放射線科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:21

放射線照射後における白髪化誘導の最初のターゲットとなるものは?

電離放射線照射後の白髪化誘導の最初のターゲットは、色素幹細胞ではなくケラチノサイト幹細胞であると報告された。岐阜大学の青木仁美氏らによる報告。  放射線に誘発される白髪は、毛包のバルジ領域のニッシェ(微小環境)における色素幹細胞の異所性分化によって引き起こされる。バルジ領域のケラチノサイト幹細胞はニッシェを形成する重要な要素であるが、放射線誘発白髪に関して、色素幹細胞の分化とケラチノサイト幹細胞のニッシェとの関連についてはこれまで十分に解明されていなかった。The Journal of investigative dermatology誌オンライン版2013年4月2日掲載報告。

乳がんの放射線療法、その後の虚血性心疾患を増大/NEJM

 乳がんの放射線療法は、虚血性心疾患を増大することが、英国・オックスフォード大学のSarah C. Darby氏らによる住民ベースの症例対照研究の結果、報告された。疾患増大は平均照射線量に比例しており、照射曝露後数年以内に増大し始め20年以上続くこと、もともと心臓リスク因子を有する女性の絶対リスクが大きいことも明らかになった。乳がんの放射線療法では、心臓への偶発的な電離放射線曝露の頻度が高い。しかし、曝露による心臓への影響、その後の虚血性心疾患リスクについては確認されていなかった。NEJM誌2013年3月14日号掲載の報告。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(70)〕 偶発的な心臓への照射はその後の冠動脈イベント発生リスクを増加させる

心臓(冠動脈)への照射が動脈硬化を進展させることは知られているが、実際に乳がんに対する放射線療法における電離放射線の心臓への偶発的被爆が、その後の虚血性心疾患のリスクに与える影響は不明である。本試験では2,168例の乳がんに対して放射線治療を受けた患者を対象に、その後重大な冠動脈イベント(心筋梗塞、冠血行再建、虚血性心疾患による死亡)の発生率が上昇したか否かを検討したものである。

大腸3D-CT検査(CTC)vs. バリウム注腸、CTCのほうが感度が高い:SIGGAR/Lancet

 大腸がんの診断法としての大腸3D-CT検査(CT Colonography:CTC)について、バリウム注腸造影検査よりも、がん病変や≧10mmポリープの検出能が有意に高いことが、英国・University College LondonのSteve Halligan氏らによる多施設共同無作為化試験SIGGARの結果、報告された。バリウム注腸は大腸がんの診断で広く用いられているが、診断精度や被検者の受容性に対する懸念が示されている。CTCはバリウム注腸と比べると新しい大腸X線検査法で、検出能の感度が高いと考えられ、患者も好むことが試験によって示されているが、これまでCTCをバリウム注腸に代わる診断法とすべきかについて保健政策に反映するような無作為化試験は行われていなかったという。Lancet誌オンライン版2013年2月14日号掲載より。

前立腺全摘除術vs. 放射線療法、15年後の機能的アウトカムは有意差なし/NEJM

 限局性前立腺がんで前立腺全摘除術を受けた患者と放射線療法を受けた患者の機能的アウトカムについて、15年の長期にわたる追跡の結果、両群で有意な差はみられなかったことが示された。米国・ヴァンダービルト大学のMatthew J. Resnick氏らが、Prostate Cancer Outcomes Study(PCOS)の被験者データを解析した結果で、NEJM誌2013年1月31日号で発表した。

静注ブスルファンと全身放射線照射との造血幹細胞移植後の全生存率の比較の報告が“Best Abstracts”に選出される【2013 BMT Tandem Meetings】

 BMT Tandem Meetings(米国造血細胞移植学会/国際骨髄移植研究センター 合同学術集会)において、造血幹細胞移植前治療としての静注ブスルファンと全身放射線照射(TBI)の骨髄破壊的レジメンを比較した試験の結果が、オタワ大学(カナダ)のChristopher Bredeson氏により報告された。この試験は、本学会の全553演題の中から最も優れた6題を表彰する“Best Abstracts”セッションにおいて、15日に米国ユタ州ソルトレイク市で発表された。

前立腺がんに対する術後放射線療法の長期結果:EORTC trial 22911/Lancet

 前立腺がんに対する根治的前立腺全摘術後の放射線療法により、10年後の生化学的無増悪生存が経過観察よりも改善したが、有害事象の発現率が高く、70歳以上では死亡率が有意に上昇したことが、フランス・A Michallon大学病院のMichel Bolla氏らが実施したEORTC trial 22911の長期追跡の結果から明らかとなった。前立腺がんは前立腺被膜を超えて進展したり、精嚢浸潤がみられる場合(pT3)は局所再発リスクが10~50%と報告されている。本試験の5年の追跡結果では、術後放射線療法により生化学的および臨床的な無増悪生存がいずれも有意に改善することが示されている。Lancet誌2012年12月8日号(オンライン版2012年10月19日号)掲載の報告。

冠動脈CT血管造影、よりリアルな画像を提供する診断精度の評価は?/BMJ

 診断検査法の評価において、診断精度研究やプールメタ解析は重大なステップである。しかし診断精度研究において、評価不能の結果を扱うべきかどうかや、共通のアプローチで診断精度が過剰なのかどうかを評価するかのかについてコンセンサスは得られていない。そうした中でドイツ・ベルリン自由大学のGeorg M Schuetz氏らは、冠動脈CT血管造影の診断パフォーマンスのメタ解析的評価を行い、3×2分割表による評価が従来の2×2分割表による評価よりも優れているかを検討した。その結果、評価不能の結果をどう扱うべきかコンセンサスをみいだすことはできなかったが、評価不能の結果を含める場合は、3×2分割表を適用するほうがよりリアルな画像を提供可能であったと報告している。BMJ誌2012年11月3日号(オンライン版2012年10月24日号)掲載より。

早期乳がんの乳房温存手術後に放射線療法を受けていない女性の要因とは?

 Stage I乳がんに対して、いくつかの無作為化試験で、乳房切除術による生存率と放射線療法を伴う乳房温存手術による生存率に差がないことが示されている。乳房温存手術においては、局所再発率と死亡率減少のために放射線療法の施行が推奨されている。  今回、米国のShayna L. Showalter氏らがStage I乳がんに対する治療の傾向を評価したところ、Stage I乳がんの治療における乳房温存手術は増加していた。また、乳房温存手術後に放射線療法を受けていない患者が一定の割合で存在し、放射線療法を受けないことが死亡率の増加に関連していた。