がん患者の遠隔診療に対する満足度は対面診療よりも高い
ビデオや電話による遠隔診療の利用は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックの間に飛躍的に拡大した。特にがんの治療では、免疫力が低下している患者の感染を極力抑える必要があることから、利用の伸び幅は大きかった。こうした中、がん患者の遠隔診療の経験に関する大規模調査データを分析した結果、患者の満足度は対面診療よりも高いことが明らかになった。米モフィットがんセンターのKrupal Patel氏らによるこの研究結果は、「Journal of the National Comprehensive Cancer Network」5月号に掲載された。
米政府は5月11日、新型コロナウイルスに関する公衆衛生上の緊急事態宣言を解除した。これを受けて、COVID-19パンデミック中に認められた、遠隔診療を広範に利用するための柔軟な措置も撤廃される可能性がある。この点についてPatel氏は、「もしそうなれば残念なことだ。遠隔診療は、適正な実施条件のもとで適切な患者に提供されれば、対面診療に代わる貴重な選択肢となり得る」と話す。同氏によると、遠隔診療では、スケジュールのより柔軟な設定、診察室や病院への交通費削減や移動時間の短縮が可能になるため、がん患者にとってのベネフィットは非常に大きいのだという。