腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:221

ALK陽性肺がん1次治療におけるアレクチニブの5年OS(ALEX)/ASCO2020

 未治療の進行ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)におけるアレクチニブ(ALC)とクリゾチニブ(CRZ)の無作為化第III相ALEX研究から、5年間の全生存期間(OS)データが、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、Solange Peters氏より報告された。  主な結果は以下のとおり。 ・追跡期間中央値はALC群48.2ヵ月、CRZ群23.3ヵ月であった。 ・データカットオフ(2019年11月29日)時点で、ALC群のOS中央値は依然として未達、CRZ群では57.4ヵ月であった(層別化HR:0.67、95%CI:0.46〜0.98、p=0.0376)。 ・5年生存率は、ALC群62.5%に対し、CRZ群では45.5%であった。 ・他のALK~TKIへの後治療は、ALC群では38.1%、CRZ群では53.5%で発生した。ALC群では、おもにロルラチニブとクリゾチニブ、、CRZ群ではおもにセリチニブ、アレクチニブであった。 ・更新データでも新たな安全性シグナルは観察されなかった。

転移を有する尿路上皮がん1次治療、アテゾリズマブ併用でPFS延長(IMvigor130)/Lancet

 転移を有する尿路上皮がんの1次治療において、抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体製剤アテゾリズマブとプラチナ製剤ベースの化学療法の併用療法は、プラチナ製剤ベースの化学療法単独に比べ無増悪生存(PFS)期間を延長し、安全性プロファイルは化学療法単独とほぼ同様であることが、米国・マウント・シナイ・アイカーン医科大学のMatthew D. Galsky氏らの検討「IMvigor130試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2020年5月16日号に掲載された。プラチナ製剤ベースの化学療法は免疫調節作用を誘導するため、PD-L1およびPD-1の遮断を増強するなど、PD-L1/PD-1阻害薬との有益な併用効果がいくつか示されている。2018年7月、本試験の独立データ監視委員会(IDMC)による計画外の早期解析の結果に基づき、米国食品医薬品局(FDA)と欧州医薬品庁(EMA)は、転移を有する尿路上皮がん(PD-L1発現腫瘍)の1次治療におけるアテゾリズマブの処方を承認しており、今回は、PFSの最終解析と全生存(OS)の中間解析の結果が報告された。

転移性尿路上皮がんに対するアテゾリズマブの1次治療としての有効性:第III相多施設ランダム化比較試験(IMvigor130)(解説:宮嶋哲氏)-1235

本邦において現在、転移性尿路上皮がんに対する1次治療はゲムシタビンとシスプラチン併用療法(GC療法)であるが、治療中に再発を来すことはまれではない。2次治療として免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が期待されているが、本邦ではペンブロリズマブが唯一承認されている。アテゾリズマブは、転移性尿路上皮がんに対する2次治療としてICIの中で初めて有用性が示され、2018年にFDAに承認されたICIである。本研究は、2016年からの2年間に転移性尿路上皮がんを対象に1次治療としてアテゾリズマブの有効性について検討を行った第III相国際多施設ランダム化比較試験(IMvigor130)である。1,213例を対象に、アテゾリズマブ+プラチナ製剤併用、アテゾリズマブ単剤、プラセボ+プラチナ製剤併用の3群にランダム化している。

EGFR変異陽性NSCLCに対するオシメルチニブのアジュバント(ADAURA)/ASCO2020

 第3世代EGFR-TKIオシメルチニブによる、Stage IB〜IIIAEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の術後補助療法の有効性と安全性を評価する第III相無作為化二重盲検比較試験ADAURAが行われた。この試験は、独立データ監視委員会の勧告に従い、有効性により早期に盲検解除されている。中間解析の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)において、米国・Roy Herbst氏が報告した。

PD-L1陽性TN乳がん1次治療、ペムブロリズマブ+化療でPFS改善(KEYNOTE-355)/ASCO2020

 手術不能な局所再発または転移を有するPD-L1陽性(CPS≧10)のトリプルネガティブ(TN)乳がんの1次治療で、化学療法にペムブロリズマブを追加することにより、無増悪生存期間(PFS)が有意に改善することが、無作為化二重盲検第III相KEYNOTE-355試験で示された。スペイン・IOB Institute of Oncology, Quiron Group/Vall d’Hebron Institute of OncologyのJavier Cortes氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表した。

ディズニー映画、がん患者のQOLに寄与

 腫瘍学において、治療効果に加え、有害事象および生活の質(QOL)の評価が重要になってきている。オーストリア・ウィーン医科大学のSophie Pils氏らは、がん化学療法中のディズニー映画観賞は婦人科がん患者の感情的機能、社会的機能、および疲労症状の改善に関連している可能性があることを明らかにした。JAMA Network Open 5月1日号掲載の報告。  研究者らは、2017年12月~2018年12月、がん化学療法中にディズニー映画の鑑賞と、感情的・社会的機能および疲労症状との関連の評価を目的とし、オーストリア・ウィーンのcancer referral centerにて無作為化試験を実施。

ニボルマブ+イピリムマブ+化学療法限定追加レジメン、肺がん1次治療でOS改善(CheckMate9LA)/ASCO2020

  PD-L1とCTLA-4阻害薬は補完的に働く。また、PD-L1阻害薬と化学療法の併用は複数の臨床研究で生存ベネフィットが示されている。非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療において、PD-L1阻害薬ニボルマブとCTLA-4阻害薬イピリムマブに2週間の限定化学療法を追加治療を評価する第III相非盲検無作為化試験CheckMate9LAの中間解析の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)でMartin Reck氏が発表した。

BRCA変異HER2-乳がんへのveliparib追加、HR+でもTNでもPFS改善(BROCADE3)/ESMO BC2020

 生殖細胞系列のBRCA遺伝子(gBRCA)変異のあるHER2陰性進行乳がんに対して、カルボプラチン+パクリタキセルへのPARP1/2阻害薬veliparibの上乗せ効果を検討した第III相BROCADE3試験のサブグループ解析で、ホルモン受容体(HR)陽性でもトリプルネガティブ(TN)でも無増悪生存期間(PFS)を改善させることが示された。カナダ・Centre Hospitalier de l'Universite de MontrealのJean-Pierre Ayoub氏が、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer Virtual Meeting 2020、2020年5月23~24日)で報告した。なお、主要評価項目であるPFSについては、すでに2019年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で有意に改善することが報告されている。また、HRの有無によるPFSの解析は事前に規定されていた。

切除可能NSCLC、アテゾリズマブ+化学療法は新たな術前治療の選択肢/Lancet Oncol

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者の新たな術前補助化学療法として、PD-L1阻害薬アテゾリズマブ+化学療法の有効性と安全性を評価した第II相試験の結果が示された。米国・コロンビア大学のCatherine A. Shu氏らによる多施設共同単群試験で、高い病理学的奏効率が得られ、忍容性も良好であったという。著者は「切除可能NSCLC患者にとってアテゾリズマブ+化学療法は、新たな補助化学療法となりうることが示された」と述べている。NSCLCの約25%は切除可能なStageIB~IIIAであり周術期化学療法が標準治療だが、この治療戦略は生存期間をわずかに改善するのみである。一方で免疫チェックポイント阻害薬が転移NSCLCに有効であることから、著者らは本検討を行った。Lancet Oncology誌オンライン版2020年5月7日号掲載の報告。

T-DXd、HER2+乳がん脳転移例で良好な結果(DESTINY-Breast01)/ESMO BC2020

 CNS転移を有する既治療のHER2陽性乳がん患者に対する、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd、DS-8201)の有効性が示された。ベルギー・リエージュ大学のGuy Jerusalem氏が、欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer Virtual Meeting 2020、2020年5月23~24日)でDESTINY-Breast01試験のサブグループ解析結果を報告した。  DESTINY-Breast01試験は、トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)治療を受けたHER2陽性の再発・転移を有する乳がん患者を対象としたグローバル第II相試験。独立中央判定委員会による奏効率は60.9%、PFS中央値は16.4ヵ月であり、持続的な腫瘍縮小効果が示されている。