日本発エビデンス|page:103

1日1回投与の新規喘息治療薬、国内長期投与における安全性・有効性を確認

 成人気管支喘息患者を対象とした52週間長期投与試験の結果、1日1回投与タイプの新規吸入薬フルチカゾンフランカルボン酸エステル/ビランテロール配合剤(FF/VI、商品名:レルベア)およびFF(フルチカゾンフランカルボン酸エステル)単剤は、いずれも忍容性が良好であり、朝・夜のピークフロー値(PEF)および喘息症状の改善・維持が認められた。近畿大学医学部奈良病院 呼吸器・アレルギー内科教授の村木 正人氏らが、日本人の患者243例について行った多施設共同・非対照・非盲検試験の結果を報告した。アレルギー・免疫誌2013年10月号掲載の報告より。

変性椎間板の有病率、50歳以上で90%超:Wakayama Spine Study

 これまで、一般地域住民を対象に全脊柱レベルでMRIを撮像し変性椎間板の分布や有病率などについて調べた報告はなかった。和歌山県立医科大学の寺口 真年氏、同講師・橋爪 洋氏、同主任教授・吉田 宗人氏らは、初めてこの課題に取り組み、その結果、変性椎間板の有病率は非常に高く、頚椎、胸椎および腰椎の各部位で椎間板変性はそれぞれC5/6、T6/7およびL4/5に最も多く分布していることを明らかにした。

根絶戦略の成果は?日本のH.pylori除菌率10年推移

 ファーストラインとして施行されたアモキシシリンとクラリスロマイシンの併用療法によるヘリコバクター・ピロリ(H.pylori)の年間累積除菌率は65.3%で、徐々にではあるが、10年にわたり除菌率は有意に低下したことが、順天堂大学の佐々木 仁氏らによる研究で明らかになった。また、セカンドラインとして施行されたアモキシシリンとメトロニダゾールの併用療法の年間累積H.pylori除菌率は84.0%で、年ごとの除菌率に変化は認めなかった。著者は、「ファーストラインの除菌率は徐々に低下したものの、“日本の根絶戦略”は十分H.pylori除菌に貢献した」と結論づけた。Digestion誌オンライン版2013年12月12日号の報告。

夜間血圧は慢性腎臓病の発症に関連~大迫研究

 自由行動下血圧は標的臓器障害との関連が報告されているが、慢性腎臓病(CKD)発症の予測に意味を持つかどうかは確認されていない。仙台社会保険病院の菅野 厚博氏らは、大迫研究(Ohasama Study)において、一般の日本人843人のベースライン時の自由行動下血圧とCKDの発症率との関連を検討した。その結果、夜間血圧がCKD発症の予測因子として日中の血圧より優れており、CKDへの進行リスクの評価には自由行動下血圧測定が有用と考えられることを報告した。Journal of hypertension誌2013年12月号に掲載。

認知症患者のニーズを引き出すアプリ:神奈川県立保健福祉大学

 認知症患者は進行に伴い、意思疎通が難しくなる。このような問題を解決するため、神奈川県立保健福祉大学の友利 幸之介氏らは、作業療法に当たっての作業選択意思決定支援ソフト「ADOC(Aid for Decision-making in Occupation Choice;エードック)」の活用基準を確定するため検討を行った。検討の結果、ADOCは中等度認知症患者における大切な作業を把握するのに役立つ可能性があることが示された。Disability and Rehabilitation : Assistive Technology誌オンライン版2013年12月24日号の掲載報告。

院外心停止患者に対する病院到着前アドレナリン投与、長期予後を改善/BMJ

 院外心停止に対する救急隊員による救命処置時のアドレナリン(エピネフリン)投与により、患者の長期的な予後が改善することが、聖マリアンナ医科大学の中原慎二氏ら日本の研究グループによって明らかにされた。院外心停止患者に対する救命処置や心肺蘇生術、自動体外式除細動器の早期施行は明確な生存ベネフィットをもたらすが、病院到着前アドレナリン投与は自己心拍の再開の改善は示されているものの、長期的な予後改善効果は確立されていない。また、その有害作用を示す観察試験がある一方で、最近の無作為化試験ではわずかながら良好な効果(有意差はなし)が報告されているという。BMJ誌オンライン版2013年12月10日号掲載の報告。

C型肝炎に対するIFN療法著効後に肝細胞がんを発症する患者の特徴とは

 インターフェロン(IFN)療法によりSVR(持続性ウイルス学的著効)を達成したC型慢性肝炎患者において、血清アルブミン低値およびαフェトプロテイン(AFP)高値は、5年以内の肝細胞がん(HCC)発症の独立因子であることが、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院の佐藤 明氏らによる研究で明らかになった。著者らは「IFN療法後のHCC発症を早期に予防するために、これらの値について慎重な評価が必要である」としたうえで、「IFN治療後 10年以内のHCC発症は珍しいことではなく、リスク因子はいまだ不確定であるため、SVR達成後も長期的なフォローアップとHCCの検査を行うべきである」と述べている。Internal medicine誌2013年52巻24号の報告。

統合失調症の寛解に認知機能はどの程度影響するか:大阪大学

 寛解期の統合失調症患者は、そうでない患者と比較し、神経認知機能レベルが有意に高いことが知られている。しかし、これまでの研究では、寛解の時間的要素を考慮することなく、横断研究にて検討されていた。大阪大学の福本 素由己氏らは、時間的要素を考慮に入れたうえで、寛解と3つの認知機能(知力、記憶、注意)との関係について、縦断的な研究により検討を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2013年12月8日号の報告。

筋肉痛の熱感受性に神経成長因子生成が関与?

 遅発性筋肉痛(いわゆる筋肉痛)は、伸張性収縮負荷によって筋侵害受容器の機械感受性が増大することで生じることが知られている。今回、中部大学生命健康科学部のFernando Queme氏、同教授の水村和枝氏らは、ヒトにおいて遅発性筋肉痛時に熱感受性の増大はみられないことを示すとともに、遅発性筋肉痛ラットモデルによる検討で、伸張性収縮による神経成長因子(NGF)の生成量が不十分な場合は熱感受性が増大しない可能性があることを明らかにした。

統合失調症患者を発症前に特定できるか:国立精神・神経医療研究センター

 統合失調症患者は発症前に、神経生理学的および精神心理学的な障害を呈する。一方で、認知機能とイベントに関連している可能性があるミスマッチ陰性電位MMNとの関連が示唆されていた。国立精神・神経医療研究センターの住吉 太幹氏らは、統合失調症患者および同疾患リスクが高い人への早期介入について、電気生理学的評価と神経心理学的評価の組み合わせが有用である知見が得られたことを報告した。結果を踏まえて著者は、「これら評価の組み合わせにより、精神疾患を呈しそうな人の早期発見と、迅速な治療が必要な人を特定することが容易になる可能性がある」とまとめている。Frontiers in Behavioral Neuroscience誌2013年10月21日号の掲載報告。

レベチラセタムの神経活性阻害、新たな機序が判明:熊本機能病院

 抗てんかん薬レベチラセタム(LEV)はユニークな作用機序を有するが、その機序は完全には解明されていない。熊本機能病院の脇田 真仁氏らは、LEVの作用機序を詳細に解明するため、ラットを用いてLEVが海馬苔状線維-CA3ニューロンのグルタミン作動性伝達に及ぼす影響を検討した。その結果、LEVはZn2+誘発性のGABA A を介したシナプス前抑制の阻害を解除し、グルタミン酸を介した興奮性シナプス伝達を低下させることを示した。Journal of Pharmacology Experimental Therapeutics誌オンライン版2013年11月20日号の掲載報告。

上部早期胃がんに対する最適な術式を検討:日本での多施設後ろ向き研究

 上部早期胃がん治療における手術にはさまざまな術式がある。大阪大学消化器外科の益澤 徹氏(現大阪警察病院)らは、上部早期胃がん203例における記録から、胃全摘術後Roux-en-Y型食道空腸吻合術(TG-RY)、噴門側胃切除術後食道胃吻合術(PG-EG)、噴門側胃切除術後空腸間置術(PG-JI)の3つの術式を比較し、最適な術式を検討した。World Journal of Surgery誌オンライン版2013年12月6日号に掲載。