呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:216

KRASG12C変異陽性肺がんにおけるsotorasib(CodeBreaK100)/ESMO2020

 KRAS p.G12C変異は固形がんの1〜3%、非小細胞肺がん(NSCLC)では13%に認められる。KRASG12C阻害薬sotorasib(開発コード:AMG510)は、KRASp.G12C変異陽性の進行固形腫瘍患者の第I相試験で良好な抗腫瘍活性と安全性プロファイルを示した。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、この国際オープンラベル第I相試験CodeBreaK100におけるNSCLCの結果を、米国・MDアンダーソンがんセンターのD. S. Hong氏が発表した。 ・対象:既治療の局所進行または転移を有するKRAS p.G12C変異陽性固形腫瘍患者 ・試験薬:sotorasibを進行または忍容できない有害事象が発現するまで投与(コホート1:180mg、2:360mg、3:720mg、4:960mg)

COVID-19へのアビガン第III相試験、有意な改善効果を確認/富士フイルム富山化学

 9月23日、富士フイルム富山化学は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者を対象とした抗インフルエンザウイルス薬ファビピラビル(商品名:アビガン)における第III相試験で主要評価項目を達成したと発表した。今後、詳細なデータ解析を進めるとともに、10月中にもファビピラビルの製造販売承認事項一部変更承認申請を行う予定だという。  今回の発表は、今年3月から行われていた第III相試験の解析結果を受けたもの。COVID-19患者を対象とした本試験は156例をファビピラビル群とプラセボ群に無作為に割り付け、主要評価項目としてCOVID-19の症状の軽快かつウイルスの陰性化までの時間を見た。

COVID-19関連肺炎へのアクテムラ、第III相試験で主要評価項目達成/ロシュ

 ロシュ社(スイス)は9月18日、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体アクテムラ(一般名:トシリズマブ)について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連肺炎における有効性を評価する第III相EMPACTA試験で主要評価項目を達成したことを発表した。  EMPACTA試験は、新型コロナウイス(SARS-CoV-2)感染が確認され、SpO2<94%で、非侵襲的または侵襲的な機械的換気を必要としない、18歳以上の入院患者が対象。米国、南アフリカ、ケニア、ブラジル、メキシコ、ペルーから389例が登録された。

EGFR変異肺がんへのオシメルチニブのアジュバント、CNS含む再発を有意に減少(ADAURA)/ESMO2020

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)へのオシメルチニブの術後療法については、第III相ADAURA試験の結果が本年の米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2020 Virtual Scientific Program)で発表され、主要評価項目である無病生存期間(DFS)についてはオシメルチニブ群の有意な改善が報告されていた(HR:0.17、95%CI:0.12~0.23、p<0.0001)。今回の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、国立がん研究センター東病院の坪井 正博氏が同試験の再発に関するデータを発表した。

経口可逆的DPP-1阻害薬brensocatibが気管支拡張症の増悪を抑制/NEJM

 気管支拡張症患者において、brensocatib投与による好中球セリンプロテアーゼ活性の低下は気管支拡張症の臨床アウトカムを改善することが、英国・Ninewells Hospital and Medical SchoolのJames D. Chalmers氏らが行った、投与期間24週の第II相無作為化プラセボ対照用量範囲試験で示された。気管支拡張症患者は、好中球性炎症に関連すると考えられる増悪を頻繁に起こす。好中球エラスターゼなどの好中球セリンプロテアーゼの活性と数量は、ベースラインで気管支拡張症患者の喀痰中で増加し、さらに増悪によって増大することが知られる。brensocatib(INS1007)は、開発中の経口可逆的ジペプチジルペプチダーゼ1(DPP-1)阻害薬で、DPP-1は好中球セリンプロテアーゼの活性に関与する酵素である。NEJM誌オンライン版2020年9月7日号掲載の報告。

高齢入院患者のせん妄予防に対する薬理学的介入~メタ解析

 入院中の高齢患者に対するせん妄予防への薬理学的介入の効果について、スペイン・Canarian Foundation Institute of Health Research of Canary IslandsのBeatriz Leon-Salas氏らがメタ解析を実施し、包括的な評価を行った。Archives of Gerontology and Geriatrics誌2020年9~10月号の報告。  2019年3月までに公表された、65歳以上の入院患者を対象としたランダム化比較試験を、MEDLINE、EMBASE、WOS、Cochrane Central Register of Controlled Trialsの電子データベースよりシステマティックに検索した。事前に定義した基準を用いて研究を抽出し、それらの方法論的な質を評価した。

バリシチニブ、レムデシビルと併用でCOVID-19回復期間を有意に短縮/米・リリー

 米国のイーライリリー・アンド・カンパニーは9月14日、同社の成人関節リウマチ治療薬バリシチニブとレムデシビル(ギリアド・サイエンシズ、商品名:ベクルリー点滴静注液)の併用により、COVID-19の入院患者の回復期間が、レムデシビル単独と比べ中央値で約1日短縮されたと発表した。これは、米国・国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の主導で5月8日から始まったCOVID-19に対するアダプティブデザイン試験(ACTT-2試験)から得られた最初のデータとなる。  ACTT-2試験は、COVID-19の入院患者1,000例超を組み入れ、バリシチニブ4mg 1日1回とレムデシビルの併用療法の有効性および安全性をレムデシビル単独療法と比較評価するもので、主要評価項目は回復までの期間短縮。本試験では、投与開始から29日時点で退院するのに十分な健康状態である(入院中でも酸素投与や継続した治療が不要、もしくは29日時点で退院している)ことを回復の定義とした。

大手術時の術中換気、低容量vs.従来換気量/JAMA

 大手術を受ける成人患者において、術中の低容量換気(low-tidal-volume ventilation)は従来の1回換気量と比較し、同一の呼気終末陽圧(PEEP)下では、術後7日以内の肺合併症の有意な減少は認められなかった。オーストラリア・オースティン病院のDharshi Karalapillai氏らが、単施設での評価者盲検無作為化臨床試験の結果を報告した。手術中の人工換気は旧来、超生理学的1回換気量が適用されてきたが、低容量換気に比べ有害で術後合併症を引き起こす懸念が高まっている。しかし、手術中に人工呼吸器を使用する患者における理想的な1回換気量は不明であった。JAMA誌2020年9月1日号掲載の報告。

唾液を用いたCOVID-19の検査の注意点/4学会合同ワーキンググループ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査では、鼻咽頭などからのぬぐい液からのPCR検査、抗原検査が行われているが、検体採取者に感染のリスクを伴うこと、個人防護具やスワブを消費することなど、感染対策においてのデメリットが指摘されてきた。  本年6月に唾液検体を保険適用とする厚生労働省の通知がなされ、また、7月にはPCR検査および抗原定量検査について、唾液検体を用いた検査の対象を無症状者(空港検疫の対象者、濃厚接触者など)にも拡大する方針を示したことにより唾液による検査の増加は今後、増えるものと予想されている。

EGFR変異陽性肺がんアファチニブ→オシメルチニブのシークエンシャル最終解析(GioTag)/ベーリンガー

 ベーリンガーインゲルハイムは、2020年9月2日、GioTagアップデート研究の最終解析結果を発表した。同研究は、T790M変異を有するEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんにおいて、アファチニブの初回治療後にオシメルチニブを投与する治療法を評価したリアルワールド、レトロスペクティブ観察研究。 結果、解析患者203例におけるアファチニブからオシメルチニブへのシークエンシャル治療の全生存期間(OS)中央値は37.6ヵ月、治療成功期間(TTF)は27.7ヵ月に達した。