断され手術を受けたすべての女性を対象に、放射線療法ありの乳房温存術、放射線療法なしの乳房切除術、放射線療法ありの乳房切除術の3群に分け、全生存率(OS)と乳がん特異的生存率(BCSS)を比較した。

新規抗体薬物複合体SG、転移TN乳がんに有効/NEJM

 転移を有するトリプルネガティブ(TN)乳がん患者において、新規の抗体薬物複合体(ADC)sacituzumab govitecan(SG)は化学療法単剤と比較して、無増悪生存(PFS)期間および全生存(OS)期間を有意に延長した。ただし、骨髄抑制と下痢の発現頻度は、SGのほうが高かった。米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのAditya Bardia氏らが、7ヵ国88施設で実施した無作為化評価者盲検第III相試験「ASCENT試験」の結果を報告した。SGは、乳がんの多くに発現しているヒト栄養膜細胞表面抗原2(Trop-2)を標的とするsacituzumabを、イリノテカンの活性代謝物SN-38(トポイソメラーゼI阻害薬)と独自の加水分解性リンカーを介して結合させた抗Trop-2 ADCで、これまで第I/II相試験で転移のある上皮がんにおける有効性、安全性が評価され、第III相試験実施を後押しする結果が得られていた。NEJM誌2021年4月22日号掲載の報告。

転移乳がんのOS、サブタイプ別の経年変化/ESMO Open

 転移を有する乳がん(MBC)の治療はこの10年で大きく進歩している。フランス・Gustave RoussyのThomas Grinda氏らが、全国的コホートであるESME(Epidemio-Strategy-Medico-Economical)-MBCのデータを用いて、2008~17年におけるMBCの全生存期間(OS)の変化をサブタイプ別に評価した結果、HER2陽性患者では改善し続けていることが示された。ESMO Open誌2021年4月22日号に掲載。  ESME-MBCでは、フランスのがんセンター18施設で2008年以降に治療を開始したすべてのMBC患者のデータを収集している。この研究では、全体(2万446例)およびサブタイプごとのOSを調査した。サブタイプ別の患者数は、ホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)患者が1万3,590例、HER2陽性(HER2+)患者が3,919例、トリプルネガティブ(TNBC)患者が2,937例。MBC診断年などの共変量で多変量解析を実施し、経年的なOS改善の可能性、MBC診断後に新規上市薬剤が投与された割合を評価した。

食道がんの治療にニボルマブが大きな影響を与える可能性が示された(解説:上村直実氏)-1382

食道がんおよび胃食道接合部がんに対する治療は、進行度により内視鏡的切除術、外科的手術および化学放射線治療による集学的治療が行われる。Stage II/IIIすなわち外科的切除可能な食道がんおよび胃食道接合部がんに対する標準治療は、術前の化学放射線療法と根治的手術とされている。比較的予後が良いとされているStage II/IIIの食道がんであっても、術後に再発する症例が多く、補助療法が必要であるケースも多い。

全がん・がん種別の10年生存率を初集計/国立がん研究センター

 国立がん研究センターは、全国のがん診療連携拠点病院等から収集した院内がん登録情報を用いて、2008年に診断された患者の10年生存率を発表した。がん診療連携拠点病院等をはじめとする国内240施設約24万例の登録データを集計したもので、10年生存率が発表されるのは初、既存の10年生存率集計としては最大規模となる。  がん種別には、胃がん、大腸がん、肝細胞がん・肝内胆管がん、小細胞肺がん・非小細胞肺がん、女性乳がん、食道がん、膵臓がん、前立腺がん、子宮頸がん・子宮内膜がん、膀胱がん。肺がんや子宮がんをさらに分類した上で、Stage別のデータも集計された。

脊椎手術特化の手術支援ロボット承認/日本メドトロニック

 日本メドトロニック株式会社は、脊椎固定術の治療に併用される「Mazor X(マゾール エックス)ロボットシステム」(以下「本システム」という)の製造販売承認を2021年3月18日に取得したと発表した。  本システムは、手術計画の作成から術後のシミュレーションまでを一貫して提供する統合システムで、サージカルアームとナビゲーション技術の融合により、より高い精度での手術手技の実現と患者へのより良いアウトカムをもたらすことを目指している。

アナモレリン、がん悪液質に新たな治療選択肢/小野薬品

 小野薬品工業は、2021年4月21日、グレリン様作用薬アナモレリン(商品名:エドルミズ)について、「悪性腫瘍(非小細胞肺癌、胃癌、膵癌、大腸癌)におけるがん悪液質」の効能又は効果で国内において新発売した。  がん悪液質は、がんに伴う体重減少(特に筋肉量の減少)や食欲不振を特徴とする複合的な代謝異常症候群であり、がん患者の生活の質(QOL)や予後に顕著な影響を及ぼすことが分かってきているが、これまでに国内でがん悪液質の治療薬として承認された薬剤はなかった。

ファイザー製ワクチン、免疫チェックポイント阻害薬投与がん患者での安全性

 全身薬物療法で治療後もしくは治療中のがん患者は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡リスクが高いため、ワクチン接種の優先度が高いグループと見なされる。しかし、がん患者におけるワクチンの安全性および有効性データはない。また、一部の専門家から、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)投与患者において、ワクチンで免疫関連有害事象を誘発または増強する可能性が指摘されている。今回、イスラエル・Tel Aviv Sourasky Medical CenterのBarliz Waissengrin氏らは、ICIで治療されたがん患者におけるファイザー社製ワクチン(BNT162b2 mRNAワクチン)の安全性について調査した。Lancet Oncology誌オンライン版2021年4月1日号に掲載。

新型コロナワクチン接種、51.7%が副反応に不安/MDV

 メディカル・データ・ビジョン(MVD)は4月13日、キャンサーネットジャパン(CNJ)と共同実施した新型コロナワクチン接種に関するアンケート結果をプレスリリースした。それによると、接種を希望する患者は80.0%で、全回答者のうち51.7%は副反応に不安を抱いていることが明らかになった。  本アンケートはMDVが3月25日~4月5日(CNJは4月6日~4月12日)にウェブを通じて実施、300人から回答を得た。「ワクチン接種に関して感じている不安」について聞いた結果、副反応に関して51.7%と最も多くの人が不安を感じ、次いで、効果が11.7%、供給体制は9.7%、他疾患に対する影響は9.0%だった。

非浸潤性乳管がん、浸潤性がんへの進展リスク因子は?日本人患者の分析から

 乳房の非浸潤性乳管がん(DCIS)は、浸潤性乳管がん(IDC)の前駆病変と臨床的には位置づけられ、DCISが見つかった場合、現在では一様に切除手術が行われている。しかしこのDCIS集団中には、真に浸潤がんに発展するDCIS(真のDCIS 群)だけでなく、浸潤がんには進展しない症例が含まれることが明らかになってきており、両群を区別する因子の同定が求められている。東京大学学大学院新領域創成科学研究科の永澤 慧氏らは、DCISの進展に関係する候補因子として、臨床病理学的因子に加え、遺伝子因子としてGATA3遺伝子の機能異常を同定した。Communications biology誌オンライン版2021年4月1日号の報告より。