呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:76

世界初のRSVワクチン承認/FDA

 グラクソ・スミスクライン/GSKは、2023年5月3日、RSウイルス(RSV)ワクチン「Arexvy」について、60歳以上におけるRSVに関連する下気道疾患の予防を目的として米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことを発表した。本承認は、60歳以上を対象とした第III相試験「AReSVi-006試験」の結果に基づくもの。RSVは、米国において65歳以上の年間約17万7千例の入院、約1万4千例の死亡を引き起こしていると推定されている。日本においては、60歳以上の年間約6万3千例の入院、約4千例の死亡を引き起こしていると推定されている。

入院前のコロナスクリーニングPCR検査、変異株流行初期に有用か/感染症学会・化学療法学会

 入院時のスクリーニング検査としてのSARS-CoV-2 RT PCRは、院内感染予防や全身麻酔・手術などの侵襲による患者の重症化予防に有用とされる一方、陽性率の低さや所要時間、コストなどの問題が指摘されており、新型コロナの5類感染症移行に伴い、今後の検査の緩和について議論が行われている。京都府立医科大学附属病院の山本 千恵氏らの研究チームにより予定入院前スクリーニング検査としてのSARS-CoV-2 RT PCRについて検討が行われ、その結果、とくに各変異株の流行初期において院内感染の予防に効果的であった可能性が示唆された。4月28~30日に開催された第97回日本感染症学会総会・学術講演会/第71回日本化学療法学会学術集会合同学会にて山本氏が発表した。

AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネル、KRAS G12C、 RET融合遺伝子にも保険適用/理研ジェネシス

 理研ジェネシスは、2023年5月1日、「AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネル」において、2023 年3月 22 日付で7種のドライバー遺伝子(EGFR、ALK、ROS1、BRAF、MET、KRAS、RET)を対象とするマルチプレックス検査として製造販売承認事項一部変更承認を取得し、2023年5月1日付で新たに保険適用されたと発表した。   同製品は、非小細胞肺癌の7種のドライバー遺伝子をカバーする、リアルタイムPCR法を原理としたコンパニオン診断薬である。

医療者へのBCGワクチン、新型コロナの予防効果なし/NEJM

 オーストラリア・メルボルン大学のLaure F. Pittet氏らが、オーストラリア、オランダ、スペイン、英国およびブラジルで実施した医療従事者を対象とする無作為化二重盲検プラセボ対照試験「BCG Vaccination to Reduce the Impact of COVID-19 in Healthcare Workers:BRACE試験」の結果をプラセボと比較すると、BCGワクチン接種による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のリスク低下は認められなかった。BCGワクチンには、免疫調節のオフターゲット効果があり、COVID-19に対する保護作用があると仮定されていた。NEJM誌2023年4月27日号掲載の報告。

コロナ罹患後症状、睡眠障害が長期持続/日本呼吸器学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患後、長期にわたって症状が残存する患者が存在する。症状はさまざまであるが、その中の1つとして睡眠障害が挙げられている。そこで、中等症以上のCOVID-19患者を日本全国55施設で追跡した「COVID-19後遺障害に関する実態調査(中等症以上対象)」において、睡眠障害の実態が検討された。その結果、中等症以上のCOVID-19患者の睡眠障害が遷延していることが明らかになった。2023年4月28~30日に開催された第63回呼吸器学会学術集会において、佐藤 晋氏(京都大学大学院医学研究科 呼吸管理睡眠制御学講座 特定准教授)が発表した。

コロナとインフルの死亡リスク、最新研究では差が縮まる

 COVID-19を季節性インフルエンザと比較した場合、死亡リスクの差はどのくらいか。COVID-19パンデミックの初年度、米国の2つの研究では、COVID-19で入院した人は、季節性インフルエンザで入院した人と比べ、30日死亡リスクが約5倍になることが示唆されている。その後、COVID-19の臨床ケア、集団免疫など、多くの変化があり、この数字は変化した可能性がある。

モルヌピラビル、高リスクコロナ患者の後遺症リスク低減/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染し、重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に進行する危険因子を少なくとも1つ有する患者において、感染後5日以内のモルヌピラビル投与は無治療と比較し、ワクチン接種歴や感染歴にかかわらず、急性期以降の罹患後症状(いわゆる後遺症)(post-acute sequelae of SARS-CoV-2:PASC)のリスク低下と関連していた。米国・VA Saint Louis Health Care SystemのYan Xie氏らが、退役軍人医療データベースを用いたコホート研究で明らかにした。著者は、「COVID-19の重症化リスクが高い患者では、SARS-CoV-2感染後5日以内のモルヌピラビル投与がPASCのリスクを低下する有効なアプローチとなりうる」とまとめている。BMJ誌2023年4月25日号掲載の報告。

今後もマスクをする人は約4割/アイスタット

 2023年5月8日より新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置付けが、2類から5類へ移行することで施策が大きく変わる。今後、一般市民は新型コロナウイルス感染症にどのように対応していくのか。マスクの着用は個人の自由になるが、はたしてどのように考えているのか。株式会社アイスタットは4月13日に「今後のマスク着用&コロナワクチン接種」に関するアンケートを行った。  アンケート調査は、セルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の全国の会員20~59歳の有職者300人が対象。

喘息診断で注目、タイプ2炎症バイオマーカーの手引き発刊/日本呼吸器学会

 タイプ2炎症は、主に2型ヘルパーT細胞(Th2細胞)や2型自然リンパ球(ILC2)が産生するIL-4、IL-5、IL-13などの2型サイトカインが作用する炎症である。気道・肺疾患と密接な関係にあり、診断や治療に直結する。とくに、生物学的製剤の治療選択や効果予測に重要な役割を果たすことから、近年注目を集めている。そのような背景から、「タイプ2炎症バイオマーカーの手引き」が2023年4月3日に発刊された。第63回日本呼吸器学会学術講演会において、本書の編集委員長を務めた松永 和人氏(山口大学大学院医学系研究科呼吸器・感染症内科学講座 教授)が「タイプ2炎症バイオマーカーが切り拓く未来」と題し、主に「喘息の診断と管理効率の向上」「疾患修飾による喘息寛解の展望」について、解説した。

日本におけるオミクロン対応2価ワクチンの有効性~多施設共同研究/感染症学会・化学療法学会

 2021年7月より新型コロナワクチンの有効性を長期的に評価するために開始された多施設共同サーベイランス研究「VERSUS study [Vaccine Effectiveness Real-time Surveillance for SARS-CoV-2]」の最新の結果について、4月28~30日に開催された第97回日本感染症学会総会・学術講演会/第71回日本化学療法学会学術集会合同学会にて、長崎大学の前田 遥氏が発表した。本結果により、国内の高齢者に対するオミクロン対応2価ワクチンの発症予防および入院予防の有効性が、国内の若年者および欧米のデータよりも高いことが示唆された。