日本発エビデンス|page:104

手術を受けた慢性副鼻腔炎患者では喘息の診断が不十分:日本人における検討

 副鼻腔の手術を受けた慢性副鼻腔炎患者では、喘息の診断が不十分であり、とくに高齢者でその傾向が強いことが、理化学研究所統合生命医科学研究センター 呼吸器・アレルギー疾患研究チームの田中 翔太氏らにより報告された。Allergology International誌オンライン版2013年11月25日の掲載報告。

コーヒー・緑茶と上部気道消化管がんリスクとの関連~コーヒーと緑茶では逆

 上部気道消化管がんリスクにおけるコーヒーや緑茶の影響ははっきりしていない。これらは通常摂取するときに高温であるため、その潜在的なリスク増加により、含まれる成分の抗発がん作用の評価に交絡が生じている。愛知県がんセンター研究所疫学・予防部の尾瀬 功氏らは、コーヒーや緑茶の摂取と上部気道消化管がんのリスクとの関連を評価するために、ケースコントロール研究を実施した。その結果、コーヒーの摂取は上部気道消化管がんのリスク低下と関連する一方、緑茶はリスク増加と関連する可能性があることを示唆した。International Journal of Cancer誌オンライン版2013年12月6日号に掲載。

日本人統合失調症患者、遅発例と早期発症例の特徴は:自治医大

 遅発性統合失調症は、DSM-Ⅳには記載がないものの、その臨床的特徴について多くの研究で報告されている。しかし、とくにアジア諸国において、遅発性統合失調症に関する研究は限られている。自治医科大学の安田 学氏らは、疫学調査により遅発性統合失調症と早期発症統合失調症を比較し、その臨床的特徴について検討した。Psychogeriatrics誌2013年12月号の報告。

ドーパミン活性レベルの維持に関与する遺伝子多型を特定:弘前大

 弘前大学大学院医学研究科の土嶺 章子氏らは、認知機能測定の指標として、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)遺伝子Val158MET多型が有用であることを明らかにした。COMTはドーパミンやアドレナリン、ノルアドレナリンなどの代謝酵素で、ドーパミン代謝経路の主成分である。今回の検討で、同遺伝子多型がドーパミン活性の最適レベルを維持しているという仮説を支持する知見も得られたという。PLoS One誌2013年11月号の掲載報告。

統合失調症の実行機能障害に関与する遺伝子を発見:獨協医大

 統合失調症と関連していることが知られているHPS4遺伝子は、臨床症状にどのように関連しているのか。獨協医科大学の倉冨 剛氏らは、統合失調症の実行機能障害に、HPS4遺伝子が関与していることを初めて明らかにした。また同遺伝子は、健常対照では作業記憶に関与していた。結果を受けて著者は、「動物モデルを用いたさらなる研究により、高次脳機能におけるHPS4が果たす役割を明らかにする必要がある」と述べている。(HPS4遺伝子:Hermansky-Pudlak症候群type 4遺伝子)BMC Psychiatry誌オンライン版2013年10月30日号の掲載報告。

統合失調症の再発予防プログラムを日本人で検証:千葉大学

 統合失調症の再発予防プログラムとして開発されたITAREPS(Information Technology Aided Relapse Prevention Programme in Schizophrenia)は、非常に効果的であると報告されている。しかし、その効果は利用者のプログラムに対するアドヒアランスの影響を受けており、正確な効果やITAREPSの貢献度に関しては不明確な部分があった。千葉大学の小松 英樹氏らは、このような影響因子を排除したうえで、ITAREPSの有用性評価を行った。Schizophrenia research誌2013年10月号の報告。

日本発、統合失調症大規模臨床試験スタート:東京女子医大

 わが国において第二世代抗精神病薬(SGA)が臨床応用されるようになって17年、現在の統合失調症治療ではSGAを中心とした薬物治療が行われている。海外では各種SGAの長期的な有用性や転帰、社会的機能などに関して報告されているが、日本では大規模な研究は行われていない。東京女子医科大学の石郷岡 純氏らは、日本の医療環境下におけるSGAの治療中止率などを評価するため、JUMPs(Japan useful medication program for schizophrenia)試験を開始した。BMC Psychiatry誌2013年10月3日号の報告。

日本人における膝痛・腰痛の有病率と危険因子~全国9地域1万2,019人のデータより

 超高齢社会となったわが国では、高齢者のQOL維持や健康寿命の延長、医療費低減のために、筋骨格系疾患の予防対策が急がれる。しかしながら、本疾患の疫学エビデンスの集積はまだ十分ではない。東京大学医学部附属病院22 世紀医療センターの吉村 典子氏らは、全国9地域の1万2,019人の情報を統合したThe Longitudinal Cohorts of Motor System Organ(LOCOMO)スタディのデータを用い、膝痛と腰痛(およびその共存)について、有病率や関連因子を報告した。Journal of Bone and Mineral Metabolism誌オンライン版2013年11月9日号に掲載。

統合失調症の発症は予測できるか、ポイントは下垂体:富山大学

 富山大学の高橋 努氏らは、精神病発症危険状態(at-risk mental state:ARMS)の人においても、統合失調症患者でみられるような下垂体体積の増大が認められることを、MRIを用いた調査の結果、明らかにした。統合失調症で報告されている下垂体体積の増大は、視床下部-下垂体-副腎機能の亢進を示すものとされている。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌2013年11月号の掲載報告。

日本の高齢者てんかん新規発症、半数以上が原因不明:産業医大

 新規発症の日本人高齢者てんかんは、側頭葉てんかん例が最も多いが、病因が不明な非損傷性患者は52.8%に上ることが明らかにされた。治療については、抗てんかん薬1年以上服用者の96.3%で発作抑制が認められたという。産業医科大学の田中 章浩氏らが、過去6年間の電子カルテデータから特定した70例について分析した結果、報告した。Seizure誌2013年11月号の掲載報告。

非定型うつ病ではメタボ合併頻度が高い:帝京大学

 抑うつ症状とメタボリックシンドローム(MetS)との関連については依然議論のあるところである。帝京大学医学部衛生学公衆衛生学講座の竹内 武昭氏らは、日本人男性における抑うつ症状とMetSの関連について、非定型うつ病またはそれ以外の大うつ病性障害(MDD)に分けて検討を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌2013年11月号(オンライン版2013年10月23日号)の掲載報告。

乳がんの術後補助ホルモン療法の早期中止は予後不良に関連~九州大学

 ホルモン受容体陽性乳がんの再発率と死亡率を減少させるには、ホルモン療法を完遂することが重要である。九州大学の武谷 憲二氏(現飯塚病院)らは、自院での術後補助ホルモン療法の完遂率と早期中止に関連する因子を検討したところ、5年間の術後補助ホルモン療法の完遂率は90%以上であり、早期中止した患者のほうが無再発生存率が低かったことが示された。Surgery Today誌オンライン版2013年10月19日号に掲載。

うつ病治療、行動療法の意義はどの程度か:京都大学

 うつ病に対する行動療法とその他の心理療法の有効性は同程度(低~中の質のエビデンス)であることが明らかにされた。京都大学大学院医学研究科社会医学系専攻健康増進・行動学分野の篠原 清美氏らが25件の試験をレビューし報告した。行動療法は現在うつ病治療に臨床活用されている心理療法の1カテゴリーである。しかし、他の心理療法と比較した行動療法の有効性および受容性は不明なままであった。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2013年10月号の掲載報告。

日本発!真皮縫合 vs ステープラー/Lancet

 ステープラーによる皮膚縫合は消化器外科での開腹手術後に広く行われている反面、もうひとつの手段である真皮縫合の潜在的な利点については評価されていない。「大阪大学消化器外科共同研究会リスクマネジメント分科会」の辻仲 利政氏らは、真皮縫合とステープラー使用時の手術部位感染、肥厚性瘢痕などの創合併症の頻度を評価し報告した。Lancet誌2013年9月28日号に掲載。