認知症の前駆症状は?うつ病との関係

提供元:ケアネット

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公開日:2012/11/20

 

 うつ病はアルツハイマー型認知症(AD)の前駆症状であるが、超高齢者におけるうつ病発症は他の病因による認知症の前駆症状ではない可能性が示された。高齢期でのうつ病は年齢とともに低下した認知機能への懸念が積み重なって出現したもので、予測可能であるという。これまで高齢期うつ病が認知症のリスクとなるのか、あるいは認知症の前駆症状については不明なままであった。ドイツ・ボン大学のHeser K氏らがAgeCoDe研究の参加者(平均年齢81.2歳)を対象に調査した結果、報告した。著者は「うつ病の徴候と主観的記憶障害は、客観的な認識とは独立したADの予測因子である。臨床家はその点を考慮しなくてはならない」と結論している。Psychological Medicine誌オンライン版2012年11月9日号の報告。

 研究グループは、ドイツで行われたAgeCoDe研究(German Study on Ageing, cognition, and dementia in Primary Care Patients)に参加した一般開業医の受け持つ高齢患者(2,663例、平均年齢81.2歳)を対象に、抑うつ傾向ならびに、うつ病の早期発症vs.高齢での発症によるその後の認知症への影響について調べた。被験者のフォローアップ(各病歴18ヵ月ずつ)をもとに、うつ病の病歴(とくに、うつ病発症年齢と現在の抑うつ傾向)による認知症リスク、比例ハザードモデルを用いて推定した。また、認知障害を除くうつ病の、認知症発症に関する付加的予測についても調べた。

 主な結果は以下のとおり。

・高齢で発症したうつ病は、年齢カットオフ値が高いほど認知症リスクの増加がみられた。
・年齢、性、学歴、アポリポ蛋白E4遺伝子型について調節した解析において、70歳以上でのうつ病発症と現在の抑うつ傾向は、それぞれ独立して、全要因の認知症を予測することが認められた。
・現在の抑うつ傾向を伴う非常に高齢でのうつ病発症は、その後のADを特異的に予測した(補正後ハザード比:5.48、95%CI:2.41~12.46、p<0.001)。
・この関連性は、認知機能尺度で調整後も有意なままであった。しかし、さらなる解析で、被験者の主観的な記憶障害によって変動することが示された。

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(ケアネット)