腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:315

アビラテロンの早期追加でホルモン未治療前立腺がんの予後改善/NEJM

 局所進行・転移性前立腺がんの治療において、アンドロゲン除去療法(ADT)にアビラテロン酢酸エステル(商品名:ザイティガ)(以下、アビラテロン)+プレドニゾロンを併用すると、ADT単独に比べ全生存(OS)率および治療奏効維持生存(failure-free survival:FFS)率が有意に改善することが、英国・バーミンガム大学のNicholas D. James氏らが行ったSTAMPEDE試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年6月3日号に掲載された。

PARP阻害薬olaparib、既治療のBRCA乳がんの予後を改善/NEJM

 既治療の生殖細胞系BRCA遺伝子変異陽性でHER2陰性の転移のある乳がん患者の治療において、olaparibは標準治療に比べ無増悪生存(PFS)期間中央値を2.8ヵ月延長し、病勢進行や死亡のリスクを42%低減することが、米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのMark Robson氏らが行ったOlympiAD試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2017年6月4日号に掲載された。olaparibは、経口ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬で、米国ではBRCA遺伝子変異陽性の再発卵巣がんの治療薬として承認を得ており、生殖細胞系BRCA遺伝子変異陽性で転移のある乳がんでも有望な抗腫瘍活性が示されている。

アレクチニブ、未治療ALK陽性非小細胞肺がんに奏効/NEJM

 未治療の未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合遺伝子陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療において、アレクチニブ(商品名:アレサン)はクリゾチニブ(同:ザーコリ)よりも有効性に優れ忍容性も良好であることが認められた。スイス・ローザンヌ大学病院のSolange Peters氏らが、国際共同無作為化非盲検第III相試験「ALEX」の結果を報告した。選択的ALK阻害薬アレクチニブは、ALK陽性NSCLCに対し、全身性の効果に加え中枢神経系(CNS)の転移にも有効であることが示唆されていた。NEJM誌オンライン版2017年6月6日号の掲載報告。

進行肝細胞がんの1次治療薬となるか?レンバチニブの第III相試験/ASCO2017

 肝細胞がんは世界第2位の死亡原因であり、毎年74万5,000人が死亡している。ソラフェニブ(商品名:ネクサバール)は、進行肝細胞がん(HCC)の1次治療で唯一、生存期間延長が証明された全身療法である。最近10年間で、幾多の第III相試験がソラフェニブに対する非劣性あるいは優越性評価を行ったものの、失敗に終わっている。レンバチニブ(商品名:レンビマ)は、VEGFR1~3、FGFR1~4、PDGFRα、RET、KITを標的とした経口マルチキナーゼ阻害薬であり、進行HCCの第II相試験において優れた臨床活性を示している。進行HCCの1次治療でソラフェニブとレンバチニブを比較した、国際無作為化オープンラベル第III相非劣性試験REFLECT試験の最終結果を台湾National Taiwan University HospitalのAnn-Lii Cheng氏が報告した。

早期HER2+乳がん、術後補助療法にペルツズマブ追加が奏効/NEJM

 早期HER2陽性乳がん患者に対し、術後補助化学療法+トラスツズマブに加え、ペルツズマブ(商品名:パージェタ)を投与することで、3年無浸潤疾患生存率は有意に改善したことが報告された。とくにリンパ節陽性患者で、同生存率の改善が示された。ドイツ・GBG ForschungsのGunter von Minckwitz氏らAPHINITY研究グループが、43ヵ国549ヵ所の医療機関を通じて行ったプラセボ対照無作為化比較試験で明らかにしたもので、NEJM誌オンライン版2017年6月5日号で発表した。

小さな乳がんはたちが良い?たちが良いから小さい?/NEJM

 生物学的に“favorable”な乳がんはサイズが小さい腫瘍に多く、その頻度は若年女性のほうが低く、生物学的に“favorable”で小さな乳がんは予後が良好であり、過剰診断率は加齢に伴って増加することが、米国・イェール大学のDonald R. Lannin氏とShiyi Wang氏の調査で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2017年6月8日号に掲載された。マンモグラフィの導入以降、腫瘍サイズの小さな乳がんの発症率が、大きな乳がんの3倍以上に達することがH. Gilbert Welch氏らにより報告されている。これは、小さな乳がんの多くが大きな乳がんには進行せず、小さな乳がんの検出の際に過剰診断が起きることを意味するという。

第3世代ALK阻害薬lorlatinibの成績発表/ASCO2017

 lorlatinibは、強力な活性を持ち、中枢神経系(CNS)への良好な移行を示す次世代ALK-TKIである。また、ALK-TKI耐性変異に対する最も広いスペクトラムを有する。とくにクリゾチニブ、アレクチニブ、セリチニブなど、すべてのALK-TKIの耐性に関わるG1202R変異に対しても、唯一有効な薬剤である。米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)では、このlorlatinibの第I/II相試験の主要な結果について、University of California IrvineのSai-Hong Ignatius Ou氏が発表した。