「抗てんかん薬による自殺リスク」どう対応すべきか? 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/07/05 2008年にFDAより、抗てんかん薬服用中の患者における自殺リスクの増加について注意喚起がなされた。てんかん患者の標準化死亡比は5.1と報告されているが(95%CI:3.9~6.6)、これには精神疾患の合併なども影響していると考えられる。イタリア・トリニティ病院のMarco Mula氏らは、てんかん患者の気分障害の現象学や抗てんかん薬の向精神作用を考慮に入れたうえで、てんかん、自殺、抗てんかん薬における相互作用について検討を行った。Bipolar disorders誌オンライン版2013年6月12日号の報告。 てんかん、抗てんかん薬、自殺のキーワードを用い、Medline/PubMedから検索した。国際的なピア・レビュー誌の英語論文のみを抽出し、参考文献に関しても調査した。 主な結果は以下のとおり。 ・研究結果は一貫しておらず、FDAの結論を支持するものと支持しないものとがあった。 ・この結果は、方法論的ないくつかの制限(過去の自殺経験、てんかんの交絡効果などによる調整)に起因する可能性がある。 ・てんかん患者のサブグループにおいては、抗てんかん薬の特定のメカニズムとは独立して、試験治療下での精神医学的な有害事象の発現リスクがあると考えられた。 ・てんかん患者の薬物治療においては、抗てんかん薬の選択の際に発作パターンに注意を払うだけでなく、多くの異なるパラメーター、とくに個々の患者の精神状態を考慮する必要があると考えられる。 関連医療ニュース 小児てんかん患者、最大の死因は? 難治性の部分発作を有する日本人てんかん患者への治療 境界性パーソナリティ障害患者の自殺行為を減少させるには (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Mula M, et al. Bipolar Disord. 2013 Jun 12. doi: 10.1111/bdi.12091. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 てんかんと自殺企図、病因は共通している 医療一般(2016/01/28) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] SGLT2阻害薬、自己免疫性リウマチ性疾患のリスクは?/BMJ(2025/10/24) 腹部大手術時の周術期血圧管理、個別化vs.通常/JAMA(2025/10/24) ALK陽性進行NSCLCへのアレクチニブ、OS中央値81.1ヵ月(ALEX)/ESMO2025(2025/10/24) 下剤のルビプロストン、重大な副作用にアナフィラキシー追加/厚労省(2025/10/24) 免疫療法の対象とならない進行TN乳がん1次治療、Dato-DXdがPFSとOSを延長(TROPION-Breast02)/ESMO2025(2025/10/24) 結腸がん術後ctDNAによるde-escalation、リスク低減も非劣性は示されず(DYNAMIC-III)/ESMO2025(2025/10/24) 寝たきり原因第1位「脳卒中」、最新治療アクセス改善と患者支援の最前線/日本脳卒中学会・日本脳卒中医療ケア従事者連合・日本脳卒中協会(2025/10/24) 父親の厳しい子育てが子供のメンタルヘルスに影響(2025/10/24) [ あわせて読みたい ] 第50回日本骨髄腫学会学術集会:独占インタビュー(2025/04/18) ASCO2025 まとめ(2025/06/02) かかりつけ医のためのがん患者フォローアップ(2025/06/13) 医療・介護施設従事者のための転倒・転落事故へのアプローチ ~転倒・転落事故のメカニズム、予防、事故後フォローのすべて~(2025/02/27) 非機器的早期運動療法はDVT発生率を低減【論文から学ぶ看護の新常識】第1回(2025/02/05) トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) 災害対策まとめページ(2024/02/05) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29)