日本初のIFNフリー併用療法、海外第3相でも有用/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2014/08/22

 

 慢性C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1b型感染患者に対し、開発中のNS5A複製複合体阻害薬ダクラタスビル+NS3プロテアーゼ阻害薬アスナプレビルの経口2剤併用療法(日本では今年7月承認、海外では未承認)は、82~90%と高率の持続的ウイルス消失(SVR)を達成し、忍容性も良好であったことが示された。ドイツ・ハノーバー医科大学のMichael Manns氏らが第III相の国際マルチコホート試験の結果、報告した。所見は、未治療、前治療無効および不適格・不耐容であった患者で認められた。慢性HCV感染治療については、インターフェロンやリバビリンを用いない治療が希求されているが、著者は、「今回の結果は、肝硬変患者を含むHCV遺伝子型1b型感染患者に対して、インターフェロンやリバビリン不要の完全経口療法として、ダクラタスビル+アスナプレビルの使用を支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年7月28日号掲載の報告。

ダクラタスビル+アスナプレビル経口併用療法群vs. プラセボ群
 HALLMARK-DUALと命名された本試験は、2012年5月11日~2013年10月9日に18ヵ国116施設で行われた。被験者は、慢性HCV遺伝子型1b型に感染した成人で、未治療、ペグインターフェロンα+リバビリン治療が無効、ペグインターフェロンα+リバビリン治療が不耐容であることが判明していた、または同治療について不適格および不耐容で医学的に不適格な患者であった。

 未治療患者は、肝硬変の状態により層別化され、無作為に2対1の割合で、ダクラタスビル60mgを1日1回+アスナプレビル100mgを1日2回投与群、もしくはプラセボ群に割り付けられ12週間投与を受けた。

 被験者および試験担当者は治療割付、12週時点のHCV RNAの結果については知らされなかった。

 なお未治療患者で併用投与群に割り付けられた患者は、引き続き24週まで非盲検下で投与を受けた。プラセボ群患者は第2の併用投与試験に組み込まれた。前治療無効または不適格等であった患者は、非盲検下でダクラタスビル+アスナプレビル併用投与を24週間受けた。

 主要エンドポイントは、治療後12週時点のSVRで、有効性の解析はダクラタスビル+アスナプレビル投与を受けた患者について行われた。

12週SVR、未治療患者で併用群90%を達成
 試験には、未治療患者307例(併用投与群205例、プラセボ群102例、[無作為化された全患者が治療を受けた])、前治療無効患者205例、不適格等患者235例が組み込まれた。

 結果、ダクラタスビル+アスナプレビルによるSVR達成は、未治療群182例(90%、95%信頼区間[CI]:85~94%)、前治療無効群168例(82%、同:77~87%)、不適格等群192例(82%、同:77~87%)だった。

 重大有害事象は、それぞれ12例(6%)、11例(5%)、16例(7%)の発生だった。治療中断となった有害事象は、それぞれ6例(3%)、2例(1%)、2例(1%)で、最も共通してみられたのはアラニン(ピルビン酸)またはASTの上昇で、死亡は報告されなかった。また、グレード3または4の検査値異常はほとんどなく、治療初期12週間のALT増加が併用群およびプラセボ群で少数報告された(それぞれ2%未満)。

(武藤まき:医療ライター)

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コメンテーター : 中村 郁夫( なかむら いくお ) 氏

東京医科大学 八王子医療センター 消化器内科

J-CLEAR特任評議員