腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:142

ctDNAは再発率を上げずに結腸がんの術後補助療法を減らせるか(DYNAMIC)/ASCO2022

 StageII結腸がんの術後補助療法において、循環腫瘍DNA(ctDNA)ガイド下でのアプローチは、標準アプローチと比べ、再発リスクの非劣性を示すとともに、同療法の実施率を減らすことが示された。オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのJeanne Tie氏が米国臨床腫瘍学会年次集会(ASCO2022)で発表した。  StageII結腸がんは手術のみで80%が治癒する。一方、術後補助療法については生存ベネフィットが明らかでないため、ガイドラインでは高リスク症例に考慮するよう推めている。しかし、高リスク症例では術後補助療法の成績は良好ではない。そのため、再発リスクをより正確に予測し、術後補助療法の恩恵が高い症例を明らかにしていくことが求められている。同時に恩恵が低い症例には不必要な治療を回避することも重要だとされる。

新規抗体薬teclistamab、再発・難治性多発性骨髄腫に有効/NEJM

 新規の抗体製剤teclistamabは、3クラスの薬剤(免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬、抗CD38抗体)の投与歴がある再発・難治性多発性骨髄腫の治療において、深く持続的な奏効を高率にもたらし、安全性も良好であることが、フランス・University Hospital Hotel-DieuのPhilippe Moreau氏らが実施した「MajesTEC-1試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年6月5日号に掲載された。teclistamabは、T細胞表面に発現しているCD3と、骨髄腫細胞表面に発現しているB細胞成熟抗原(BCMA)の双方を標的とし、T細胞の活性化とそれに続くBCMA発現骨髄腫細胞の溶解を誘導するT細胞再指向型二重特異性抗体で、本試験の用量設定第I相試験で有望な有効性が確認されていた。

進行腎細胞がんに対するニボルマブ+イピリムマブ併用療法の効果はQOLと関連(CheckMate 214)/ASCO2022

 進行腎細胞がんに対するニボルマブ+イピリムマブの併用療法(Nivo-Ipi)の生存に及ぼす効果と健康関連QOL(HRQoL)の関連が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのRobert J. Motzer氏より報告された。  これはNivo-Ipiとスニチニブを比較した国際共同の第III相CheckMate 214試験の結果で、過去にNivo-Ipiの無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)の有意な延長効果が報告されている。今回はそれらとHRQoLの相関をみた報告である。

85歳以上に皮膚がんモース手術は適切か?

 比較的低侵襲で術後の再発率が低いことが報告されているモース手術について、米国において85歳以上の超高齢患者に対する施術を担当医が選択した理由を調べる多施設共同前向きコホート研究が行われた。モース手術を受けた高齢患者は、機能状態が高度である一方、リスクの高い腫瘍を顔面に有している割合が高いことが明らかになったという。  今回の検討は、余命が限られている患者に対する皮膚がんのモース手術は、不必要なリスクと不快な思いが伴う可能性と、医療費を増大させる可能性があると示唆されていることを背景として行われたものであったが、結果を踏まえて著者は、「腫瘍が悪性かつ痛みを伴い、外見を損ない、そして不安を誘発する可能性があることを考慮すると、高齢患者にはタイムリーな手術治療は適切である可能性が示唆された」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2022年5月25日号掲載の報告。

進展型小細胞肺がんの1次治療におけるアテゾリズマブ+化学療法へのtiragolumabの併用効果(SKYSCRAPER-02)/ASCO2022

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対する、アテゾリズマブと化学療法(カルボプラチン+エトポシド)への抗TIGIT抗体tiragolumabの併用による全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)の延長は見られなかった。 同報告は、日本も参加した国際共同第III相試験SKYSCRAPER-02の初回解析結果で、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのCharles M. Rudin氏から報告された。

カペシタビン+テモゾロミド併用療法(CAPTEM)が膵神経内分泌腫瘍のPFSを延長(E2211)/ASCO2022

 進行膵神経内分泌腫瘍(pNET)を対象にしたカペシタビン+テモゾロミド併用療法の有効性を評価するE2211試験の結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において米国Yale Cancer CenterのPamela L.Kunz氏から発表された。  同試験(E2211試験)は、米国で実施された多施設共同の無作為化第II相試験で、2018年に初回解析結果が発表されており、今回はその最終解析結果である。

大腸内視鏡、医師の腺腫検出率と検査後がんリスクが相関/JAMA

 大腸内視鏡検査は、大腸腺腫検出率(ADR)が高い医師が行うと、検出率の値の広い範囲にわたって、大腸内視鏡検査後の大腸がん(PCCRC)のリスクが有意に低く、PCCRCによる死亡も少ないことが、米国・Kaiser Permanente Bernard J. Tyson School of MedicineのJoanne E. Schottinger氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2022年6月7日号で報告された。  研究グループは、医師の大腸内視鏡によるADRと、PCCRCおよびPCCRCによる死亡との関連を評価する目的で、米国の3つの大規模ヘルスケアシステム(カイザーパーマネンテ北カリフォルニア[KPNC]、カイザーパーマネンテ南カリフォルニア[KPSC]、カイザーパーマネンテワシントン[KPWA])の統合データを用いて後ろ向きコホート研究を行った(米国国立がん研究所[NCI]のPopulation-based Research to Optimize the Screening Process[PROSPR]IIの助成を受けた)。

抗PD-1抗体sintilimab+化学療法のNSCLC術前補助療法、2サイクル対3サイクル/ASCO2022

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対して、抗PD-L1抗体薬sintilimabと化学療法による術前補助療法は、2サイクルよりも3サイクルでより高い病理学的奏効(MPR)率を示し、サブタイプ別ではとくに扁平上皮がんで良好なMPR率が得られた。無作為化単施設2群第II相比較試験の結果として、中国Zhejiang大学のFuming Qiu氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。  免疫チェックポイント阻害薬と化学療法の併用による術前補助療法は、切除可能なNSCLC患者に対して有望な治療選択肢となっている。しかし、術前補助療法の最適な期間は明らかではなく、臨床試験では2~4サイクルで実施されていることが多い。  一方、sintilimab単剤の術前投与は良好なMPR率が報告されている。同試験では、切除可能なNSCLC患者を対象に、sintilimabと化学療法による術前補助療法の効果を2サイクルと3サイクルで比較した。

HER2陽性の胆道がんにT-DXdが有効性示す(HERB)/ASCO2022

 HER2陽性の切除不能または再発の胆道がん(BTC)に対する抗HER2抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の有効性が日本で行われた医師主導第II相試験であるHERB試験で示された。米国臨床腫瘍学会年次総会(2022 ASCO Annual Meeting)において、国立がん研究センター中央病院の大場 彬博氏が同試験の初回解析結果を発表した。 ・対象:ゲムシタビンを含むレジメンに抵抗性のHER2陽性または弱陽性切除不能・再発BTC (HER2陽性:IHC 3+またはIHC 2+/ISH+と定義し、HER2弱陽性:IHC 0/ISH+、IHC 1+/ISH-、IHC 1+/ISH+、IHC 2+/ISH-のいずれか) ・介入:T-DXd 5.4mg/kg 3週間ごと病勢進行まで投与

RVd±ASCTとレナリドミド維持療法による新規診断多発性骨髄腫の進展抑制効果(DETERMINATION)/ASCO2022

 レナリドミド、ボルテゾミブ、デキサメサゾン併用療法(RVd)の後に自家造血幹細胞移植(ASCT)を行う治療法は、RVdと比較して無増悪生存期間(PFS)を延長するが、6年を超える追跡期間で全生存期間(OS)には差がないことが、第III相無作為化試験であるDETERMINATION 試験の結果から示された。米国・ハーバード大学のPaul G. Richardson氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2022)で報告した。  前処置として高用量のメルファランを投与するASCTは、移植適格の新規多発性骨髄腫(NDMM)患者に対する標準治療とされてきた。その一方で、最近はRVdによる導入療法やレナリドミドによる長期維持療法などの有効性が明らかとなり、移植適格NDMM患者に対する治療法は進化している。同試験では、現在の治療においてもASCTは移植適格NDMMに対する導入療法として有用であるかが検証された。