上咽頭がん、シスプラチンを用いないtoripalimab併用療法は実現可能か/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2025/09/04

 

 局所進行上咽頭がん患者において、放射線治療時にシスプラチンを用いないtoripalimab併用療法(toripalimab+導入化学療法および放射線治療)は、治療成功生存期間(failure-free survival:FFS)に関する非劣性が示され、毒性の低い、実現可能な治療法であることが、中国・Guangdong Provincial Clinical Research Center for CancerのCheng Xu氏らDIAMOND Study Groupが行った第III相無作為化試験「DIAMOND試験」の結果で示された。先行研究により、上咽頭がん治療においてPD-1阻害薬のtoripalimabを用いることで、放射線治療時に毒性の高いシスプラチンの併用を省略でき、生存に影響を及ぼさない可能性が示唆されていた。JAMA誌オンライン版2025年8月21日号掲載の報告。

放射線療法におけるシスプラチン省略の有効性と安全性を評価

 研究グループは局所進行上咽頭がん患者において、同時放射線療法でシスプラチンを用いないtoripalimab併用療法の有効性と安全性を評価する第III相の多施設共同非盲検無作為化試験を行った。試験は中国の13病院で、2021年8月~2022年7月に、T4N1M0またはT1-4N2-3M0の患者を登録して行われた。最終追跡日は2025年3月21日。

 被験者を無作為に標準治療群またはシスプラチン省略群に割り付けた。標準治療群は、toripalimabとゲムシタビン+シスプラチンの導入化学療法およびシスプラチン併用放射線療法(シスプラチンは100mg/m2を3週ごと2サイクル投与)を受けた。シスプラチン省略群は、同時シスプラチンのない同様のレジメンを受けた。toripalimab(240mg、3週ごと)は、導入療法期に3サイクル、放射線療法期に3サイクル、維持療法期に11サイクルが投与された。

 主要評価項目は2つで、FFS(非劣性マージン8%)、全Gradeの嘔吐の発生率(優越性の評価)であった。副次評価項目は、全生存期間、局所無再発生存期間、無遠隔転移生存期間、安全性、奏効率、QOL、忍容性などであった。

3年FFS、シスプラチン省略群88.3%、標準治療群87.6%

 試験には532例が登録された(ITT集団)。per protocol集団は400例(75.2%)。ITT集団は年齢中央値47歳(四分位範囲:39~54)、女性が25.2%であった。

 追跡期間中央値37.0ヵ月(範囲:4.0~50.0)時点において、3年FFS率はシスプラチン省略群88.3%、標準治療群87.6%で群間差は0.7%であった(95%信頼区間[CI]の片側下限値:-3.9%、非劣性のp=0.002、層別化ハザード比:0.92[95%CI:0.66~1.79]、log-rank検定のp=0.73)。

 安全性解析では、全Gradeの嘔吐の発生率は、シスプラチン省略群が標準治療群と比べて有意に低率であった(26.2%[68/260例]vs.59.8%[156/261例]、群間差:-33.6%[片側95%CI:-∞~-26.9%]、p<0.001)。

 患者報告に基づくQOL(参加率87.5%)、忍容性(参加率94.7%)は、シスプラチン省略群において、主に胃腸、機能、全体的な健康状態で良好であった。

(ケアネット)