呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:159

新型コロナ治療に中和抗体カクテル療法を承認申請/中外

 中外製薬は6月29日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療のためのcasirivimabおよびimdevimabの抗体カクテル療法について、国内における製造販売の承認申請を行ったことを発表した。COVID-19患者を対象とした海外臨床第III相試験(REGN-COV 2067)の成績と、日本人における安全性・忍容性、薬物動態の評価を目的とした国内第I相臨床試験の成績に基づき、厚生労働省に特例承認の適用を求めた。  本抗体カクテル療法は、SARS-CoV-2に対する2種類のウイルス中和抗体(casirivimab+imdevimab)を組み合わせ、COVID-19に対する治療および予防を目的として、米国・リジェネロン社などが開発したもの。

トファシチニブ、COVID-19肺炎入院患者の予後を改善/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による肺炎で入院した患者の治療において、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬トファシチニブはプラセボと比較して、28日以内の死亡または呼吸不全のリスクを抑制し、安全性に大きな差はないことが、ブラジル・Hospital Israelita Albert EinsteinのPatricia O. Guimaraes氏らが実施した「STOP-COVID試験」で示された。NEJM誌オンライン版2021年6月16日号掲載の報告。  研究グループは、COVID-19肺炎入院患者の治療におけるトファシチニブの有効性と安全性を評価する目的で、二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験を行った(Pfizerの助成による)。本試験では、2020年9月16日~12月13日の期間に、ブラジルの15施設で患者登録が行われた。

EGFR exon20挿入変異肺がんに対するDZD9008の可能性/ASCO2021

 EGFR exon20挿入変異(exon20ins)変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対するEGFR阻害薬DZD9008の第I相試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、台湾大学のJames Chin-Hsin Yang氏から報告された。  EGFR exon20insはNSCLCの2%以下だが、これまでもいくつかの研究が行われている。本報告は、国際共同の2つの第I相試験を合算した中間解析結果である。 ・対象:EGFRまたはHER2 exon 20insを有する既治療の進行NSCLC ・介入:用量漸増コホートでは、DZD9008 50mg/100mg/200mg/300mg/400mg/日を投与、用量拡大コホートでは200mgと300mg/日を投与 ・評価項目: [主要評価項目]安全性、忍容性 [副次的評価項目]体内薬物動態、全奏効率(ORR)、奏効期間(DoR)、病勢制御率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)

COVID-19入院患者へのトシリズマブを緊急使用許可/FDA

 中外製薬は6月25日、同社創製の関節リウマチ治療薬トシリズマブ(商品名:アクテムラ)について、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として米国食品医薬品局(FDA)が緊急使用を許可したと発表した。コルチコステロイドの全身投与を受けており、酸素補給、非侵襲的もしくは侵襲的な人工呼吸、またはECMOが必要な入院中の成人および2歳以上小児がその対象となる。  今回の緊急使用許可は、4つのランダム化比較試験におけるCOVID-19入院患者、計5,500例超の成績に基づいており、酸素補給または呼吸補助を必要とするコルチコステロイド投与中の患者の転帰を改善する可能性があることが示唆された。

ALK陽性肺がんにおけるct-DNAのバイオマーカーとしての可能性(CROWN)/ASCO2021

 未治療のALK陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)における第3世代ALK‐TKIロルラチニブの第III相CROWN試験。バイオマーカーとしての血中腫瘍DNA(ct-DNA)の追加解析がASCO2021で発表され、早期のct-DNAの変化がロルラチニブの効果予測と関係する可能性が示された。 CROWN試験・対象:StageIIIB/IVの未治療のALK陽性肺がん(無症状のCNS転移は許容)・試験群:ロルラチニブ(100mg/日)・対照群:クリゾチニブ(250mgx2/日)・評価項目:[主要評価項目]盲検化独立中央評価委員会(BICR)による無増悪生存期間(PFS) [副次評価項目]治験実施医によるPFS、BICR評価の奏効率(OR)、BICR評価の脳内奏効率(IC-OR)、BICR評価の奏効期間(DoR)、BICR評価の脳内奏効期間(IC-DR)、全生存期間(OS)、安全性、ct‐DNAバイオマーカー

新型コロナ感染者の7割が症状持続:系統的レビュー

 COVID-19で長期持続する症状の頻度や種類、重症度についてはまだよくわかっていない。米国・スタンフォード大学のTahmina Nasserie氏らは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後の持続的な症状の頻度と多様性を調べた研究の系統的レビューを実施した結果、COVID-19の症状は一般的に感染急性期が過ぎても持続し、健康関連機能とQOLに影響を与えることがわかった。少なくとも1つの持続的な症状を経験している患者の割合は72.5%(中央値)であった。JAMA Network Open誌2021年5月26日号に掲載。

新型コロナのα株、30代から重症化リスク増/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のB.1.1.7変異株(α株[英国株]としても知られる)の感染者は、SARS-CoV-2野生株感染者と比較して、入院リスクが高く、症状もより重症となる可能性が高いことが示唆された。さらに、重症化は30歳以上に特異的な可能性も示されたという。英国・ケンブリッジ大学のTommy Nyberg氏らが、後ろ向きコホート研究の結果を報告した。B.1.1.7変異株は、2020年11月に英国で発見され、野生株よりも感染力が高いため、その後は優勢な系統となった。これまで、B.1.1.7変異株は重症化しやすいことを示唆するエビデンスはあったが、死亡率との相関を示した報告は交絡因子により研究の限界があったと考えられる。BMJ誌2021年6月15日号掲載の報告。

オシメルチニブ耐性NSCLCに対するamivantamab+lazertinibのレスポンダーを同定(CHRYSALIS)/ASCO2021

 オシメルチニブ耐性となったEGFR変異陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、EGFとMET受容体の二重特異性抗体amivantamabと第3世代EGFR-TKI lazertinibの併用投与が有望であるという発表が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2021 ASCO Annual Meeting)において、韓国Yonsei Cancer CenterのByoung Chul Cho氏よりなされた。  本試験(CHRYSALIS試験)は国際共同の第I相試験で、今回の発表は推奨用量決定後の拡大コホート部分の解析結果である。

コロナワクチンで注目される有害事象、ワクチンなしでの発生率は?/BMJ

 新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン関連の、とくに注目される15種の有害事象(AESI)のバックグラウンド発生率を8ヵ国のデータベースを基に調べたところ、年齢や性別によりばらつきがあることが、英国・オックスフォード大学のXintong Li氏らによる検討で明らかにされた。データベース間でも差が認められたという。ワクチン有害事象のバックグラウンド率は、ワクチン接種者の間で観察された割合のベースラインコンパレータとして機能することで、ワクチンの安全性を監視するうえで歴史的に重要な役割を果たしているが、研究結果を踏まえて著者は、「バックグラウンド率をサーベイランス目的で用いる場合は、同一のデータベースを使い比較する必要性が示唆された。事前に年齢や性別による差を考慮し、階層化や標準化が必要だ」と述べている。BMJ誌2021年6月14日号掲載の報告。