心臓CT検査、放射線被曝量減少プロトコル導入で被曝量およそ半減

提供元:ケアネット

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公開日:2009/06/23

 



心臓CT血管造影(CCTA)を行う際、放射線被曝量を減らす目的で作られたプロトコルに従うことで、画質は保ちながら、被曝量をおよそ半分に減らすことができることがわかった。これは、米国William Beaumont病院のGilbert L. Raff氏らが、CCTAを行った約5,000人を対象に行った対照試験で明らかにしたもので、JAMA誌2009年6月10日号で発表した。

β遮断薬の使用などを含む、被曝量減少プロトコル作成




Raff氏らは、米国ミシガン州のCCTAに関する品質向上を目的とした組織Advanced Cardiovascular Imaging Consortium(ACIC)に所属する。今回、同組織で作成した、CCTAの画質を保ちながら放射線被曝量を減らすためのプロトコル「Best-Practice Model」の有効性を確認するため試験を行った。

同プロトコルには、心拍数やその可変性をコントロールするための、β遮断薬の効果的な使用などが含まれている。

試験は、2007~2008年にかけて15ヵ所の医療機関で行われた。CCTAに関して、途中からプロトコルを導入し、導入前後の被曝量などを比較した。

被爆に関するデータが得られたのは、併せて4,862件だった。開始当初2ヵ月間は従来どおりの方法でCCTAを実施(対照期間、被験者数620人)。続く8ヵ月間は、ACICスタッフが現場に立ち合ったり、現場スタッフとのミーティングなどを行うなどして、プロトコルを用いたCCTAを実施した(介入期間、3,407人)。さらにその後2ヵ月間、現場スタッフのみでプロトコルを取り入れたCCTAを行った(追跡期間、835人)。

放射線被曝量は半減、画質は同等




その結果、放射線被曝の線積分線量の予測値は、対照期間が1,493mGy×cm(四分位範囲:855~1,823)だったのに対し、追跡期間では697mGy×cm(407~1,163)と、53.3%減少していた(p<0.001)。放射線実効線量もまた、対照期間の21mSv(12~26)から追跡期間には10mSv(6~16)へと減少した(p<0.001)。

一方、画質については両群で有意差は見られず、その中央値はどちらも4段階評価の、良いほうから2番目の「良い」であった(p=0.13)。また診断可能な画質であると判断された画像の割合も、対照期間が89%だったのに対し、追跡期間では92%と両群で有意差はなかった(p=0.07)。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)