眼科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:7

脂質低下薬が糖尿病網膜症の進行を抑制する可能性

 脂質低下薬のフェノフィブラートが、糖尿病による目の合併症を抑制することを示唆するデータが報告された。網膜症の進行、それによる治療を要するリスクが、プラセボに比べて27%低下するという。英オックスフォード大学人口保健研究所のDavid Preiss氏らが米国糖尿病学会年次学術集会(ADA2024、6月21~24日、オーランド)で発表するとともに、論文が「NEJM Evidence」に6月21日掲載された。  Preiss氏は、「糖尿病網膜症は依然として視力喪失の主要な原因であり、その進行を抑えるために、広く利用可能なシンプルな戦略を必要としている」と解説。また本研究の結果について、「フェノフィブラートは糖尿病網膜症の患者に対して、有益な追加効果をもたらす可能性があることを示唆している」としている。なお、糖尿病網膜症は、高血糖の持続により眼球の奥の血管がダメージを受けることで発症し、血管から血液成分が漏れ出したりすることによって視野が欠けたり視力が低下して、最終的には失明することもある病気。一方、脂質低下薬であるフェノフィブラートは、糖尿病患者の心血管イベント抑制を主要評価項目として検証した複数の臨床試験で、網膜症を抑制するという副次的な効果を有することが示唆されている。

網膜症は認知症リスクと関連

 福岡県久山町の地域住民を対象とする久山町研究の結果が新たに発表され、網膜症のある人は、網膜症のない人と比べて認知症の発症リスクが高いことが明らかとなった。九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野の二宮利治氏らと同大学眼科分野の園田康平氏らの共同研究グループによる研究成果であり、「Scientific Reports」に5月26日掲載された。  網膜症は糖尿病や高血圧などの特定の原因に限らず、網膜の微小血管瘤、微小血管の出血、滲出などと関連しており、眼底検査で確認することができる。また、網膜と脳は、解剖学や発生学などの観点から類似している。これまでの研究で、網膜の微小血管異常と認知症との関連が示唆されているものの、追跡調査の成績を用いて縦断的にそれらの関係を検討した研究は限られ、その結果は一貫していなかった。

臨床現場で感じる甲状腺眼症診療の課題とは?/アムジェン

 アムジェンは、2024年6月20日に、甲状腺眼症の診療を取り巻く現状や課題をテーマとしたメディアセミナーを開催した。同セミナーでは、渡邊 奈津子氏(伊藤病院 内科部長)が甲状腺眼症の診断や治療について、神前 あい氏(オリンピア眼科病院 副院長)が甲状腺眼症の臨床経過についてそれぞれ語った。  甲状腺眼症はバセドウ病やまれに橋本病に伴ってみられる眼窩組織の自己免疫性炎症性疾患であり、多岐にわたる眼症状を引き起こす。甲状腺は、甲状腺ホルモンを合成・分泌する役割を担っており、正常な状態では下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が甲状腺のTSH受容体と結び付き、適量のホルモンが分泌される。しかし、バセドウ病では、TSH受容体に対する抗体が生成され、常にTSH受容体が刺激されて過剰なホルモンが分泌される。甲状腺眼症は、目の周囲の眼窩におけるTSH受容体が刺激されることで発症する。甲状腺眼症の病態は非常に広範であり、瞼、角膜、結膜、外眼筋、視神経、脂肪組織、涙腺など、さまざまな部位に影響を及ぼす。たとえば、涙腺の炎症によって涙が出にくくなったり、脂肪組織や外眼筋の肥大により眼球が飛び出したりするケースがある。最重症例では、視神経が圧迫されて視力障害や視神経萎縮が起こることもある。一方で、眼の症状については見落とされることがしばしばあり、臨床で問題となることもあるという。

熱中症も白内障リスクを高める可能性~紫外線対策も重要

 今夏も高温の日が続くことが予想されている。紫外線が眼病リスクを高めるという報告はこれまでも多くされてきたが、紫外線だけでなく、環境温度や熱中症の既往も白内障リスクを高める可能性があるという。2024年6月にジョンソン・エンド・ジョンソンが行ったプレスセミナーにおいて、金沢医科大学 眼科学講座 主任教授 佐々木 洋氏が「紫外線と高温環境が目に与える影響と対策」と題した講演を行い、これまで佐々木氏らの研究グループが行った調査データをまとめて報告した。

アレジオン眼瞼クリームは世界初、「塗る」アレルギー性結膜炎治療薬/参天

 参天製薬などは、5月22日、持続性・経眼瞼アレルギー性結膜炎治療剤「アレジオン眼瞼クリーム0.5%」(一般名:エピナスチン塩酸塩、以下アレジオンクリーム)の発売を開始したと発表した。塗布するクリームタイプのアレルギー性結膜炎治療薬は世界初となる。  国内で無症状期のアレルギー性結膜炎患者を対象として行われた第III相試験(プラセボ対照無作為化二重盲検比較試験)では、アレルギー性結膜炎の主症状である眼そう痒感スコアおよび結膜充血スコアにおいて、アレジオンクリームのプラセボ眼瞼クリームに対する優越性が検証された。また、長期投与試験において認められた副作用は眼瞼そう痒症 1.6%(2/124例)および眼瞼紅斑0.8%(1/124例)で、重篤な副作用は認められなかった。

遺伝性網膜変性症、CRISPR-Cas9遺伝子治療が有望/NEJM

 CEP290遺伝子変異による遺伝性網膜変性症患者において、EDIT-101の単回投与は忍容性が良好で光受容体機能の改善が示された。米国・ハーバード大学医学部のEric A. Pierce氏らが、第I/II相非盲検単回投与漸増試験「BRILLIANCE試験」の結果を報告した。CEP290関連遺伝性網膜変性症は、早期に重度の視力低下を引き起こす。EDIT-101は、CEP290のイントロン26(IVS26バリアント)を標的としたCRISPR-Cas9生体内遺伝子編集治療。今回の結果を受けて著者は、「CEP290のIVS26変異体やその他の遺伝子変異による遺伝性網膜変性症の治療において、CRISPR-Cas9生体内遺伝子編集治療のさらなる研究を支持するものである」とまとめている。NEJM誌オンライン版2024年5月6日号掲載の報告。

ミドル~シニアの女性臨床医が直面するジェンダーの障壁とは?

 米国のミドルからシニアクラスの女性臨床研究医を対象とした定性的インタビュー調査によると、アカデミックな医学界は男性中心的な制度であり、構造的不公平が女性のキャリア全体にわたって持続し、キャリアアップにおけるジェンダー格差のパターンに陥っていることが示唆された。本研究は、米国・ミシガン大学のLauren A. Szczygiel氏らによって実施された。JAMA Network Open誌2024年4月11日号に掲載。  本研究は、ミドルからシニアのキャリアを有する女性臨床研究医の日常的な職業経験において、キャリアを通じて経験したジェンダーに関連する障壁についての認識を調査することを目的とした。2006~09年に米国国立衛生研究所の若手臨床研究医のキャリア支援のグラントであるK08またはK23を受賞した女性臨床研究医で、調査に同意した60人のうち、無作為選択的サンプリングで31人が選ばれた。2022年1~5月に半構造化面接を実施し、テーマ分析のフレームワークアプローチを用いて2023年8~10月に解析した。

糖尿病黄斑浮腫へのアフリベルセプト、高用量も安全・有効/Lancet

 糖尿病黄斑浮腫(DMO)患者へのアフリベルセプト8mgを12週ごとおよび16週ごとの硝子体内投与について、標準対照の2mgを8週ごとに投与との比較において、有効性および安全性は非劣性であることが示された。米国・Retina Consultants of AmericaのDavid M. Brown氏らが、第II/III相無作為化二重盲検非劣性試験「PHOTON試験」の48週時点の結果を報告した。アフリベルセプト8mgは同2mgと比べて、投与頻度を減少し治療アウトカムを改善できる可能性が示されていた。Lancet誌2024年3月23日号掲載の報告。

デキサメタゾン製剤、アセタゾラミドなどに「重大な副作用」追加/厚労省

 厚生労働省は1月10日、アセタゾラミドやデキサメタゾン製剤などの添付文書について、使用上の注意改訂指示を発出した。炭酸脱水酵素阻害薬のアセタゾラミド、アセタゾラミドナトリウム(商品名:ダイアモックス)には重大な副作用として「急性呼吸窮迫症候群、肺水腫」が、デキサメタゾン製剤(経口剤および注射剤)や副腎皮質ホルモン製剤(経口剤および注射剤)のうちリンパ系腫瘍の効能を有する製剤には重大な副作用として「腫瘍崩壊症候群」が追加された。  急性呼吸窮迫症候群および肺水腫関連の症例を評価した結果、アセタゾラミド、アセタゾラミドナトリウムと急性呼吸窮迫症候群および肺水腫との因果関係が否定できない症例(国内11例のうち9例、海外6例のうち4例。死亡例は国内3例、海外1例)が集積したため。

患者×外科医の性別パターン、術後死亡率との関連は?/BMJ

 患者と外科医の4タイプの性別の組み合わせ(男性患者・男性外科医、女性患者・女性外科医、男性患者・女性外科医、女性患者・男性外科医)で、術後30日以内の死亡率に大きな差はなく、患者と外科医の性別の一致による臨床的に意義のある差を認めないことが、カナダ・トロント大学のChristopher J.D. Wallis氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年11月22日号で報告された。  研究グループは、米国における患者と外科医の性別一致と術後死亡率との関連を評価する目的で、後ろ向き観察研究を行った(米国国立衛生研究所[NIH]/国立マイノリティ健康格差研究所[NIMHD]などの助成を受けた)。