前立腺がん診断、bpMRIは標準検査になりうる/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2025/09/18

 

 前立腺がんが疑われる男性において、短縮化されたバイパラメトリックMRI(bpMRI)検査は、提供された画像の質が十分であれば標的生検の有無にかかわらず、前立腺がん診断の新たな標準検査となりうることを、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAlexander B.C.D. Ng氏らPRIME Study Group Collaboratorsが示した。生検の有無を問わない臨床的に重要な前立腺がんの診断では、マルチパラメトリックMRI(mpMRI)が検査の標準となっているが、リソースのキャパシティが広範な導入を妨げている。ガドリニウム造影剤を使用しないbpMRIは、より短時間かつ安価な代替法で、世界中の医療システムにとって時間短縮によりキャパシティが改善される。著者は、「世界では年間400万件の前立腺MRI検査が行われていることから、bpMRIは、世界中の検査処理能力を大幅に増強しかつコスト削減を可能とするだろう」とまとめている。JAMA誌オンライン版2025年9月10日号掲載の報告。

bpMRIのmpMRIに対する非劣性を検証

 研究グループは、臨床的に重要な前立腺がんの診断において、bpMRIのmpMRIに対する非劣性を前向き多施設共同within-patient試験にて検証した。

 試験は、2022年4月~2023年9月に12ヵ国22施設で、臨床的に前立腺がんが疑われる(PSA上昇および/または直腸診で異常所見)、生検未経験の男性を対象に行われた。最終フォローアップは2024年12月3日。

 被験者は、T2強調画像、拡散強調画像、およびダイナミック造影(DCE)シークエンスを含むmpMRIを受けた。放射線科医は、最初に短縮化されたbpMRI(T2強調画像、拡散強調画像)に基づく診断結果を報告し、DCEシークエンスは盲検化。盲検解除後に放射線科医はDCEシークエンスを含む完全なmpMRIに基づく診断結果を報告した。

 患者は、bpMRIまたはmpMRIのいずれかにおいて、臨床的に重要な前立腺がんが疑われた場合、系統的な生検の有無を問わず標的生検を受けた。

 主要アウトカムは、臨床的に重要な前立腺がん(Gleason Grade Group≧2と定義)であった男性の割合。副次アウトカムは、臨床的に重要でないがんを有する男性の割合などとした。非劣性マージンは5%と定義した。

臨床的に重要な前立腺がんの検出、bpMRIで29.2%、mpMRIで29.6%

 登録された男性555例のうち、490例が主要アウトカムの解析に含まれた。年齢中央値は65歳(四分位範囲[IQR]:59~70)、PSA中央値は5.6ng/mL(4.4~8.0)。直腸診で異常所見が認められた被験者の割合は12.7%であった。

 bpMRIはmpMRIに対して非劣性であることが示された。臨床的に重要な前立腺がんが検出されたのは、bpMRIでは143/490例(29.2%)、mpMRIでは145/490例(29.6%)であった(群間差:-0.4%ポイント[95%信頼区間[CI]:-1.2~0.4]、p=0.50)。

 臨床的に重要でないがんが検出されたのは、bpMRIでは45/490例(9.2%)、mpMRIでは47/490例(9.6%)であった(群間差:-0.4%ポイント[95%CI:-1.2~0.4])。

 中央画像判定により、画像検査(スキャン)の99%が質的に十分であることが示された。

(ケアネット)