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乳がん術後補助療法の非順守が血清検査で判明、再発リスクは2倍/JCO

 乳がん術後補助療法のタモキシフェン治療へのノンアドヒアランス(非順守)は、医師に認識されていないことが多い。今回、フランス・Institut Gustave RoussyのBarbara Pistilli氏らが、タモキシフェン治療の非順守率を血清検査で生化学的に調べたところ、自己申告では順守であっても順守していない患者が多いことがわかった。また、非順守患者では短期における遠隔無再発生存期間(DDFS)が順守患者より有意に短いことが示された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年6月22日号に掲載。

新型コロナで低カリウム血症、その原因は?

 中国・温州医科大学のDong Chen氏らは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者における治療転帰との関連性を見いだすため、低カリウム血症の有病率、原因、および臨床的影響を調査する目的で研究を行った。その結果、COVID-19患者において低カリウム血症の有病率が高いこと、さらにその原因として、新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)がアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に結合することにより、ACE2(レニン-アンジオテンシン系を抑制)が分解され、レニン-アンジオテンシン系が活性化して持続的に腎からカリウムが排泄されることが示唆された。JAMA Network open誌2020年6月1日号掲載の報告。

去勢感受性前立腺がん、アパルタミド+アビラテロン vs.ADT+アビラテロン vs.アパルタミド単独(LACOG0415)/ASCO2020

 去勢感受性前立腺がん(CSPC)に対するアパルタミドとアビラテロンの併用とアンドロゲン遮断療法(ADT)とアビラテロンの併用、アパルタミド単独療法の3群を評価する試験結果が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、ブラジル・Hospital Israelita Albert EinsteinのFernando C. Maluf氏から発表された。本試験は、中南米の臨床試験グループ(LACOG)が実施した、オープンラベル無作為化非比較第II相試験である。

統合失調症外来患者における抗精神病薬の高用量処方に関連する要因

 抗精神病薬は、複数の向精神薬と併用し、高用量で処方されることが一般的である。京都大学の高橋 達一郎氏らは、統合失調症患者に対する抗精神病薬の高用量処方に焦点を当て、患者の特徴および向精神薬併用との関連を特定するため調査を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年5月26日号の報告。  2014年10月~2015年3月の全国都道府県からの請求データを用いて、統合失調症成人外来患者の抗精神病薬処方を調査した。客観的変数は、高用量処方の有無とした。説明変数には、性別、年齢(カテゴリー)、併存疾患の有無、精神科医による治療を含めた。

RET陽性肺がんに対するselpercatinibの脳転移に関する効果(LIBRETTO-001)/ASCO2020

 米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのVivek Subbiah氏は、RET融合遺伝子陽性のNSCLCに対するRET阻害薬selpercatinib(LOXO-292)の第I/II相試験LIBRETTO-001の脳転移例に関するサブ解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。同薬が脳転移に対する著名な抗腫瘍効果を示すと報告した。  非小細胞肺がん患者の約2%に認められるRET融合遺伝子陽性症例では脳転移の頻度が高いことが報告されている。selpercatinibは前臨床試験でこうした転移に対する抗腫瘍効果が報告されている。

閉経後乳がん患者、術後AI+スタチンが再発リスク低下と関連

 スタチンの使用は、術後アロマターゼ阻害薬(AI)治療を受けている閉経後乳がん患者において、再発リスクの低下と関連していた。デンマーク・オーフス大学病院のSixten Harborg氏らが、集団ベースのコホート研究結果を、Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2020年6月22日号に報告した。  研究者らは、2007~2017年にI~III期のホルモン受容体陽性乳がんと診断された閉経後のすべての患者を登録。術後AI治療が実施された。デンマーク国立処方レジストリから、スタチンの処方(診断後1年以上の処方)を確認し、生物学的潜伏期間を考慮し6ヵ月後からの時変曝露としてモデル化した。

ダロルタミド、遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がんのOSを延長(ARAMIS試験)/ASCO2020

 遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がん(nmCRPC)に対するダロルタミドのアンドロゲン遮断療法(ADT)への併用は、ADT単独に比し全生存期間(OS)の延長を示すことが、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で、フランス・Institut Gustave Roussy、University of Paris-SaclayのKarim Fizazi氏から発表された。  本試験は、二重盲検プラセボコントロールの第III相試験験であり、既に主要評価項目の無遠隔転移生存期間(MFS)の有意な延長に関しては2019年に報告されている。今回の発表は、OSに関する最終解析結果の報告である。

高悪性度神経内分泌肺がん術後補助療法、イリノテカン+シスプラチン vs.エトポシド+シスプラチン(JCOG1205/1206)/ASCO2020

 静岡県立静岡がんセンター呼吸器内科の釼持 広知氏は、高悪性度神経内分泌肺がん(HGNEC)の完全切除例に対するイリノテカン+シスプラチン(IP)療法とエトポシド+シスプラチン(EP)療法の無作為化非盲検第III試験(JCOG1205/1206)の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。IP療法は従来標準治療とされてきたEP療法に対して無再発生存期間(RFS)で優越性を示せなかった。

双極性障害における心臓突然死の発生率とリスク因子

 双極性障害患者における心臓突然死の発生率やリスク因子に関する情報は十分ではない。台湾・台北医科大学のPao-Huan Chen氏らは、双極性障害患者の心臓突然死の調査およびリスク因子の特定のため、プロスペクティブコホート研究を実施した。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年5月23日号の報告。  2000~16年の台湾全民健康保険研究データベースおよびHealth Death Certification Systemのデータを用いた、プロスペクティブ台湾コホート研究を実施した。本コホートに含まれた双極性障害患者は4万6,490例、そのうち467例に心臓突然死が発生した。

長期の生物学的製剤使用、メラノーマのリスクを増大?

 炎症性疾患に対する長期にわたる生物学的製剤の使用は、メラノーマのリスクを増大するのか。英国・マンチェスター大学のShamarke Esse氏らは、システマティック・レビューとメタ解析の結果、「その可能性を否定できない」とする所見が得られたことを報告した。生物学的製剤は、炎症性疾患の治療薬として幅広く処方されるようになっている一方で、免疫が介在した炎症性疾患である炎症性腸疾患(IBD)、関節リウマチ(RA)、乾癬の患者において、長期にわたる生物学的製剤治療は従来の全身治療と比べてメラノーマのリスクを増大するのではないか、との懸念が出ている。

セマグルチドのSTEP試験結果を発表/ノボノルディスクファーマ

 ノボノルディスクファーマは、セマグルチド2.4mgの第III相試験STEP2、STEP3においてプラセボ群と比較し、有意な体重減少を示し、臨床試験プログラムを完了したと6月17日に発表した。  本製剤は、ヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)ホルモンのアナログ製剤で、空腹感を軽減し、満腹感を高めることで食事量を減らし、カロリー摂取量を減らすことを助け、体重減少を促す働きをもつ。なお、本製剤および効能・効果は、日本を含めて現在開発中であり、未承認の製剤である。

再発・難治性古典的ホジキンリンパ腫に対するペムブロリズマブの成績(KEYNOTE-204試験)/ASCO2020

 カナダ・プリンセス・マーガレットがんセンターのJohn Kuruvilla氏は、再発・難治性古典的ホジキンリンパ腫に対するペムブロリズマブとブレンツキシマブ ベドチンを比較する無作為化非盲検第III相試験KEYNOTE-204の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。ぺムブロリズマブはブレンツキシマブ ベドチンに比べ無増悪生存期間(PFS)を有意に延長したと報告した。

うつ病、不安症、PTSD歴と認知症リスク~メタ解析

 うつ病、不安症、心的外傷後ストレス障害(PTSD)は認知症と関連しているといわれているが、これらが認知症のリスク因子(因果関係または前駆症状)、併存疾患、後遺症(2次的影響)であるのかはわかっていない。これまでのメタ解析では、すべての原因による認知症、アルツハイマー病(AD)、血管性認知症(VaD)とうつ病や不安症との関連は調査されているものの、PTSDやレビー小体型認知症(DLB)、前頭側頭型認知症(FTD)との関連は考慮されていなかった。

新型コロナが流行しやすい気候条件とは?

 世界的な危機をもたらしている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、気候変動や季節性と感染拡大との潜在的な関連を調査することは、予防・監視戦略に役立つ可能性がある。米国・メリーランド・スクール・オブ・メディスン大学のMohammad M Sajadi氏らは、特定の緯度、温度、湿度が観測された地域でのCOVID-19の集団発生分布は、季節性の呼吸器系ウイルスの挙動と一致していたことを明らかにした。研究者らは、気象モデリングを使用すれば、COVID-19の拡大リスクが高い地域の推定ができ、監視や封鎖のもと公衆衛生へ注力することが可能になるとしている。JAMA Network Open誌2020年6月11日号掲載の報告。

小細胞肺がんに対するデュルバルマブ+tremelimumab+化学療法の成績(CASPIAN)/ASCO2020

 スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのLuis G. Paz-Ares氏は、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の1次治療で免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-L1抗体デュルバルマブ、抗CTLA-4抗体tremelimumabと化学療法の併用と、デュルバルマブ+化学療法、化学療法の3群を比較した第III相試験「CASPIAN」の結果を米国臨床腫瘍学会(ASCO2020)で報告した。同学会では、2つ目の実験群であるデュルバルマブ+tremelimumab+化学療法群の初回解析では全生存期間(OS)の有意な改善は認められなかったが、デュルバルマブ+化学療法では、11ヵ月追加した中央値25.1ヵ月の追跡結果においても、有意なOSの延長を示した。

日本における抗精神病薬の使用調査~JMDC Claimsデータベース

 日本における臨床ガイドラインとヘルスケアの実践とのギャップを明らかにするため、大阪医科大学附属病院のHata Takeo氏らは、抗精神病薬の使用状況について調査を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2020年5月13日号の報告。  2005~16年のJMDC Claimsデータベースよりデータを使用した。ATC分類でN05Aと分類された薬剤を抗精神病薬として定義した。抗精神病薬を処方された患者数に基づき、年間変化率を算出した。  主な結果は以下のとおり。

オリゴ転移乳がんの生存延長に最善の治療を検討

 中国・Chinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical College のBo Lan氏らの研究から、頭蓋外オリゴ転移乳がんの予後は比較的良好であり、転移病変の外科的切除が無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を大きく改善する可能性が示された。International Journal of Cancer誌オンライン版2020年6月14日号に掲載。  本研究では、頭蓋外オリゴ転移の臨床的特徴と予後因子および最善の治療方法を特定することを目的に、2009~14年、中国・National Cancer Centerで頭蓋外オリゴ転移乳がんと診断された術後入院患者50例を対象に調査した。オリゴ転移乳がんは、転移病変が3個以下で1つの臓器に限局している転移乳がんと定義し、de novo StageIVと局所再発は除外した。

ラコサミドに点滴静注100mgが登場/ユーシービージャパン

 ユーシービージャパン株式会社は、6月11日に抗てんかん剤ラコサミド(商品名:ビムパット点滴静注100mg)を新発売した。  てんかんは、全世界で約6,500万人、わが国には約100万人の患者数が推定され、毎年57,000人が新たにてんかんを発症している。患者の大部分が長期的な薬物療法を必要とするが、既存の抗てんかん薬を使用しても、30%を超える患者がてんかん発作を十分にコントロールできていないとの報告もあり、てんかん治療ではアンメット・ニーズが高い。

NSCLC1次治療、ニボルマブ・イピリムマブ併用の3年観察結果(Checkmate-227)/ASCO2020

 米国・エモリー大学のSuresh S. Ramalingam氏はNSCLCに対する一次治療としての抗PD-1抗体ニボルマブと抗CTLA-4抗体イピリムマブの併用療法と化学療法(プラチナダブレット)との比較第III相試験・Checkmate-227 Part1の3年観察結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。ニボルマブ・イピリムマブ併用療法は化学療法と比較してPD-L1の発現有無にかかわらず長期の効果を示すと報告した。