腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:88

肝細胞がんへのアテゾリズマブ・ベバシズマブ併用術後補助療法の患者報告アウトカム(IMbrave050)/ASCO2023

 肝細胞がん(HCC)に対するアテゾリズマブとベバシズマブの併用術後補助療法を評価するIMbrave050試験の探索的研究から、同レジメンは健康関連QOLや機能スコアに悪影響を及ぼさないことが示された。米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で、近畿大学の工藤 正俊氏が発表したもの。  追跡期間17.4ヵ月において、IMbrave050試験の主要評価項目であるRFSは、対照群と比較してアテゾリズマブ・ベバシズマブ併用群で有意に改善しており(ハザード比:0.72、95%信頼区間:0.56~0.93、p=0.0120)、また、同併用療法の安全性についても既知の報告との一致していた。

mCRPCの1次治療、エンザルタミド+talazoparibでrPFS改善/Lancet

 転移のある去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者の1次治療において、PARP阻害薬talazoparibとアンドロゲン受容体阻害薬エンザルタミドとの併用療法は、標準治療のエンザルタミド単独療法と比較し、臨床的に意味のある統計学的に有意な画像上の無増悪生存期間(rPFS)の改善をもたらしたことが示された。米国・ユタ大学のNeeraj Agarwal氏らが、26ヵ国(北米、欧州、イスラエル、南米、南アフリカ、アジア太平洋地域)の223施設で実施した第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「TALAPRO-2試験」の結果を報告した。PARPとアンドロゲン受容体活性の両方を阻害することは、相同組換え修復(HRR)に関与するDNA損傷修復遺伝子変異の有無にかかわらず、抗腫瘍効果が得られる可能性があった。Lancet誌オンライン版2023年6月4日号掲載の報告。

個別化がんワクチン+ペムブロリズマブ併用の結果に新たな期待/モデルナ・メルク

 Moderna(米国)とMerck(米国とカナダ以外ではMSD)は、2023年6月5日付のプレスリリースで、切除された高リスク悪性黒色腫患者に対する個別化がんワクチンmRNA-4157/V940と抗PD-1治療薬ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の併用療法について、ペムブロリズマブ単剤療法と比較して、遠隔転移または死亡のリスクを65%減少させたと発表。本結果は、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で報告された。  なお、本試験の主要評価項目である無再発生存期間(RFS)については、2022年12月、mRNA-4157/V940とペムブロリズマブの併用治療で、ペムブロリズマブ単独と比較し再発または死亡のリスクが44%減少した、と発表されている。

HR+/HER2-転移乳がんへのSG、より長い追跡期間でも有用性持続(TROPiCS-02)/ASCO2023

 複数の治療歴があるHR+/HER2-転移乳がん患者に対して、sacituzumab govitecan(SG)を医師選択治療(TPC)と比較した第III相TROPiCS-02試験において、SGが無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を有意に改善し、HER2低発現例においても改善がみられたことがすでに報告されている。今回、探索的解析として、より長い追跡期間(12.75ヵ月)におけるPFSとOS、さらにHER2低発現におけるPFSとOSの解析結果を、米国・Dana-Farber Cancer InstituteのSara M. Tolaney氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。

膵臓がん、FOLFIRINOXの術前補助療法の有効性を検証(NORPACT-1)/ASCO2023

 切除可能な膵臓がんに対するFOLFIRINOXの術前補助療法の有効性に疑問を投げかけられた。Labori KJ.氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表したNORPACT-1の試験の結果である。  切除可能膵臓がんの標準治療は、完全切除とその後の補助化学療法である。化学療法としてはFOLFIRINOXが多く使われる。一方、切除可能膵臓がんでは、術前補助化学療法のメリットも報告されている。Labori氏らは、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランドの12の施設で、多施設無作為化第II相試験を行い、切除可能膵臓がんにおける、FOLFIRINOXの術前補助療法と標準治療である術後補助療法を比較している。

早期再発・難治性LBCL、axi-celでOS延長/NEJM

 早期再発または難治性の大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)患者に対し、axicabtagene ciloleucel(アキシカブタゲン シロルユーセル、axi-cel)療法による2次治療は、標準治療と比べて全生存期間(OS)を有意に延長したことが確認された。米国・テキサス大学M. D.アンダーソンがんセンターのJason R. Westin氏らが、359例を対象に行った第III相無作為化比較試験「ZUMA-7試験」の長期追跡評価(期間中央値47.2ヵ月時点)の結果を報告した。axi-celは、自家抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法製品で、ZUMA-7試験の主要アウトカムの解析において、無イベント生存(EFS)を有意に延長したことが示されており、長期アウトカムのデータが求められていた。NEJM誌オンライン版2023年6月5日号掲載の報告。

高齢NSCLCのICI治療に化学療法の併用は必要か?(NEJ057)/ASCO2023

 75歳以上の非小細胞肺がん(NSCLC)患者における、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)と化学療法の併用の有効性と安全性は明らかになっていない。そこで、日本国内の58施設における75歳以上の進行・再発NSCLC患者を対象とした後ろ向きコホート研究(NEJ057)が実施された。その結果、ICIと化学療法の併用はICI単剤と比較して、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を改善せず、Grade3以上の免疫関連有害事象(irAE)の発現率を増加させた。本研究結果は、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)において、植松 真生氏(がん・感染症センター 都立駒込病院)が発表した。

転移乳がんへのADC後のADC投与、交差耐性の可能性/ASCO2023

 米国では転移を有するHR+/HER2-およびトリプルネガティブ(TN)乳がんにsacituzumab govitecan(SG)が、またHER2低発現乳がんにトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)が承認され、複数の抗体薬物複合体(ADC)が適応となる患者が増えている。しかし、ADCは抗体標的やペイロードにより交差耐性の可能性があるため、最適な投与順序は不明である。今回、転移を有するHER2-乳がんに対して調査したところ、2剤目のADCに対して交差耐性を示す患者がいる一方、1剤目と抗体標的が異なる場合など、2剤目でも持続的な奏効を示す患者もいることがわかった。米国・Massachusetts General Hospital Cancer CenterのRachel Occhiogrosso Abelman氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で報告した。

進行NSCLC、腫瘍治療電場療法を標準治療に上乗せでOS改善(LUNAR)/ASCO2023

 腫瘍治療電場(TTフィールド)療法は、さまざまな機序で非侵襲的にがん細胞を死滅させる治療法で、すでに膠芽腫および悪性胸膜中皮腫に対する治療として、米国食品医薬品局(FDA)により承認されている(本邦では、膠芽腫について薬事承認を取得[保険適用は初発膠芽腫のみ])。非小細胞肺がん(NSCLC)については、前臨床モデルで免疫チェックポイント阻害薬(ICI)やタキサン系抗がん剤の効果を増強することが報告されている。そこで、転移を有するNSCLC患者を対象に、TTフィールド療法の標準治療への上乗せ効果を検証する海外第III相試験「LUNAR試験」が実施された。その結果、TTフィールド療法の上乗せにより、全生存期間(OS)が有意に改善した。本結果について、米国・エモリー大学Winship Cancer InstituteのTiciana Leal氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。

HR+/HER2-進行乳がんへのパルボシクリブ、2次治療での継続は有効か(PALMIRA)/ASCO2023

 HR+/HER2-進行乳がん1次治療でパルボシクリブ+内分泌療法で奏効後に進行した患者の2次治療において、パルボシクリブを1次治療と異なる内分泌療法(2次内分泌療法)と併用しても、2次内分泌療法単独に比べ無増悪生存期間(PFS)を有意に改善しなかったことが第II相PALMIRA試験で示された。スペイン・Medica Scientia Innovation Research(MEDSIR)のAntonio Llombart-Cussac氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で発表した。