通常の慢性疼痛よりも身体活動が制限される可能性が高い、高インパクト慢性疼痛の患者において、通常ケアと比較して遠隔医療または自己完結型のオンライン技術による拡張性のある認知行動療法に基づく慢性疼痛(CBT-CP)治療は、疼痛重症度を有意に軽減し、疼痛に関連する身体機能/生活の質(QOL)にも改善をもたらす可能性があることが、米国・Kaiser Permanente Center for Health ResearchのLynn L. DeBar氏らが実施したRESOLVE試験で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2025年7月23日号で報告された。
米国の第III相無作為化試験
RESOLVE試驗は、高インパクト慢性疼痛の重症度の軽減における遠隔またはオンラインでのCBT-CP治療の相対的な有効性の評価を目的とする第III相無作為化試験であり、2021年1月~2023年2月に米国の4つの保健システムから患者を登録した(米国国立衛生研究所[NIH]の助成を受けた)。
年齢18歳以上、Graded Chronic Pain Scale-Revisedの基準で筋骨格系の高インパクト慢性疼痛と判定され、英語での会話およびインターネットか電話での通信が可能で、電子健康記録(EHR)に基づく臨床的な基準を満たす患者を対象とした。
被験者を、次の3つの群に1対1対1の割合で無作為に割り付けた。(1)健康指導員群:CBT-CP治療に基づく、指導員による1対1での技能訓練(8つのセッション)を、電話またはビデオカンファレンス(被験者の好みでいずれかを選択)で受ける、(2)painTRAINER群:CBT-CP治療に基づく、オンラインでの技能訓練(8つのセッション)を無料のサイト(painTRAINER)で受ける、(3)通常ケア群:米国慢性疼痛協会(ACPA)の疼痛管理リソースガイド(2020年版)のコピーを受け取る。
主要アウトカムは、ベースラインから3ヵ月後までの、11項目の簡易疼痛質問票(短縮版)(Brief Pain Inventory-Short Form:BPI-SF)の疼痛重症度スコアの臨床的に意義のある最小変化量(MCID)(30%以上の低下)の達成とした。
オンラインより指導員で高い効果
2,331例(平均年齢58.8歳、女性1,712例[74%]、農村部/医療過疎地域在住者1,030例[44%])を登録し、健康指導員群に778例、painTRAINER群に776例、通常ケア群に777例を割り付けた。2,210例(94.8%)が試験を完了した。
3ヵ月の時点で、疼痛重症度スコアのMCID(30%以上の低下)を達成した患者の補正後の割合は、健康指導員群が32.0%(95%信頼区間[CI]:29.3~35.0)、painTRAINER群が26.6%(23.4~30.2)、通常ケア群は20.8%(18.0~24.0)であった。
通常ケア群に比べ2つの介入群はいずれも、疼痛重症度のMCID達成率が有意に高く(通常ケア群に対する健康指導員群の相対リスク[RR]:1.54[95%CI:1.30~1.82]、通常ケア群に対するpainTRAINER群のRR:1.28[1.06~1.55])、オンラインでの自己完結型のpainTRAINERプログラムよりも健康指導員で高い効果が得られた(painTRAINER群に対する健康指導員群のRR:1.20[1.03~1.40])(オムニバス検定p<0.001)。
副次アウトカムも介入群で良好
副次アウトカムであるベースライン時から6ヵ月後および12ヵ月後の疼痛重症度のMCID達成率、3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月後の疼痛強度のMCID達成率、3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月後の疼痛関連障害(pain-related interference)スコアのMCID達成率は、いずれも通常ケア群に比べ2つの介入群で有意に優れ、全般的にpainTRAINER群より健康指導員群で良好であった。
著者は、「これらのCBT-CP治療は医療資源の消費が少なく、医療システム内でエビデンスに基づく非薬物療法による疼痛治療の利用可能性を向上させると考えられる」「電話/ビデオカンファレンスおよびオンライン介入によるCBT-CP治療に基づくプログラムの提供を集約化することが効果的であり、今後、全国の臨床組織や医療機関に広く普及する可能性があると示唆される」としている。
(医学ライター 菅野 守)