呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:319

急性呼吸促迫症候群、アスピリン早期投与で予防できるか/JAMA

 急性呼吸促迫症候群(ARDS)の発症に、アスピリンの早期投与は効果があるのか、米国・メイヨークリニック大学のDaryl J. Kor氏らが、第II相の多施設共同二重盲検プラセボ対照無作為化試験を行い検討した。救急部門(ED)に出現した高リスク患者390例を対象に検証した結果、7日時点のARDS発症に有意差は認められなかったという。ARDS治療は支持療法が主である。一方で、早期介入の発症予防効果は明らかになっていなかった。研究グループは、アスピリンを用いた早期介入の有効性と安全性を検証したが、試験の結果を踏まえて、「より大規模な第III相試験の実施を支持するデータが得られなかった」と結論している。JAMA誌オンライン版2016年5月15日号掲載の報告より。

合成性ホルモン・ダナゾールでテロメア伸長を確認/NEJM

 テロメア疾患患者に対し、合成性ホルモンのダナゾールの経口投与による治療によって、テロメア伸長がもたらされたことが示された。米国立心肺血液研究所(NHLBI)のDanielle M. Townsley氏らが同疾患患者を集めて行った第I-II相前向き試験の結果で、NEJM誌2016年5月19日号にて発表された。テロメア維持・修復の遺伝子異常は、骨髄不全、肝硬変、肺線維症を引き起こすこと、またがんに対する感受性を高めることが知られている。歴史的に、骨髄不全症候群の治療としてアンドロゲンが有用とされてきたが、組織培養と動物モデルにおける検討で、性ホルモンがテロメラーゼ遺伝子発現を調節することが確認されていた。

増悪リスクの高いCOPD、LABA/LAMAの位置付けは?/NEJM

 インダカテロール(長時間作用性β2刺激薬[LABA])/グリコピロニウム(長時間作用性抗コリン薬[LAMA])は、過去1年間に増悪歴のある慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、サルメテロール(LABA)/フルチカゾン(吸入ステロイド[ICS])と比較し、COPD増悪抑制効果が優れることが認められた。英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのJadwiga A. Wedzicha氏らが、両薬剤を直接比較する多施設共同無作為化二重盲検第III相試験(FLAME試験)の結果、報告した。大半のガイドラインにおいて、増悪リスクの高いCOPD患者の治療には、第1選択としてLABA/ICSまたはLABA/LAMAが推奨されているが、LABA/LAMAの位置付けは明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2016年5月15日号掲載の報告。

喫煙歴+呼吸器症状は呼吸機能悪化のリスク/NEJM

 呼吸機能保持が認められる現在・元喫煙者で、慢性閉塞性肺疾患(COPD)診断基準を満たさなくとも呼吸器症状がある人は、ない人に比べ、呼吸機能が悪化する割合が高く、活動制限や気道疾患の所見がみられるという。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のPrescott G. Woodruff氏らが行った、2,736例を対象とした観察試験の結果、示された。COPDの診断は、気管支拡張薬投与後のスパイロメトリーによる検査で1秒量(FEV1)/努力肺活量(FVC)が0.70未満の場合とされている。しかし、この定義を満たさなくとも多くの喫煙者で呼吸器症状が認められており、研究グループはその臨床的意味について検討を行った。NEJM誌2016年5月12日号掲載の報告より。