精神科/心療内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:133

痛み止めの使い過ぎによる頭痛の有病率調査~糸魚川研究

 一般的な日本人を対象とした痛み止めの使い過ぎによる頭痛(MOH)の有病率に関する調査は十分に行われていない。新潟・糸魚川総合病院の勝木 将人氏らは、MOHの有病率およびその特徴を明らかにするため、アンケート調査を実施した。また、クラスタリングを実施し、MOHのサブグループ化を行った。Neurological Sciences誌オンライン版2022年1月19日号の報告。  新潟県・糸魚川市において、COVID-19のワクチン接種後の待機時間を利用して15~64歳の住民を横断的に調査した。MOHの定義は、1ヵ月当たり15回以上の頭痛、過去3ヵ月間で1ヵ月当たり10日または15日以上の鎮痛薬の使用とし、自己報告により情報を収集した。ウォード法およびK-means++法を用いて、MOHのクラスタリングを行った。  主な結果は以下のとおり。

認知症患者に対するベンゾジアゼピン、Z薬の使用

 世界中のガイドラインにおいて、認知症のBPSDや不眠の治療に対し、ベンゾジアゼピンやZ薬などのベンゾジアゼピン受容体アゴニスト(BZRA)の使用が制限下で推奨されている。オランダ・Center for Specialized Geriatric CareのDirk O. C. Rijksen氏らは、認知症ナーシングホームの入居者に対するBZRAの使用率と適切性についての評価を行った。Journal of Alzheimer's Disease Reports誌2021年12月9日号の報告。  2016~18年に実施した向精神薬使用に関する2つの介入研究より、BZRA使用に関して事後分析を実施した。対象は、24のオランダ介護組織の認知症特別ケアユニットに入居している患者1,111例。継続的および頓服のBZRAの使用率と患者の症状との関連を評価した。継続的なBZRA使用の適切性(適応症、投与量、投与期間、認知症や睡眠障害の治療ガイドラインに準じた評価)について評価した。  主な結果は以下のとおり。

マルモと認知症(解説:岡村毅氏)

医学界は常に移ろいでいる。社会は高齢化し、重視するものが根治から生活の質へと変わり、プライマリケアの存在感がじわじわと向上している。そのなかで近年注目されてきたのがマルチモビディティ(多疾患併存)である。通常は2つ以上の慢性疾患を持つことを指す。ちなみに「マルモ」などと呼ばれることもあるとかないとか。マルチモビディティを持つ「高齢者」が認知症になりやすいという報告はある。では、若いころのマルチモビディティも認知症のリスク因子であるのでは、と考えるのは自然だ。そうすると長い歴史のあるコホートを戦略的に持っている英国が断然有利だ。あらゆる仮説を、時代をさかのぼってある程度検証できるのだから。ジェームズ・ボンドの国だけあって情報戦に強い、ということか。

双極性障害の睡眠に対する心理的および行動的介入

 睡眠や概日リズムの乱れは、双極性障害患者にみられる顕著な症状であり、潜在的な補助的介入の標的となりうる。英国・オックスフォード大学のLampros Bisdounis氏らは、双極性障害患者の睡眠や概日リズムに対する心理学的および行動学的介入の有効性を評価するため、ランダム化比較試験のレビューを行った。Neuroscience and Biobehavioral Reviews誌2022年1月号の報告。  包括基準を満たした19研究を、必要に応じてナラティブ統合およびメタ解析によりサマライズした。  主な結果は以下のとおり。

統合失調症の再発に影響を及ぼす要因

 統合失調症は再発率が高い疾患である。再発は、患者だけでなくその家族にとっても大きな影響を及ぼすが、生物心理社会学的および精神医学的要因を見直すことで、改善する可能性がある。統合失調症の再発に影響を及ぼす潜在的なリスク因子を明らかにすることは、医師、患者およびその家族の意識を向上させるために役立つと考えられる。医師は、患者を診察し、マネジメントや教育を行い、再発を抑制することが求められる。インドネシア・エアランガ大学のMargarita M. Maramis氏らは、統合失調症患者の再発発生に影響を及ぼす生物心理社会学的および精神医学的要因について、分析を行った。International Journal of Social Psychiatry誌オンライン版2021年12月28日号の報告。  インドネシア・東ジャワの3施設Soetomo Academic Hospital Surabaya(33.2%)、Menur Hospital Surabaya(32.7%)、Radjiman Wediodiningrat Mental Hospital Lawang(34.1%)より統合失調症患者226例を対象とし、横断的観察分析研究を実施した。生物心理社会学的および精神医学的要因を含む33因子のデータを収集し、二変量および多変量ロジスティック回帰分析を行った。

双極性障害患者の睡眠評価~主観的および客観的アプローチの比較

 双極性障害患者では、睡眠障害が頻繁に認められる。そのため、双極性障害患者の睡眠を正確に評価することは重要である。双極性障害患者の睡眠を評価するうえで、睡眠日誌や質問票などの主観的な睡眠評価ツールが用いられることが多いが、これらのツールがアクチグラフなどの客観的なツールと同程度の精度があるかはよくわかっていない。藤田医科大学の藤田 明里氏らは、双極性障害患者の睡眠を評価するための主観的および客観的ツールについての比較を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2021年12月13日号の報告。

統合失調症に対するベンゾジアゼピン併用の影響

 統合失調症患者に対するベンゾジアゼピンの使用について、未使用、短期使用、長期使用の場合の疾患経過に対する影響を、トルコ・Usak UniversityのOkan Ekinci氏らが、検討を行った。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2022年1月17日号の報告。  2015年1月~2019年1月に精神科病院に入院した統合失調症患者を対象にレトロスペクティブ研究を実施した。患者の臨床経過の特徴について、最初の入院から観察期間終了(24ヵ月)までレトロスペクティブに追跡した。

ペイシェントハラスメントが5年で20%も増!?どんな対策してる?

 身勝手な患者による極悪非道な事件が昨年12月から2件も立て続けに発生したことを受け、CareNet.comでは各施設での患者からの迷惑行為(ペイシェントハラスメント1))対応策についてアンケート調査を実施した。本サイトでは2017年にも同様のアンケートを実施しており、両者の結果を照らし合わせると、なんとこの5年間でペイシェントハラスメントを受けた医師が20%も増加していることがわかった。また、2017年時点でペイシェントハラスメント対応マニュアルやガイドラインを設けている施設は30%超だったが、現在はどうなのだろうか。

中年期女性の血管運動神経症状に関連する不眠症に対するスボレキサントの効果

 神経ペプチドオレキシンは、覚醒促進、温度調節、閉経後に増加、女性に対しエストロゲン療法により正常化することから、血管運動神経症状(VMS)関連の不眠症治療においてオレキシン拮抗作用が重要な役割を果たしていることが示唆されている。米国・ハーバード大学のShadab A. Rahman氏らは、夜間のVMSに関連する慢性不眠症に対するデュアルオレキシン受容体拮抗薬スボレキサントの有効性について評価を行った。Sleep誌オンライン版2022年1月11日号の報告。

片頭痛に対するアルコール、コーヒー、喫煙の影響

 アルコール、コーヒーの摂取および喫煙が片頭痛の発症リスク因子であるかを評価するため、スウェーデン・カロリンスカ研究所のShuai Yuan氏らは、メンデルランダム化研究を実施した。Pain誌2022年2月1日号の報告。  大規模ゲノムワイド関連解析におけるP<5×10-8の潜在的なリスク因子に関連する独立した一塩基多型を操作変数として用いた。選択した一塩基多型と片頭痛との関連についてのサマリーレベルのデータを、FinnGenコンソーシアム(片頭痛患者:6,687例、対照群:14万4,780例)およびUKバイオバンク研究(片頭痛患者:1,072例、対照群:36万122例)のデータより抽出した。FinnGenおよびUKバイオバンクのコホートより得られた推定値は、固定効果メタ解析を用いて組み合わせた。