呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:76

心筋炎リスクを天秤にかけても新型コロナワクチンは接種したほうがよいようだ(解説:甲斐久史氏)

感染力は強いものの重症化率が低いとされるオミクロン株が主流となったことで、正常な社会経済活動と新型コロナウイルスが共存するWithコロナ時代が本格的到来かと思われた。しかし、オミクロン株BA.5による感染拡大第7波は、8月に入ってもピークアウトすることなく、3年ぶりの行動制限のない夏休み・お盆休みを迎えた。感染者も小児〜若年者中心から後期高齢者も含めた全年齢層に拡大し、重症者数・死亡者数も着実に増加している。加えて、多くの医療従事者が感染者あるいは濃厚接触者となることで出勤停止となり、その結果、コロナ診療のみならず一般医療・救急医療はこれまでにない逼迫した状況に直面している。そのような中、60歳以上の高齢者に加えて、急遽、医療従事者および高齢者施設等の従事者への新型コロナワクチン第4回目接種が進められることとなった。わが国における3回目接種率は60歳以上では80%以上であるのに対して、12〜19歳では36%、20〜30歳代では50%前後にとどまっている。若者ほどワクチン接種後の高熱や倦怠感といった副反応が強いことに加え、若者には実感しにくい重症化予防効果はさておき、目に見える感染予防効果がオミクロン株において低下していることもその背景にあろう。

第3世代EGFR-TKI耐性NSCLCに対するHER3標的ADC U3-1402の第III相試験開始/第一三共

 第一三共は2022年8月9日、HER3に対する抗体薬物複合体パトリツマブ デルクステカン(U3-1402/HER3-DXd)について、EGFR遺伝子変異を有する転移のある非小細胞肺がん(NSCLC)患者への2次治療を対象とした第III相臨床試験 (HERTHENA-Lung02)において、最初の患者への投与を開始した。  同試験はEGFR遺伝子変異を有し、第3世代EGFR-TKI治療後に病勢進行した転移のあるNSCLC患者を対象として、U3-1402の有効性および安全性をプラチナ製剤と比較評価する国際第III相臨床試験である。

2cm以下の末梢非小細胞肺がん、肺葉切除 vs.縮小手術(CALGB140503) /WCLC2022

 2cm以下の末梢型非小細胞肺がん(NSCLC)に対して肺葉切除術と縮小手術(区域切除または楔状切除)を比較した米国の第III相試験CALGB140503 (Alliance) の結果、縮小手術は肺葉切除に非劣性を示した。  試験解析の結果は米国・New York Presbyterian病院のAltorki氏によって世界肺癌学会(WCLC2022)で発表された。  1995年の米国Lung Cancer Study Groupによる肺葉切除と縮小手術の無作為化試験以降、cT1N0の小型NSCLCの標準術式は肺葉切除となっている。近年、小型の末梢非小細胞肺がんの検出が増加し、これらの患者集団に対し、呼吸機能維持を鑑みた縮小手術に関心が寄せられている。そのようななか、本年(2022年)日本で行われたJCOG0802試験が、2cm以下のNSCLCに対する区域切除の肺葉切除に対する非劣性を証明した。米国においてもAltorki氏らにより、臨床的 T1aN0(UICC-7) の2 cm以下の NSCLCに対する肺葉切除と縮小手術を比較した無作為化試験CALGB140503 (Alliance) が行われた。

モデルナ、オミクロン株対応2価ワクチンを国内承認申請

 2022年8月10日、モデルナ・ジャパンは、追加接種用2価ワクチンmRNA-1273.214 50μgを、18歳以上を対象とした追加接種用ワクチンとして厚生労働省に承認事項一部変更申請を行ったことを発表した。追加接種用2価ワクチンmRNA-1273.214は、mRNA-1273とオミクロン株対応のmRNAを含んでいる。  今回の申請は、臨床試験前に血清学的にSARS-CoV-2検査が陰性であった被験者に対する、第II/III相臨床試験などの結果に基づく。  第II/III相臨床試験では、mRNA-1273.214による追加接種(50μg)が、mRNA-1273の追加接種(50μg)との比較において、オミクロン株(BA.1)に対する中和抗体反応など全ての主要評価項目を達成した。

断続的断食がCOVID-19重症化リスクを抑制?

 断続的断食が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症化リスクを抑制するのではないかとする論文が、「BMJ Nutrition, Prevention and Health」に7月1日掲載された。筆頭著者である、米インターマウンテン心臓血管/遺伝疫学部門の責任者、Benjamin Horne氏は、「断続的断食に関しては既に、炎症や心血管リスクの抑制につながることが示されているが、本研究によって新たなメリットの可能性が明らかになった。断続的断食を長期間続けている人はCOVID-19との戦いに有利かもしれない」と述べている。

HER2変異非小細胞肺がんへのトラスツズマブ デルクステカン、FDAが迅速承認

 FDA(米国食品医薬品局)は2022年8月11日、転移を有する既治療のHER2変異非小細胞肺がん (NSCLC) の成人患者に対して、トラスツズマブ デルクステカン (製品名:エンハーツ)を迅速承認した。 HER2変異陽性NSCLCへの初の薬剤承認となる  今回の迅速承認は、多施設無作為盲検用量最適化試験であるDESTINY-Lung02に基づいたもの。  FDAはコンパニオン診断としてOncomin Dx Target Test(組織)と Guardant Guardant360 CDx(血漿)を同時に承認している。

コロナ関連死リスク、BA.1株はデルタ株より低い/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による死亡のリスクは、オミクロン変異株(BA.1)のほうがデルタ変異株(B.1.617.2)より低い。英国・Office for National StatisticsのIsobel L. Ward氏らが、後ろ向きコホート研究の結果を報告した。これまでに、オミクロン株のすべての系統(BA.1、BA.2、BA.3、BA.4、BA.5)はデルタ株より感染しやすいが、SARS-CoV-2検査陽性後28日以内の入院および死亡リスクは、オミクロン株のほうがデルタ株より低いことが示唆されていた。しかし、オミクロン株とデルタ株で、死亡診断書から特定されるCOVID-19関連死のリスクを比較した研究は不足していた。BMJ誌2022年8月2日号掲載の報告。

幼児のいる親はコロナ重症化リスクが低い~300万人超の分析

 米国・Kaiser Permanente Northern California(KPNC)のMatthew D. Solomon氏らが、幼児と接する機会の有無が、成人のCOVID-19重症化リスクに影響するかどうかを、300万人超の大規模なリアルワールドデータで調査した。その結果、家に0~5歳の子供がいる成人では、家に子供がいない成人に比べて重症化率が有意に低いことが報告された。これまで、小児では、過去のSARS-CoV-2以外のコロナウイルスへの曝露による交差免疫が、COVID-19の重症化予防に寄与している可能性が示唆されている。そこで、5歳未満の小児のいる成人ではウイルスへの曝露機会が増加するため、成人のSARS-CoV-2以外のコロナウイルスへの交差免疫の有無を小児との接触と推定して、COVID-19の重症化リスクを評価することにした。Proc Natl Acad Sci USA誌2022年8月16日号に掲載。

TROP2を標的としたADC(DS-1062)の非小細胞肺がんに対する第Ib相試験の結果を世界肺がん学会(WCLC2022)で発表/第一三共

 第一三共とアストラゼネカは、再発・進行非小細胞肺がん患者(NSCLC)を対象とした、TROP2に対する抗体薬物複合体DS-1062(Dato-DXd)とペムブロリズマブの併用の第Ib相臨床試験TROPION-Lung02の中間解析データを世界肺癌学会(WCLC2022)で発表した。  同試験は、actionableな遺伝子変異のない再発・進行NSCLC約120例を対象に、DS-1062とペムブロリズマブの2剤併用療法と、DS-1062、ペムブロリズマブ、プラチナ製剤の3剤併用療法の安全性および有効性を評価するグローバル第Ib相臨床試験である。