呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:77

ペグフィルグラスチム自動投与デバイスが承認取得、化学療法後の通院不要に/協和キリン

 協和キリンは、2022年8月1日、テルモと共同開発中の持続型G-CSF製剤ペグフィルグラスチムの自動投与デバイス(製品名:ジーラスタ皮下注 3.6mg ボディーポッド)について、がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症とした製造販売承認を7月28日付で取得したことを発表した。  ジーラスタはAmgen K-A 社より導入した持続型 G-CSF 製剤。がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制を適応症として日本にて2014年より販売しており、医療機関では通常、がん化学療法剤投与終了後の翌日以降に投与される。同デバイスは、薬剤が一定時間後に自動で投与される機能を搭載している。がん化学療法と同日に使用することでジーラスタ投与のための通院が不要となることから、患者さんの通院と医療従事者の業務の負担軽減が期待される。

2010年代の京都市の肺がん治療、医療費は増加し生存割合は改善/アストラゼネカ

 アストラゼネカと京都市は、京都市におけるがん検診受診率や肺がん患者の治療パターン、予後などに関する行政医療データを解析・調査するための共同研究の結果を発表した。この結果は2022年6月28日付けでValue in Health Regional Issues(電子版)に掲載されている。  2013〜18年度に京都市で肺がんと診断され、治療を受けた4,845名を対象に、肺がんの治療パターン、医療費、予後について解析・調査を行った。

8種の中和抗体薬、BA.4/BA.5への有効性は?/東大医科学研究所

 新型コロナウイルスの研究を推進する東京大学医科学研究所の佐藤 佳氏らによる研究コンソーシアム「The Genotype to Phenotype Japan(G2P-Japan)」は、新系統のBA.2.11、BA2.12.1、BA.4、BA.5を含むオミクロン株の各系統に対して、8種類の中和抗体薬の効果をin vitroで検証した。その結果、日本で未承認のbebtelovimabが、現在国内で主流となっているBA.5にも有効であることが確認された。本結果は、The Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2022年6月8日号のCORRESPONDENCEで報告。  研究対象となったのはFDA(米国食品医薬品局)で承認済み、および国内で一部承認済みの中和抗体薬で、カシリビマブ・イムデビマブ併用(商品名:ロナプリーブ、中外製薬)、ソトロビマブ(商品名:ゼビュディ、GSK)、tixagevimab・cilgavimab併用(海外での商品名:Evusheld、AstraZeneca)、bebtelovimab(Lilly)、bamlanivimab・etesevimab併用(Lilly)となっている。

2022-23年シーズンのインフル対策に4つの提言/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医科学研究所附属病院長])は、7月26日に同学会のホームページで学会提言として「2022-2023年シーズンのインフルエンザ対策について」(医療機関の方々へ)を公開した。  現在、わが国は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)第7波の真っただ中であるが、インフルエンザについては、国内でCOVID-19の流行が始まった2020年2月以降、患者報告数は急速に減少していた。

高気温と大気汚染は健康被害を相乗的に増やす

 暑さと大気汚染が重なると、健康への悪影響が相乗的に強まり、特に高齢者の死亡リスクが上昇することを示すデータが報告された。米南カリフォルニア大学のMd Mostafijur Rahman氏らの研究によるもので、詳細は「American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine」に4月5日掲載された。同氏は、「残念ながら、地球の温暖化とともに気温上昇と大気汚染が進行し、その影響で死亡者数も増えるだろう」と予想している。  Rahman氏らは、2014~2019年の米国カリフォルニア州での150万人以上の死亡統計データと、気温および微小粒子状物質(PM2.5)の飛散状況に関するデータを用い、ケース・クロスオーバー法という手法により、それらの関連を検討。その結果、高気温とPM2.5の拡散は、それぞれ単独でも死亡リスクを高めるものの、両者が重なった場合には特に死亡者数が増えることが明らかになった。

BA.4/BA.5に強力な中和抗体反応/2価ワクチン候補mRNA-1273.214

 2022年7月11日(現地時間)、Moderna(米国)は、オミクロン株亜系統BA.1を含む追加接種用2価ワクチン候補mRNA-1273.214について新しい臨床データを発表し、mRNA-1273(商品名:スパイクバックス筋注)による追加接種と比較して、オミクロン亜系統BA.4およびBA.5に対する有意な中和抗体反応が示されたことを発表した。  Modernaは、各市場におけるオミクロン亜系統の状況に応じて、今秋に向け2種類の追加接種用2価ワクチン候補の開発を進めている。今回公表されたのは、そのうちのmRNA-1273.214に関するデータである。主な結果は以下のとおり。 ・接種時に感染のない被験者において、2価ワクチン候補mRNA-1273.214 は、既存のmRNA-1273による追加接種と比較して、BA.4/BA.5に対して有意に高い中和抗体価を示し、幾何平均比は1.69(95%信頼区間[CI]:1.51~1.90)であった。 ・追加接種から1ヵ月後の時点におけるBA.4/BA.5に対する中和抗体価は、mRNA-1273.214 では776(95%CI:719~838)、mRNA-1273による追加接種では458(95%CI:421~499)であった。

コロナとインフルワクチンの同時接種での副反応、ファイザー製vs.モデルナ製

 日本国内でも先日開催された厚生労働省の厚生科学審議会・予防接種・ワクチン分科会にて、新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの同時接種が了承された。世界ではすでに同時接種を行う例もあり、米国・CDC COVID-19 Response TeamのAnne M Hause氏らが同時接種による有害事象の増加有無、ワクチンメーカーによる違いについて調査した結果、新型コロナワクチンのブースター接種とインフルエンザワクチンを同時接種した者は新型コロナワクチンのみを接種した者と比較して、接種後0~7日の全身反応の報告が有意に増加していたことが明らかになった。ただし、それらは軽度~中等度であること、また、同時接種による調整オッズ比[aOR]はファイザー製で1.08、モデルナ製で1.11であったことも示唆された。本研究はJAMA Network Open誌2022年7月15日号に掲載された。

ファイザー製とAZ製、コロナワクチンの有効性を比較 /BMJ

 イングランドでは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)アルファ変異株の流行期の健康な医療従事者において、BNT162b2(mRNAワクチン、ファイザー製)とChAdOx1(ウイルスベクターワクチン、アストラゼネカ製)という2つのワクチンには、接種後20週以内のSARS-CoV-2感染および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生について実質的な差はなく、これらの発生率は初回接種後3~4週間目には急激に低下して、それ以降はCOVID-19関連の受診や入院が少なくなったことから、両ワクチンはいずれもアルファ変異株によるCOVID-19に対する強力な予防効果を有することが、英国・オックスフォード大学のWilliam J. Hulme氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2022年7月20日号で報告された。  研究グループは、イングランドの医療従事者およびソーシャルケアワーカーにおいて、SARS-CoV-2感染とCOVID-19発生に対する2つのワクチン(BNT162b2、ChAdOx1)の有効性を比較する目的で、イングランド国民保健サービス(NHS England)の委託として、効果比較試験に類似のコホート研究を行った(英国研究技術革新機構[UKRI]などの助成を受けた)。  SARS-CoV-2アルファ変異株が優勢な時期におけるOpenSAFELY-TPPの研究プラットフォーム内で利用可能なプライマリケア、病院、COVID-19サーベイランスの記録が関連付けられた。

BA.4/BA.5に対するコロナ治療薬の効果を比較/NEJM

 国内の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第7波ではオミクロン株BA.5が主流となり、感染拡大が急速に進んでいる。また海外では、BA.4やBA.2.12.1への置き換わりが進んでいる地域もある。東京大学、国立感染症研究所、国立国際医療研究センターが共同で行った研究において、これらの新系統BA.2.12.1、BA.4、BA.5に対し、4種類の抗体薬と3種類の抗ウイルス薬についてin vitroでの有効性を検証したところ、国内で承認済みの抗ウイルス薬が有効性を維持していることが示唆された。

コロナワクチン、2回目接種後6ヵ月で陽性率は未接種者と同等?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンの有効性の低下は、COVID-19関連入院、COVID-19関連死、SARS-CoV-2検査陽性で一貫しており、年齢および感染リスクで定義したサブグループ間で差はみられないことが、英国・ブリストル大学のElsie M. F. Horne氏らによるOpenSAFELY-TPPデータベースを用いたコホート研究の結果、示された。最近のシステマティック・レビューでは、COVID-19重症化に対するワクチンの有効性が2回目接種後1~6ヵ月間で10%(95%信頼区間[CI]:6.1~15.4)低下すると推定されたが、研究デザインの違いや結果のばらつきにより結論は得られていなかった。著者は、「今回の結果は、オミクロン変異株感染や、ブースターワクチン接種が続くならばブースターワクチン接種のスケジュール決定に役立つと考えられる」とまとめている。BMJ誌2022年7月20日号掲載の報告。