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アレクチニブ耐性の日本人進行NSCLCへのセリチニブの有効性は(ASCEND-9)/日本肺癌学会2017

 ALK遺伝子転座陽性の非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対する一次治療として、アレクチニブが本邦で推奨されているが、多くの患者で耐性獲得とともに、再び進行する。第58回日本肺癌学会学術集会で、国立がん研究センター中央病院の堀之内 秀仁氏が、アレクチニブ治療歴のあるALK陽性NSCLC患者における第2世代ALK-TKIセリチニブの第II相非盲検単群試験、ASCEND-9の結果について発表した。

進行ROS1肺がんの脳転移に対するクリゾチニブの有効性/WCLC2017

 非小細胞肺がん(NSCLC)の1%にみられるROS1融合遺伝子陽性肺がんではとくに、脳転移が多くみられる。ROS1肺がんではクリゾチニブが治療適応となるが、脳転移への効果は明らかになっていない。ROS1肺がんにおける脳転移の状況と共に、ROS1肺がん脳転移に対するクリゾチニブの効果を評価した後ろ向き試験について、中国・Shanghai Lung Cancer CenterのShun Lu氏が発表した。

抗PS抗体bavituximabは免疫チェックポイント阻害薬の活性を増強するか:SUNRISE試験サブグループの結果/WCLC2017

 phosphatidylserin(PS)は、がん微小環境にある細胞の表面に広範に発現し、腫瘍特異的T細胞の誘導を抑制し、高い免疫抑制作用を発現する。bavituximabは、PSを標的とするメラIgG1モノクローナル抗体であり、腫瘍特異的細胞傷害性T細胞を活性化し、免疫寛容を抑制して、抗腫瘍効果を発揮することが期待されている。

日本の喫煙者のがんリスク、禁煙何年で喫煙歴ゼロと同じに?

 日本人のがん罹患リスクは、男性で21年以上、女性で11年以上禁煙すれば、喫煙歴のない人と同レベルまで低下することが、東京大学の齋藤 英子氏らによる研究で明らかになった。男性では、20 pack-year以上のヘビースモーカーにおいても同様の結果であるという。早いうちに禁煙することが、がん予防への近道であると考えられる。Cancer epidemiology誌オンライン版2017年11月2日号の報告。

せん妄と関連する薬剤は

 これまで、集中治療室(ICU)内でのせん妄に関する研究はよく行われているが、ICU外のデータは限られている。米国・Methodist Dallas Health SystemのAnthony Cahill氏らは、非クリティカルケア病棟(NCCA:non-critical care areas)におけるせん妄の発生率および関連する危険因子をプロスペクティブに評価を行った。The journal of trauma and acute care surgery誌オンライン版2017年10月16日号の報告。

ビプレッソは「双極性障害のうつ症状」の新しい治療選択肢

 2017年11月7日、共和薬品工業株式会社主催のプレスセミナーが開催され、双極性障害治療の課題と双極性障害のうつ症状に対する新たな治療選択肢であるビプレッソ徐放錠(一般名:クエチアピンフマル酸塩徐放錠)について、赤坂クリニック・うつ治療センター長の坂元 薫氏が講演を行った。坂元氏は、「双極性障害を大うつ病エピソードで発症した場合、単極性うつ病との鑑別が困難で見逃されやすい。ようやく診断されても、日本うつ病学会のガイドラインで推奨されている双極性うつ病の薬剤は、ほとんどが適応外であった。ビプレッソ徐放錠が登場し、治療選択肢が増えたのは大変喜ばしいこと。双極性障害患者のうつ症状改善に期待したい」と述べた。

治療抵抗性統合失調症、ECT併用は有益か

 治療抵抗性統合失調症(TRS)治療は、現代の精神医学における挑戦である。TRS患者の多くは、重度の神経認知機能障害を有する。TRS治療において、電気ショック療法(ECT)は効果的かつ安全であることが証明されているが、潜在的な神経認知機能の副作用に関しては議論の余地がある。クロアチア・University Hospital Center ZagrebのBjanka Vuksan Cusa氏らは、TRS患者の認知機能に対する抗精神病薬とECT増強療法の影響について、プロスペクティブオープン研究より評価を行った。The journal of ECT誌オンライン版2017年10月19日号の報告。

日本初の抗PD-L1抗体アベルマブ、他の抗体との違いも

 抗PD-L1抗体として日本で初めて、アベルマブ(商品名:バベンチオ)が9月27日に承認された。アベルマブは、今回承認されたメルケル細胞がん(MCC)以外に、胃がん、非小細胞肺がん、頭頸部がん、腎細胞がん、尿路上皮がん、リンパ腫、固形がんに対して、国内で臨床試験を実施している。11月6日、共同開発を進めるメルクセローノ株式会社とファイザー株式会社によるプレスセミナーが開催され、西川 博嘉氏(国立がん研究センター研究所腫瘍免疫研究分野/先端医療開発センター免疫トランスレーショナルリサーチ分野 分野長)と山﨑 直也氏(国立がん研究センター中央病院皮膚腫瘍科 科長)が講演した。

dacomitinibによるEGFR変異肺がん1次治療のサブグループ解析:ARCHER 1050/WCLC2017

 ARCHER1050試験は、EGFR変異陽性進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療において第2世代EGFR-TKIのdacomitinibと第1世代TKIゲフィチニブを比較した第III相試験である。対象はStage IIIB~IVのEGFR変異陽性再発NSCLC患者452例で、主要評価項目はIRCレビューによる無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目はIRCおよび治験担当医の評価による全生存期間および客観的奏効率(ORR)である。

O型女性は胃十二指腸潰瘍リスクが高い~日本ナースヘルス研究

 ABO式血液型でO型の日本人女性は、他の血液型の女性よりも胃十二指腸潰瘍の発症リスクが有意に高いことが、群馬大学のLobna Alkebsi氏らの研究により明らかになった。また、1955年以前に出生した群は、それ以降に出生した群よりも高リスクであった。Journal of epidemiology誌オンライン版2017年10月28日号の報告。

小児攻撃性に対する抗精神病薬の効果~メタ解析

 小児における攻撃性や過敏性は、診断のさまざまな段階で認められ、経済的なコストおよび負の社会心理的アウトカムと関連している。このような場合、抗精神病薬が一般的に用いられる。米国・イェール大学のGerrit I van Schalkwyk氏らは、小児の攻撃性および過敏性に対する抗精神病薬の効果についてメタ解析を行った。Expert review of neurotherapeutics誌2017年10月号の報告。

失明や視力障害が世界的に増加の見込み、原因は?

 世界的な失明/視力障害の主たる原因は、白内障および屈折異常であり、これらの患者数は世界人口の増加と高齢化により著しく増加していることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのSeth R. Flaxman氏らによるメタ解析で明らかとなった。白内障は手術で、屈折異常は矯正用眼鏡で回復可能である。著者は、「アイケアの提供を拡大して患者の増加に対処し、回避可能な失明に対して取り組む必要がある」とまとめている。Lancet Global Health誌オンライン版2017年10月10日号掲載の報告。