ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:242

心臓外科がない病院のPCIアウトカム、ある病院に対し非劣性

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)のアウトカムは、心臓外科のある病院とない病院とで違いがあるのか。PCIは通常、心臓外科のある病院に限定されるが、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のThomas Aversano氏らは、両者を比較する無作為化試験を行った。結果、「心臓外科がない病院の、ある病院に対する非劣性が認められた」と結論する報告が発表された。NEJM誌2012年5月10日号(オンライン版2012年3月25日号)掲載報告より。

推定GFRによる死亡や末期腎疾患予測、CKD-EPI式がMDRD式より正確に

推定糸球体濾過量(eGFR)による死亡や末期腎疾患発症の予測は、CKD-EPI(Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration)式のほうがMDRD(Modification of Diet in Renal Disease)式より正確であることが示された。米国・Johns Hopkins大学のKunihiro Matsushita氏らが、45のコホート試験、被験者総数110万人について行ったメタ解析の結果で、JAMA誌2012年5月9日号で発表した。先行研究で、CKD-EPI式のほうがMDRD式より、GFR予測が正確であることはわかってきているが、腎疾患関連リスクとの関係については明らかではなかった。

妊娠中と産後の女性、DVTスクリーニングに単回の圧迫超音波検査が有効

深部静脈血栓症(DVT)が疑われる妊娠中および出産後の女性に対し、単回の圧迫超音波検査は、安全で合理的なスクリーニング法であることが示された。同スクリーニングで陰性でありながら、後にDVTの診断を受けた人の割合は1.1%と低かったという。フランス・Cavale Blanche大学のGregoire Le Gal氏らが、妊娠中・出産後の女性200人超について行った前向き試験で明らかにしたもので、BMJ誌2012年5月5日号(オンライン版2012年4月24日号)で発表した。妊娠はDVTのリスク因子であることが知られているが、一方で妊婦はDVTでなくても、それと似た症状を発症することが少なくないことも知られている。

単純性急性虫垂炎、一次治療の抗菌薬投与で合併症リスク3~4割低減

単純性急性虫垂炎への一次治療には、抗菌薬投与のほうが切除術に比べ、合併症リスクは3~4割低減することがあきらかにされた。英国・ノッティンガム大学病院のKrishna K Varadhan氏らによる、4つの無作為化比較試験の被験者900人を対象にしたメタ解析の結果で、BMJ誌2012年5月5日号(オンライン版2012年4月5日号)で発表した。

分娩第3期の積極的管理、臍帯牽引は省略できるか?

分娩第3期の積極的管理では、コントロール下の臍帯牽引を省略すると重度出血のリスクがわずかながら高まる可能性があることが、世界保健機構(WHO)のA Metin Gulmezoglu氏らの調査で示された。分娩第3期の積極的管理により分娩後の出血リスクが低減する。積極的管理に含まれるコントロール下の臍帯牽引は高度な技術を要するが、出血抑制への影響が大きくないことが証明されれば省略が可能となり、医療資源の有効活用などへの寄与が期待されるという。Lancet誌2012年5月5日号(オンライン版2012年3月6日号)掲載の報告。

MTX抵抗性関節リウマチに対する生物学的製剤のアドオン治療2年後の結果:Swefot試験

メトトレキサート(MTX)抵抗性の関節リウマチ(RA)患者では、生物学的製剤インフリキシマブ(商品名:レミケード)の追加治療は、従来の疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)の追加治療に比べ2年後の手足の画像所見が良好なことが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のRonald F van Vollenhoven氏らが進めるSwefot試験のフォローアップ解析で示された。同試験の治療1年後の解析で確認された同薬追加による臨床アウトカムの改善効果は、2年後にはみられなかった。Lancet誌2012年5月5日号(オンライン版2012年3月29日号)掲載の報告。

虫垂炎疑いへの低線量CT、標準量CTと比べて非劣性

虫垂炎が疑われる患者に対し、低線量CTによる診断は標準量CTに対して非劣性であることが明らかにされた。韓国・国立ソウル大学のKyuseok Kim氏らが行った15~44歳の若年成人891例を対象とする単施設単盲検非劣性試験の結果による。成人では、虫垂炎診断ではCT検査が優勢を占めるようになってきているが、子どもや若者では、CT放射線被曝についての不安がある。Kim氏らは、低線量CTと標準量CTとによる診断結果に基づく不必要な虫垂炎手術の実施割合について評価を行った。NEJM誌2012年4月26号掲載報告より。

2型糖尿病肥満、薬物療法+外科的肥満手術で血糖コントロール有意に改善

2型糖尿病非コントロールの肥満患者について、薬物療法に加えて胃バイパス術など外科的肥満手術を行うことが、薬物療法単独よりも有意に血糖コントロールを達成するとの報告が発表された。米国・Bariatric and Metabolic InstituteのPhilip R. Schauer氏らが、無作為化非盲検単独施設試験の結果、報告したもので、これまでは観察研究においては、胃バイパス術などを受けた2型糖尿病患者における病状の改善が認められていた。NEJM誌2012年4月26日号(オンライン版2012年3月26日号)掲載報告より。

心臓デバイス感染性心内膜炎、早期デバイス摘出で死亡率は半減

心臓デバイス感染性心内膜炎(cardiac device infective endocarditis:CDIE)の患者では、弁病変を併発している割合が高く1年死亡率が約15%と高いこと、一方で早期にデバイス摘出を行うことで、同死亡リスクは半分以下に減少することが報告された。オーストラリア・Barwon HealthのEugene Athan氏らが、28ヵ国の医療機関を通じて行った前向きコホート試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2012年4月25日号で発表した。

慢性虚血性心不全に対する自己骨髄単核細胞の経心内膜注入、改善効果は?

慢性虚血性心不全に対する自己骨髄単核細胞(BMC)の経心内膜注入手技について、左室収縮終末期容積(LVESV)や最大酸素消費量などの心機能の改善は認められなかったことが報告された。米国・Texas Heart InstituteのEmerson C. Perin氏らが行った、2つのプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、明らかにしたもので、JAMA誌2012年4月25日号で発表した。

英医学部入試に導入された臨床適性試験UKCATの影響

英国では、医学部新入生の社会的背景枠を広げるための一つのイニシアティブとして、2006年より医学部入学者選考過程に、言語理解力や定量的推論、抽象的推論、決定分析の能力を試す臨床適性試験(UKCAT)を導入した。ダーラム大学のPaul A .Tiffin氏らは、UKCATが、特定の社会階層出身志願者の不利益を減少させたかを評価するため、2009年入学者選考を対象に前向きコホート研究を行った。結果、公正な機会を与えるものとなっており、「全員とまではいかないが、今よりも多くの、社会経済的低階層の学生を英国医師集団に迎え入れていくことになるだろう」と結論している。BMJ誌(オンライン版2012年4月17日号)掲載報告より。

低量分割ゲムツズマブ・オゾガマイシン追加療法、AMLの1次治療アウトカムを改善

ゲムツズマブ・オゾガマイシン(GO、商品名:マイロターグ)の低量分割投与法は、急性骨髄性白血病(AML)の1次治療において安全に施行可能で、標準的な化学療法との併用により、標準治療単独に比べアウトカムを実質的に改善することが、フランスVersailles-Saint Quentin大学Mignot病院のSylvie Castaigne氏らが行ったALFA-0701試験で示された。標準治療と、ヒト化抗CD33モノクローナル抗体とカリケアマイシンの複合体であるGOの併用療法は、第III相試験で相反する結果が報告されている。一方、GOは当初、9mg/m2を第1、14日に投与するレジメンが用いられたが、血液毒性や肝中心静脈閉塞(VOD)に起因する肝毒性が高頻度に発現したことから、低量分割レジメン(3mg/m2[最大5mg/m2]、第1、4、7日)が開発されたという。Lancet誌2012年4月21日号(オンライン版2012年4月5日号)掲載の報告。

インスリン デグルデク、2型糖尿病の低血糖、夜間低血糖を改善

 2型糖尿病に対する基礎・追加インスリン療法の基礎インスリンとして、インスリン デグルデクはインスリン グラルギン(商品名:ランタス)と同等の血糖コントロールを示し、夜間低血糖の発現率は有意に低いことが、アメリカ・ベイラー医科大学のAlan J Garber氏らが行ったBEGIN Basal-Bolus Type 2試験で示された。2型糖尿病における膵β細胞の機能不全の進行は、従来の基礎インスリン療法では阻止されず、病態は不可避的に増悪するという。デグルデクは新規の超持効型基礎インスリン製剤で、皮下投与するとマルチヘキサマー(多数の六量体からなる集合体)を形成し、緩徐かつ持続的に循環血中に吸収されるため、超長時間のPK/PDプロフィールを示し、グラルギンに比べインスリン作用の変動が小さいことが示唆されている。Lancet誌2012年4月21日号掲載の報告。

オフポンプCABG対オンポンプCABGの30日アウトカム

冠動脈バイパス術(CABG)の施行について、心拍動下(オフポンプ)CABGの人工心肺(オンポンプ)CABGに対する相対的な有益性とリスクを検討する国際多施設共同無作為化対照試験が行われた。カナダ・マクマスター大学のAndre Lamy氏ら研究グループによるもので、血液製剤や術中出血、合併症の減少など周術期の有益性は認められる一方、血行再建術の早期再施行リスクの上昇が認められたと報告している。NEJM誌2012年4月19日号掲載報告より。

PCI対CABG、長期生存はCABGが優れる

 血行再建戦略の有効性について、多枝冠動脈疾患65歳以上患者を対象に経皮的冠動脈介入(PCI)と冠動脈バイパス術(CABG)の長期生存について比較した結果、CABGを受けた患者のほうがPCIを受けた患者よりも、長期生存に優れることが見いだされたと結論する報告が発表された。米国心臓病学会財団(ACCF)と米国胸部外科医学会(STS)による共同研究で、研究グループの筆頭著者としてChristiana Care Health SystemのWilliam S. Weintraubが報告を行った。NEJM誌2012年4月19日号(オンライン版2012年3月27日号)掲載より。

洞調律の心不全患者にはワルファリンとアスピリンのどちらを投与すべきか?(5月2日掲載NEJMオンライン速報版より)

心不全では洞調律であっても、血栓塞栓イベントリスクが高く、ワルファリンやアスピリンが投与されることは少なくない。WARCEF(Warfarin vs. Aspirin in Reduced Cardiac Ejection Fraction)試験の結果、ワルファリンはアスピリンに比べ、虚血性脳卒中の発症リスクを軽減するものの、出血の発症リスクを増大させ、洞調律の心不全患者に対してワルファリン、またはアスピリンのどちらを投与すべきかという疑問に対する決定的なエビデンスは依然存在せず、個々の患者によって考慮すべきであることが、5月2日NEJM誌オンライン速報版に発表された。

高齢者早期腎臓がん、腎部分切除の方が根治的腎摘出術より死亡率をおよそ半減

高齢者の早期腎臓がんは、腎部分切除のほうが根治的腎摘出術よりも生存率が高いことが示された。全死亡リスクは、腎部分切除が根治的腎摘出術に比べ、およそ半減するという。米国・ミシガン大学のHung-Jui Tan氏らが、ステージT1aの腎臓がん患者7,000人超について調べ明らかにしたもので、JAMA誌2012年4月18日号で発表した。

臨床試験のサブグループ解析は信頼できるか?

臨床試験の著者は報告でサブグループ効果を主張することが多いが、その信頼性は主張が強力な場合でも一般に低いことが、米国・Kaiser Permanente Northwest(ポートランド市)のXin Sun氏らの検討で示された。臨床試験のサブグループ解析では、サブグループに関する仮説が事前に規定されていなかったり、統計学的な検証が適切に行われない場合があるという。近年、無作為化比較試験におけるサブグループ解析の限界や、予測されるサブグループ効果の信頼性の評価基準の検討が進められてきた。BMJ誌2012年4月14日号(オンライン版2012年3月15日号)掲載の報告。