血圧に差がついてしまっては理論検証にならないのでは?(解説:野間重孝氏)-1165
マルファン症候群は細胞外基質タンパクであるfibrillin 1(FBN1)の遺伝子変異を原因とする遺伝性の結合織疾患であり、種々の表現型、重症度がみられるが、大動脈瘤(とくに大動脈基部)とそれに伴う大動脈弁閉鎖不全症が生命予後の決定因子としてとくに重要であるため、その発生予防が種々議論されてきた。近年、FBN1変異下においては炎症性サイトカインの1つである形質転換増殖因子β(TGFβ)の活性が亢進していることが明らかにされ、この活性亢進が結合織疾患の発生に関与している可能性が示され、動脈瘤の発生予防法として、シグナル伝達系でTGFβの上流に位置するアンジオテンシンII受容体1型活性をアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)によってブロックする治療法が有効である可能性が示唆され、注目を集めるに至った。