精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:204

性機能に対するボルチオキセチンの影響~ランダム化比較試験

 性機能障害はうつ病患者においてよくみられるが、抗うつ薬の一般的な副作用として認められるtreatment-emergent sexual dysfunction(治療に起因する性機能障害)の評価は、一部の患者において抑うつ症状の治療と混同される可能性がある。米国・Takeda Development Center AmericasのPaula Jacobsen氏らは、ボルチオキセチンの性機能に対する影響を評価するため、健康なボランティアを対象に、性機能障害を誘発することが知られているパロキセチンおよびプラセボとの比較を行った。The Journal of Sexual Medicine誌2019年10月号の報告。

がん患者の心身緊張感とトリガーポイント/日本サイコオンコロジー学会

 患者が訴える痛み-これを医療者が少しでも受け止め間違えると、鎮痛はうまくいかない。2019年10月11~12日、第32回日本サイコオンコロジー学会総会が開催。セミナー2「医療者が共感しにくい患者の背景に何があるのか?」において、蓮尾 英明氏(関西医科大学心療内科学講座)が「葛藤の中で生じるー症状としての心身症」について講演し、痛みを抱える患者の背景に迫った。  客観的に見たらとても痛そうにしているのに、問いかけると「痛みは…大丈夫です」と答える患者に遭遇したことはないだろうか? このような患者にこそ、実は本当の気持ち(甘えたい、辛さを共有してもらいたい…)を話したい、という感情が潜んでいることがある。

双極性障害に対する抗うつ薬使用の有効性および安全性評価

 双極性うつ病に対する抗うつ薬の使用は、精神薬理学の中で最も議論の余地がある問題の1つである。抗うつ薬は、双極性うつ病の一部の患者において有用ではあるが、それ以外の患者に対しては使用すべきではないと考えられる。この問題に関して、ブラジル・リオデジャネイロ連邦大学のElie Cheniaux氏らがレビューを行った。Expert Opinion on Drug Safety誌2019年10月号の報告。  本レビューでは、双極性うつ病に対する抗うつ薬使用について、公表されている臨床試験を検討し、その臨床的有効性、副作用発現率、躁転、サイクル加速、自殺行動の評価を行った。メタ解析およびレビュー記事についても検討を行った。

PTSDに対するVR療法の有効性~メタ解析

 心的外傷後ストレス障害(PTSD)に対する仮想現実を用いた治療(virtual reality exposure therapy:VRET)は、注目すべき新たな治療法であるが、その有効性および安全性は明らかになっていない。中国・安徽医科大学のWenrui Deng氏らは、PTSD患者に対するVRETの有効性を調査し、関連する潜在的な調整因子を特定するため、システマティック・レビュー、メタ解析を行った。Journal of Affective Disorders誌2019年10月1日号の報告。

せん妄経験と退院後の認知症発症との関連

 高齢者の急性疾患におけるせん妄発症は、退院後の認知症発症と関連があるかについて、ブラジル・サンパウロ大学のFlavia Barreto Garcez氏らが調査を行った。Age and Ageing誌オンライン版2019年9月30日号の報告。  2010~16年に3次医療の大学病院老年病棟に連続的に入院した60歳以上の急性疾患高齢者を対象に調査を行った。包括基準は、入院時のベースライン認知機能に低下が認められず、退院後12ヵ月間の臨床的フォローアップを実施した患者とした。すべての患者について標準化された包括的な高齢者評価結果を含む入院データは、ローカルデータベースより収集した。事前の認知機能低下は、病歴、CDR、IQCODE-16に基づき特定した。せん妄の評価には、簡易版CAMを用い、退院後12ヵ月後の認知症発症は、医療記録のレビューに基づいて特定した。せん妄と退院後の認知症発症との関連は、競合リスク比例ハザードモデルを用いて評価した。

急性期統合失調症患者に対するブレクスピプラゾール切り替え療法

 他の抗精神病薬からブレクスピプラゾールへの切り替え時のクロスタイトレーションスケジュールの忍容性および有効性を評価するため、米国・ザッカーヒルサイド病院のChristoph U. Correll氏らは、ブレクスピプラゾール試験のデータを用いて比較検討を行った。CNS Spectrums誌2019年10月号の報告。  対象の統合失調症患者は、1~4週間の非盲検期間中に、他の抗精神病薬からブレクスピプラゾールへクロスタイトレーションされ、その後、単盲検ブレクスピプラゾール治療試験に移行した。切り替え期間に応じて、対象患者を4群に分類した。中止率、治療により発生した有害事象(TEAE)、効果(PANSS)について、群間比較を行った。

アルツハイマー病の症状を抑制する初の薬剤となるか~aducanumab第III相試験の新たな解析結果

 バイオジェンとエーザイは2019年10月22日、早期アルツハイマー病(AD)患者に対する第III相試験において無益性解析に基づき中止となったaducanumabについて、中止後に新たに利用可能となったデータを追加し解析した結果から、米国食品医薬品局(FDA)との協議に基づいて、2020年に承認申請を予定していることを発表した。aducanumabが承認された場合、早期アルツハイマー病の臨床症状悪化を抑制する最初の治療薬となるとともに、アミロイドベータ(Aβ)の除去が臨床上のベネフィットをもたらすことを実証する世界初の薬剤となるという。

魚類や多価不飽和脂肪酸摂取と産後うつ病リスク~JECS縦断研究

 妊婦は、胎児の成長に必要なn-3多価不飽和脂肪酸(PUFA)のレベルを高める必要がある。母親の魚類やn-3 PUFAの摂取が、産後うつ病リスクを低下させることを示唆するエビデンスが報告されているが、その結果に一貫性はない。富山大学の浜崎 景氏らは、日本人女性における妊娠中の魚類やn-3 PUFAの摂取と産後うつ病リスクとの関連について調査を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2019年9月19日号の報告。  日本人集団において、出産後6ヵ月までの母親の産後うつ病リスクおよび1年間の重篤な精神疾患リスクの低下に、妊娠中の魚類やn-3 PUFAの食事での摂取が関連しているかについて調査を行った。JECS(子どもの健康と環境に関する全国調査)の10万3,062件のデータより除外と重複処理を行った後、出産後6ヵ月は8万4,181人、1年間は8万1,924人について評価を行った。リスク低下の評価には、多変量ロジスティック回帰および傾向テストを用いた。

統合失調症の治療反応とグルタミン酸およびGABAレベルとの関連

 ドパミン作動性抗精神病薬に対する治療反応不良は、精神疾患の治療における大きな課題であり、初発時に治療反応不良患者を特定するマーカーが求められている。これまでの研究で、初発時の治療反応不良患者では治療反応患者と比較し、グルタミン酸(Glu)およびγ-アミノ酪酸(GABA)レベルが増加していることがわかっている。しかし、健康対照群の参照レベルを用いて、治療反応不良患者を特定できるかはよくわかっておらず、デンマーク・コペンハーゲン大学のKirsten B. Bojesen氏らが検討を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2019年9月16日号の報告。

医師の認知症リスク~コホート研究

 より良い医療知識を多く有している医師は、認知症リスクが低いのではないだろうか。この疑問を明らかにするため、台湾・Chi-Mei Medical CenterのLi-Jung Ma氏らが検討を行った。Aging Clinical and Experimental Research誌オンライン版2019年8月19日号の報告。  医師2万9,388人、一般集団5万人、医師以外の医療従事者3万446人を含む、全国規模の人口ベース調査を実施した。2006~12年の病歴を追跡し、3群間および医師のサブグループ間で認知症有病率の比較を行った。