若年女性に対する子宮頸がんスクリーニングは有効か?

提供元:ケアネット

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公開日:2009/08/21

 



22~24歳の女性に子宮頸がんスクリーニングを実施しても、29歳までの発がんを抑制する効果はないが、より年齢の高い女性では発がんおよびがん死の大幅な低減効果が認められることが、イギリスLondon大学クイーンメアリー校医学部のPeter Sasieni氏らが実施した症例対照研究で判明した。子宮頸がんのスクリーニングはその便益と弊害のバランスをとるために注意深い解析を要する複雑なプロセスであり、無理のないコストで便益が得られることを社会に対して示すことが重要だという。イギリスでは20~24歳の女性のスクリーニングが国民レベルの議論の的となり、喫緊の重要課題とされている。BMJ誌2009年8月8日号掲載(オンライン版2009年7月28日号)の報告。

25歳未満でスクリーニングを受けた女性に焦点を当てた解析




研究グループは、子宮頸がんの発症に及ぼす子宮頸がんスクリーニングの影響について、特に25歳未満でスクリーニングを受けた女性に焦点を当てた解析を行った。

対象は、子宮頸がんスクリーニングのデータをプロスペクティブに記録した症例対照試験に登録された集団で、浸潤がんと診断された20~69歳の4,012例および個々の症例ごとに年齢と居住地域をマッチさせた2つの対照群の7,889人で構成された。

主要評価項目は、子宮頸がんと特定の年齢におけるスクリーニングの関連強度のオッズ比とした。

便益と弊害のバランスを考慮するのに有用なデータ




22~24歳の女性に対するスクリーニングは25~29歳時の子宮頸がんの発症を低減しなかった(オッズ比:1.11、95%信頼区間:0.83~1.50)。同様の結果が、扁平上皮がんやFIGO(国際産科婦人科連合)分類stage IB以上の腫瘍に限定した場合にもみられたが、統計学的に高い信頼性を得るには対象数が不十分であった。

スクリーニングにより、40歳の女性で発がん率が60%低減し、64歳では80%と高い低減効果が得られた。スクリーニングは、特に進行がんの予防に効果的であった。

著者は、「20~24歳の女性を対象とした子宮頸がんスクリーニングは、30歳未満の女性の浸潤性子宮頸がんの発症率にはほとんど、あるいはまったく影響を及ぼさない。30歳未満の女性の進行がんの発症に及ぼす影響については不確定な要素が残る。これに対し、より年齢の高い女性では子宮頸がんの発症率、死亡率が実質的に低減する」と結論している。

また、「これらのデータは、医療政策立案者にとって、スクリーニングが発がん率に及ぼす改善効果と弊害(浸潤度の低い病変に対する過剰治療など)のバランスを考慮する際に役立つであろう」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)