「高齢」を理由に、脳卒中の2次予防を避けてはならない

提供元:ケアネット

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公開日:2009/05/22

 



高齢の脳卒中患者に対するプライマリ・ケアにおけるルーチンの治療では、年齢による効果の変動に関するエビデンスはないため、「高齢」を理由とする過少治療(under-treatment)は正当化されないことが、イギリスで行われたコホート研究で明らかとなった。公衆衛生学における薬物療法の役割に関する最近の研究は、冠動脈心疾患による死亡率の低減に焦点が当てられ、脳卒中などの定量的な検討はほとんど行われていないのが現状だという。ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジ疫学・公衆衛生学のRosalind Raine氏らが、BMJ誌2009年5月9日号(オンライン版2009年4月16日号)で報告した。

脳卒中の2次予防の効果をさまざまな因子で評価




研究グループは、プライマリ・ケアのルーチン治療において、薬剤を用いた脳卒中の2次予防に対する性別、年齢、社会経済的環境の影響について検討し、1年死亡率に及ぼす2次予防の効果を社会人口学的な方法で定量的に評価するコホート研究を実施した。

解析にはhealth improvement network primary care databaseの個々の患者データを用いた。1995~2005年までに113の一般医(GP)の診療施設から登録された50歳以上の脳卒中患者のうち、少なくとも30日間生存した1万2,830例が対象となった。

性別や社会経済的環境は影響しないが、高齢者で治療機会が少ない




2次予防として薬物療法を受けていたのは、男性がわずか25.6%、女性はさらに低く20.8%にすぎなかった。2次予防のレセプトは社会経済的環境や性別による影響を受けなかったが、高齢者は実質的に治療を受ける機会が少ない傾向が認められた。

すなわち、50~59歳に対する80~89歳の患者の治療頻度の補正オッズ比は0.53(95%信頼区間:0.41~0.69)であった。これは、例えば脂質低下薬投与の、50~59歳に対する80~89歳の補正オッズ比が0.44(同:0.33~0.59)であることなどを反映している。

2次予防の施行と死亡リスクの50%低減には相関が認められた(補正ハザード比:0.50、95%信頼区間:0.42~0.59)。平均1年死亡率は、2次予防治療を受けた患者が5.7%であったのに対し、受けなかった患者は11.1%であった。社会的階層別の解析では治療効果の差はほとんど見られなかった。

これらの知見を踏まえ、著者は「高齢の脳卒中患者は、薬剤による2次予防治療によって少なくとも若年患者と同等のベネフィットを得るため、年齢による効果の変動を理由に高齢者を過少治療とすることは正当化されない」と結論している。

(菅野守:医学ライター)