心筋梗塞PCI前のエボロクマブ、1年後LDL目標8割達成/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2026/09/16

 

 PCSK9阻害薬は、心筋梗塞(MI)発症後の2次または3次の脂質低下療法としての推奨にとどまるため、その結果としてLDL-コレステロール(LDL-C)値のコントロールが不十分な期間が長期化するとされる。機械的再灌流術の前に、1次治療としてのPCSK9阻害薬の投与を、カテーテル室での判断に基づいて開始した場合に、1年後のLDL-Cのコントロールおよび臨床アウトカムが改善するかは明らかでないという。フランス・ソルボンヌ大学のGilles Montalescot氏らAMUNDSEN Investigators of the ACTION Study Groupは「AMUNDSEN試験」において、プライマリまたは緊急の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)が適応の急性心筋梗塞(AMI)患者に対し、カテーテル室でエボロクマブと高強度の脂質低下療法の併用を開始したところ、1年後に80%以上の患者がガイドラインで推奨されるLDL-Cの目標値(<55mg/dLかつ≧50%減少)を達成したと報告した。研究の成果はJAMA誌オンライン版2026年8月29日号に掲載された。なお、本研究は2026年8月28~31日にドイツ・ミュンヘンで開催されたEuropean Society of Cardiology 2026(ESC2026、欧州心臓病学会)で発表された。

欧州6ヵ国の無作為化第IV相試験

 AMUNDSEN試験は、欧州6ヵ国の48施設で実施した非盲検エンドポイント盲検無作為化第IV相試験(Amgenなどの助成を受けた)。2021年9月~2025年5月に、高リスクのST上昇型MI(STEMI[55歳以上])または1つ以上の追加の高リスク因子を有する非ST上昇型MI(NSTEMI)の成人患者を登録した。

 被験者2,161例(平均年齢67歳、男性1,703例[79%])を、標準治療に加え、1年間にわたり2週間ごとにエボロクマブ140mgを皮下投与(PCI前に初回投与)する群(1,087例)、または標準治療のみを受ける群(1,074例)に無作為に割り付けた。

 主要評価項目は、12ヵ月の時点でLDL-C値が55mg/dL未満で、かつベースラインから50%以上減少していることとした。主要臨床評価項目として、12ヵ月時の全死因死亡と心血管系の疾患による予定外の入院を評価した。

91%が6週時に推奨値に到達、重篤な有害事象には差がない

 全体の入院時の平均LDL-C値は116mg/dLで、患者の32%が現喫煙者、24%が糖尿病、58%がSTEMI、42%がNSTEMIであった。96%がプライマリまたは緊急のPCIを受けた。無作為化の日に、94%がスタチン、28%がエゼチミブの投与を受けていた。また、標準治療群の41例(3.8%)が追跡期間中にPCSK9阻害薬の投与を受けた(プロトコールで許容)。

 6週時点で、LDL-C中央値はエボロクマブ群が16mg/dL、標準治療群は56mg/dLであった。この差は12ヵ月後まで持続した。また、6週時には、エボロクマブ群の91%が、LDL-Cのガイドライン推奨値(<55mg/dLかつ≧50%減少)に到達した。同推奨値への到達率は、標準治療群では34%であった。

 主要評価項目の達成は、エボロクマブ群970例中792例(81.6%)、標準治療群934例中370例(39.6%)で認められた(補正後オッズ比[OR]:5.54、95%信頼区間[CI]:4.50~6.82、p<0.001)。

 また、主要臨床評価項目は、エボロクマブ群では1,087例中159例(14.6%)に、標準治療群では1,074例中165例(15.4%)に発生した(補正後OR:0.94、95%CI:0.73~1.19、p=0.59)。

 副次評価項目である12ヵ月時のLDL-C値<40mg/dLの達成には、エボロクマブ群で970例中742例(76.5%)、標準治療群で934例中192例(20.6%)が到達した(補正後OR:9.71、95%CI:7.86~11.99)。

 重篤な有害事象の発生率は、両群間に差を認めなかった。

 著者は、「エボロクマブの早期の投与開始により、LDL-Cの目標値の達成率が大幅に改善したが、追跡期間の最初の1年間に、主要臨床評価項目を含む臨床的な指標に関して、有意な有益性を認めなかったことから、『PCSK9阻害薬は、急性期においてLDL-Cの抑制以外の臨床的に意義のある多面的作用(pleiotropic effect)を有する』との説を否定する結果となった」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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