呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:310

繰り返す肺炎、危険因子となる薬剤は?

 日本や高齢化が急速に進行する社会において、繰り返す肺炎(recurrent pneumonia:RP)は大きな臨床的問題である。全国成人肺炎研究グループ(APSG-J)は、わが国のRP発症率と潜在的な危険因子を調査するために、成人肺炎の前向き研究を実施した。その結果、RPは肺炎による疾病負荷のかなりの割合を占めることが示唆され、RPの独立した危険因子として、肺炎既往歴、慢性の肺疾患、吸入ステロイドや催眠鎮静薬の使用、緑膿菌の検出が同定された。著者らは、高齢者におけるRPの影響を減らすために薬物使用に関して注意が必要としている。BMC pulmonary medicine誌2017年1月11日号に掲載。

乳幼児の中等度細気管支炎に、高流量酸素療法は?/Lancet

 中等度の細気管支炎に対する高流量加温加湿鼻カニューレ酸素療法(HFWHO)は、低流量鼻カニューレ酸素療法(標準酸素療法)と比較して、酸素離脱までの時間を短縮しないことが示された。オーストラリア・John Hunter小児病院のElizabeth Kepreotes氏らが、HFWHOの有用性を検証することを目的とした第IV相無作為化非盲検比較試験の結果を報告した。細気管支炎は乳幼児で最も一般的な肺感染症であり、治療は呼吸困難や低酸素症の管理が中心となる。HFWHOの使用は増加しているが、これまで無作為化試験は行われていなかった。今回の結果について著者は、「中等度細気管支炎に対するHFWHOの早期使用は、基礎疾患の経過を緩和するものではないことを示唆するが、HFWHOには、費用が高額な集中治療を必要とする小児を減らす緊急処置としての役割があるかもしれない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年2月1日号掲載の報告。

非喫煙者では飲酒量と肺がんリスクが逆相関

 飲酒量と肺がんリスクとの関連は、喫煙による交絡の可能性があり研究の解釈を複雑にしている。カナダのルーネンフェルト・タネンバウム研究所のGordon Fehringer氏らは、プールされた大規模なサンプルで、生涯非喫煙者のみの解析によって喫煙による潜在的な交絡を最小限に抑え、飲酒量と肺がんリスクとの関連を調査したところ、とくに飲酒量が低~中等度の人では、飲酒量と肺がんに負の相関を認めた。また、この関連はワインと蒸留酒において示され、ビールでは認められなかったという。International journal of cancer誌オンライン版2017年1月24日号に掲載。

ALK陽性NSCLCの1次治療、セリチニブでPFS延長/Lancet

 未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子転座を有する非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、セリチニブ(商品名:ジカディア)は従来の化学療法に比べ予後を改善することが、フランス・パリ第11大学のJean-Charles Soria氏らが行ったASCEND-4試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2017年1月23日号に掲載された。ALK遺伝子転座は、NSCLC患者の3~7%にみられるドライバー遺伝子変異で、比較的若年、非喫煙/軽度喫煙歴、肺腺がんの患者に多い。セリチニブは、次世代の選択的経口ALK阻害薬で、血液脳関門を通過するため脳転移への効果も期待できるという。

禁煙支援サービス、個別の疾患リスク提示で利用者倍増/Lancet

 英国国民保健サービス(NHS)の禁煙支援サービス(Stop Smoking Services:SSS)において、入門セッションへの案内状と一緒に個別のリスク情報(個人が喫煙を継続した場合に起こりうる重篤な疾患の危険度)を提供することによって、標準の一般的な案内状と比較してSSSへの参加率が2倍以上になったという。ロンドン大学のHazel Gilbert氏らが、SSSの利用に関して2つの要素から成る個別化介入の有効性を評価したStart2quit試験の結果、報告した。SSSは禁煙を希望する喫煙者を支援するものだが、利用率は低く、最近はさらに低下傾向にあった。今回の結果を踏まえて著者は、「地域のサービスを体験する機会と組み合わせ、より積極的にアプローチすることで、サービスを受けることに対する患者の障壁を減らすことができ、利用者が増加する可能性がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2017年1月24日号掲載の報告。

喘息の過剰診断・過剰治療が許されない時代へ(解説:倉原 優 氏)-636

「喘息と診断されている患者の3人に1人が誤診だ」と言われたら、どう思うだろうか。私はまっとうに診断をしていると反論する人もいれば、なんとなく喘息だと診断しているので何も言い返せない人もいるかもしれない。すべてが誤診だとバッサリ切り捨てているわけではないが、言い方を変えたとしても「喘息と診断されている患者の3人に1人が、適切に診断された喘息を現在有していない」と結論付けたのが本研究である。

成人喘息患者の3人に1人は現在喘息ではない!?/JAMA

 過去に医師から喘息と診断されたことがある成人患者のうち、33.1%は現在喘息ではないと診断された。カナダ・オタワ大学のShawn D Aaron氏らが、喘息と診断された成人患者を対象に、現在も喘息であるという診断を除外できるか、また、喘息治療薬を安全に中止できるかを検証する目的で行った多施設前向きコホート研究の結果、報告した。著者は、「医師から喘息と診断されたことがある患者は、その診断を再評価したほうがいいかもしれない」と提言している。喘息は慢性疾患であるが、成人喘息の自然寛解や診断の確実性については不明であった。JAMA誌2017年1月17日号掲載の報告。

ペムブロリズマブ 肺がん1次治療の適応さらなる拡大へ:化学療法との併用で

 Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. は2017年1月10日、FDA(米国食品医薬品局)がペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)を受理したことを発表した。この申請は、同社の抗PD-1 抗体ペムブロリズマブと化学療法(ペメトレキセド+カルボプラチン)の併用を、PDーL1発現の有無にかかわらず(EGFRおよびALK変異のない)転移性・進行の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療とするというもの。