ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:291

標準治療+サリドマイドは高齢の多発性骨髄腫の治療に進歩の時代を開く

1960年代から多発性骨髄腫の治療に用いられてきたメルファラン+プレドニゾン(MP)療法は、大量化学療法が施行できない高齢患者の標準治療として現在も広範に使用されている。一方、サリドマイドは再発あるいは治療抵抗性の多発性骨髄腫に対して実質的な抗腫瘍効果を示すことが報告されているが、新規例における有効性は明らかにされていない。 フランス骨髄腫研究グループ(IFM)のThierry Facon氏らは、未治療の高齢患者を対象に、MP療法、MP+サリドマイド(MPT)療法、中等量メルファラン(100mg/m2)+自家造血幹細胞移植(MEL100)(ミニ移植)の有用性を比較検討するために無作為化試験(IFM 99-06)を実施した。10月6日付Lancet誌掲載の報告から。

アルツハイマー病治療薬ドネペジルは興奮症状に対し効果がない

コリンエステラーゼ阻害薬ドネペジルは、アルツハイマー病患者の認知機能障害を改善するとされるが、行動障害に関する有益性については明らかになっていない。 キングズ・カレッジ・ロンドン附属精神医学研究所のRobert J. Howard氏らは、アルツハイマー病患者に共通してみられる興奮症状に対して、本剤が効果的かどうかを検証した。NEJM誌10月4日号掲載報告より。

胸痛治療室の導入は入院率を低減させるか

イングランド/ウェールズでは急性の胸痛に対する救急診療部による治療が年間約70万件に達しており、これは緊急入院全体の約1/4に相当する。胸痛治療室での管理により入院率が低下することが確認されているため、国民医療サービス(NHS)を通じた胸痛治療室の設立によって緊急入院が低減する可能性が示唆されている。 イギリス・シェフィールド大学Medical Care Research UnitのGoodacre氏らは、胸痛治療室におけるケアが、治療後30日以降の救急診療部による再治療や入院を増加させずに緊急入院を低減できるかを検討するクラスター無作為化試験を実施、BMJ誌9月18日付オンライン版、9月30日付本誌にて報告した。

経口避妊薬はむしろ発癌リスクを低下させる

経口避妊薬は、1960年代初期に導入されて以来、3億人以上の女性が使用していると考えられる。経口避妊薬使用者は非使用者に比べ乳癌、子宮頸癌、肝癌のリスクが増大するとの研究結果がある一方で、子宮内膜癌、卵巣癌、結腸・直腸癌のリスクが低下するとの報告もあり、全体としての発癌リスクへの影響は明確でない。 イギリス・アバディーン大学一般医療・プライマリケア科のHannaford氏らは、経口避妊薬に関する長期試験のデータを用い、非使用者に比べ使用者では全体として発癌のリスクが低下するとの仮説の検証を行った。BMJ誌9月11日付オンライン版、9月30日付本誌掲載の報告。

重症精神疾患患者に対する個別就労支援(IPS)のヨーロッパにおける有用性を確認

個別就労支援(individual placement and support; IPS)プログラムは、アメリカで開発された重症精神疾患患者を対象とした援助付きの雇用のモデルである。従来の“train-and-place(訓練を受けてから就労する)”ではなく“place-and-train(就労後に訓練を受ける)”との考え方に基づき、患者の希望に応じて迅速に仕事を探し、精神健康サービス部門の就労専門職員が患者および雇用者を継続的にサポートする。 イギリス・オックスフォード市Warneford病院のTom Burns氏らは、ヨーロッパにおけるIPSの有用性を検証し、個々の国の労働市場および福祉制度におけるIPSの効果を評価する目的で無作為化試験を行った。9月29日付Lancet誌掲載の報告。

グリタゾン系薬により心不全増加するも心血管系死亡率は不変:メタ解析

AHA・ADAによるコンセンサスガイドライン(2003年)では、「インスリン療法例」と「多リスクファクター例」以外では「心不全発症リスクが極めて低い」とされたグリタゾン系薬剤だが、約20,000例を対象としたメタ解析の結果、プラセボ・他剤に比べ心不全発症リスクの有意な増加が確認された。ただし心血管系死亡の有意な増加は認められていない。Lancet誌9月29日号に米国Lahey Clinic Medical CenterのRodrigo M Lago氏らが報告した。

褐色細胞腫の最初の記述所見について考察

NEJM誌9月27日号に掲載された本論文は、ドイツのフライブルグ大学医療センター腎臓病学Hartmut P.H. Neumann氏らによる、褐色細胞腫の最初の記述所見について検証したもの。 褐色細胞種を最初に報告したのはFelix Frankelであるという解釈が正しいのか、報告された患者は遺伝性疾患を有していたのではないか、という2点を明らかにすることがNeumann氏らの目的である。 Frankel報告を精査し、現在のテクノロジーを駆使してその記述の所見を更新するため症例患者の親戚にアプローチし評価を行った。

LDL-C値<70mg/dLにおいても、HDL-C値は心血管イベントの予測因子と成り得るか?

本研究はスタチン治験・TNT(Treating to New Targets study)の事後解析の1つ。高比重リポタンパク(HDL)コレステロール値と心血管イベントとの間にみられる強い逆相関性が、低比重リポタンパク(LDL)コレステロールの極低値との間でもみられるかを検証したもの。オーストラリア心臓血管研究所のPhilip Barter氏らTNT研究グループによる報告は、NEJM誌9月27日号に掲載された。

うつ病労働者への治療プログラムは職場アウトカムをもたらす

ガイドラインに沿ったうつ病治療の有効性は明らかだが、しばしば根拠に基づいた勧告から外れた治療が行われている。うつ病治療プログラムは有意に治療の質を向上させるが、雇用者たちは、対費用効果という点でエビデンスに乏しいとこれらプログラムの採用を後回しにしてきた。 そこで、うつ病治療プログラムの効果が職場に与える影響および雇用者の懸念を評価する無作為化対照試験が、アメリカ国立精神保健研究所(NIMH)のPhilip S. Wang氏らによって行われた。JAMA誌9月26日号より。

へテロ接合型家族性高コレステロール血症スクリーニングは1~9歳児を対象に

ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症(FH)例は若年でも冠動脈イベントリスクが著明に増加する。そのため早期発見が必要とされるが、1~9歳時に血清脂質をチェックするのが最も有効なスクリーニング法であると、英国Barts and the LondonのDavid S Wald氏らがメタ解析の結果として報告した。BMJ誌オンライン版9月13日付け早期公開された後、本誌9月22日号で収載されている。

ユニセフとWHOが推奨する6ヵ月母乳養育には母親への教育が欠かせない

母乳栄養には多くの利点があり、ユニセフとWHOは1991年から、母乳栄養についてベストな選択を母親ができるようサポートするイニシアティブ(the baby friendly hospital initiative)を開始しているが、診療現場に普及するには至っていない国も多い。 シンガポール大学のLin-Lin Su氏らは、どのような方法が母乳養育率を改善するのかを調査するため、一般的に行われる院内ケアを受けるグループと出産前だけに母乳栄養について教育されるグループ、出産後授乳支援を受けるグループとを比較する無作為化試験を行った。本論はBMJ誌オンライン版8月1日付けで早期公開され、本誌では9月22日号で収載されている。

モザンビークにおける重篤な精神的・神経学的障害の出現率

モザンビークは世界でも最も貧しい国の一つである。人口約1,800万人のうち、7割は農村部に暮らしている。この国の精神科医はわずか10人に過ぎず、人々の精神的・神経学的健康状態に関する情報不足は、国の政策決定と医療資源への投資を妨げてきた。Vikram Patel氏らのグループはWHOの支援を受けたモザンビーク保健省とともに、都市部と農村部における発作性疾患、精神疾患、精神発達遅滞の出現率の評価を行った。LANCET誌9月22日号より。

国連ミレニアム開発目標4は達成可能か?

2000年開催の国連ミレニアム・サミットで採択された8つの国連ミレニアム開発目標(MDG)のうち、4番目の目標が、2015年までに世界の5歳未満死亡を1990年基準より67%減らそうというものである。 ワシントン大学のChristopher J L Murray氏らによる本論は、MDG 4目的達成の前提となる死亡率推計値について、現状データの統計方法に疑問を呈し、新たに再現性ある方法を開発するとともに既存データの再分析を行った。Lancet誌9月22日号より。

出生前コルチコステロイド反復投与の長期予後:MFMU研究グループ

 出生前コルチコステロイドの反復投与は、早期産児の新生児期における一部の疾患罹患や死亡リスクを改善するものの、出生時体重の低下および子宮内胎児の発育遅延のリスクを増すことが、先行研究によって示されている。本論文は、コロンビア大学Ronald J. Wapnerら米国NIHのMFMU(Maternal-Fetal Medicine Units)ネットワークの研究グループによる、出生前コルチコステロイド投与の長期追跡調査の結果報告。NEJM誌9月20日号に掲載された。

出生前コルチコステロイド反復投与の長期予後:ACTORDS研究グループ

 オーストラリアのアデレード大学Caroline A. Crowther氏らACTORDS(Australasian Collaborative Trial of Repeat Doses of Steroids)研究グループは以前、早期産のリスクを有する妊婦へのコルチコステロイド反復投与療法について無作為化対照臨床試験を行い、「新生児における呼吸窮迫症候群や重篤な疾患罹患リスクが減少した」と報告したが、この時のデータは本療法の長期予後に関しては有効ではなかったため、あらためて前向き臨床試験を実施した。NEJM誌9月20日号の報告から。