呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:193

手洗い・マスク着用、一般市民は何割が実施?/感染症に関する意識・実態調査

 日本感染症学会(理事長:舘田 一博)と日本環境感染学会(理事長:吉田 正樹)は、感染症予防連携プロジェクト「FUSEGU2020」の活動として「感染症に関する意識・実態調査」と題し、首都圏に住む20~60代の男女1,000名を対象としたアンケート調査を実施。その結果、感染症予防の基本対策(手洗い、マスクの使用、手の消毒)を多くの人が実施し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を機にほかの感染症に対する関心が高まった人が6割以上に上ることが明らかとなった。

COVID-19と精神疾患、相互に発症リスク高める

 COVID-19患者において精神疾患の後遺症リスクが高く、また精神疾患がCOVID-19の独立したリスク因子である可能性が、英国・オックスフォード大学のMaxime Taquet氏らによる電子健康記録ネットワークコホート研究で示唆された。Lancet Psychiatry誌オンライン版2020年11月9日号に掲載。  本研究は、米国の54施設の患者6,980万人の電子健康記録から匿名化データを収集しているTriNetX Analytics Networkを使用した。TriNetXには2020年1月20日~8月1日にCOVID-19と診断された6万2,354人のデータが含まれ、COVID-19および他のさまざまなイベントを発症した患者コホートを作成し評価した。傾向スコアマッチングを用いて、COVID-19のリスク因子による交絡と重症度を調整した。COVID-19診断後14〜90日における精神疾患、認知症、不眠症の発症率とハザード比(HR)を調べた。

新型コロナ、マスク着用率95%で米国死者数は3分の1に?

 米国では、2020年2月初旬に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による初の死亡者が記録されて以来、9月21日までの累計死者数は19万9,213人と報告されている。そんななか、米国ではマスクの着用について今でも論争の的となっており、米国居住者で“常に”公共の場でマスクを着用しているのはわずか49%である。州レベルで見ると、バージニア州、フロリダ州、カリフォルニア州での着用率は60%超の状況である。このように人口全体でのマスク着用率95%の達成および維持は高い閾値のように見えるが、ニューヨーク州のように達成している地域もある。

がん治療の進歩で注意すべき心血管リスクとその対策/日本医療薬学会

 近年、腫瘍循環器学という新しい概念が提唱されている。10月24日~11月1日にWeb開催された第30回日本医療薬学会総会のシンポジウム「腫瘍循環器(Onco-Cardiology)学を学ぼう~タスクシェア・シフト時代にマネジメントする薬剤師力の発揮~」において、腫瘍循環器領域の第一人者である向井 幹夫氏(大阪国際がんセンター成人病ドック科主任部長)が「腫瘍循環器学とは?臨床現場で薬剤師に求めること」と題し、腫瘍循環器学における新たな視点について語った。

がん治療は4週遅れるごとに死亡率が高まる/BMJ

 がん治療が4週間遅れるだけで、手術、全身療法、放射線療法の適応となる7つのがんで全体の死亡率が上昇する。カナダ・クイーンズ大学のTimothy P. Hanna氏らが、がん治療の遅延と死亡率上昇との関連を定量化する目的で実施したシステマティックレビューとメタ解析の結果を報告した。がん治療の遅れは転帰に悪影響を及ぼす可能性があるが、その影響の標準推定値はなく、これまでのメタ解析で治療の遅れと死亡/局所管理との関連が示されていたものの、各報告のばらつきが大きくメタ解析に限界があった。著者は、「世界的にがん治療の遅れは医療制度に問題がある。がん治療開始の遅れを最小限にするシステムに焦点を当てた政策が、集団レベルでの生存転帰を改善できるであろう」とまとめている。BMJ誌2020年11月4日号掲載の報告。

COVID-19へのヒドロキシクロロキン投与、効果を認めず/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による呼吸器症状を伴う入院患者において、ヒドロキシクロロキンを用いた治療はプラセボと比較して、14日時点の臨床状態を有意に改善しなかった。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのWesley H. Self氏らが、米国内34病院で行った多施設共同プラセボ対照無作為化盲検試験の結果を報告した。ヒドロキシクロロキンはCOVID-19治療に効果的なのか、そのデータが求められている中で示された今回の結果について著者は、「COVID-19入院成人患者の治療について、ヒドロキシクロロキンの使用を支持しないものであった」とまとめている。JAMA誌2020年11月9日号掲載の報告。

nabパクリタキセルは既治療のNSCLCの標準治療となるか、ドセタキセルとの比較(J-AXEL)/日本肺癌学会

 九州大学・米嶋 泰忠氏が、既治療の非小細胞肺がん(NSCLC)におけるドセタキセル単剤に対するnabパクリタキセルの効果と安全性を検証したJ-AXEL試験の結果を第61回日本肺癌学会学術集会にて発表した。J-AXEL試験はわが国の8つの臨床試験グループが参加した無作為比較第III相である。 対象:既治療(2レジメン以内)の進行NSCLC患者 試験群:nabパクリタキセル(n-PTX) 対照群:ドセタキセル(DTX) 評価項目: [主要評価項目]全生存期間(OS)非劣性検証 [副次評価項目]無造悪生存期間(PFS)、全奏効割合(ORR)、安全性、QOLなど

COVID-19の血栓症発生率、他のウイルス性肺炎の3倍

 血栓症は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の際立った特徴だが、COVID-19以外のウイルス性呼吸器疾患による血栓症の発生率は不明である。今回、米国・ニューヨーク大学のNathaniel R. Smilowitz氏らが、米国でCOVID-19以外の急性ウイルス性呼吸器疾患で入院した患者における血栓症の発生率を調べた結果、2020年にニューヨークにおいてCOVID-19で入院した3,334例での血栓症発生率より有意に低かった。American Heart Journal誌オンライン版2020年11月9日号に掲載。  本調査の対象は、2002~14年にCOVID-19以外のウイルス性呼吸器疾患で入院した18歳以上の成人で、主要アウトカムは、ICD-9による心筋梗塞(MI)、急性虚血性脳卒中、静脈血栓塞栓症(VTE)などの静脈および動脈血栓イベントの複合とした。

AZ社の新型コロナワクチン有効率最大90%、貯蔵はより容易か/第II/III相試験中間解析

 アストラゼネカ社は、COVID-19に対するウイルスベクターワクチンAZD1222の第II/III相および第III相試験の中間分析の結果、最大90%の有効率が示されたことを11月23日に発表した。2つの異なる投与レジメンで有効性が示され、平均70%の有効率が示されている。条件付きまたは早期承認のためのデータを世界各国の規制当局に提出し、承認取得次第、2021年に最大30億回分のワクチンを製造できるよう準備を進めているという。  AZD1222は、SARS-CoV-2ウイルススパイクタンパク質の遺伝物質を含む、複製欠損および弱毒化されたチンパンジー由来の風邪アデノウイルスを用いて作製される。ワクチン接種後スパイクタンパク質が生成され、感染した場合に免疫系を刺激し、SARS-CoV-2ウイルスを攻撃する。

乾癬患者における、COVID-19の重症化因子は?

 COVID-19への決定的な対策はいまだ見いだされていないが、入院・重症化リスクを捉えることで死亡を抑え込もうという世界的な努力が続いている。本稿では、乾癬患者のCOVID-19に関する国際レジストリ「PsoProtect」へ寄せられた25ヵ国からの臨床報告に基づき、英国・Guy's and St Thomas' NHS Foundation TrustのSatveer K. Mahil氏らが乾癬患者の入院・重症化リスクを解析。「高齢」「男性」「非白人種」「併存疾患」がリスク因子であることを明らかにした。また、乾癬患者は複数の疾患負荷と全身性の免疫抑制薬の使用によってCOVID-19の有害アウトカムのリスクが高まる可能性があるとされているが、これまでデータは限定的であった。今回、著者らは「生物学的製剤の使用者は、非使用者と比べて入院リスクが低かった」とも報告している。Journal of Allergy and Clinical Immunology誌オンライン版2020年10月16日号掲載の報告。